第2話 地球
地球を離れて1年余り。ようやくたどり着いた惑星には、地球人以外の生命体が存在していた。
「隊長。どうやら、この星には文明があるようです」
隊員の一人が声をかけた。隊長は翻訳機と銃を持って文明のある場所へと向かった。
そこは、地球と全く変わらないどころか地球より発達しているようにも見える。様々なビルディングが立ち並ぶ大都会。惑星の住人らしき人が声を掛けてきた。
「遠いところから、わが惑星にようこそ。私たちはあなた方を歓迎します」
敵対の意思はないようである。見た目はタコのような姿をしているが、翻訳機のおかげで会話もすることができた。武装を解き警戒しながら、惑星の住人に続く。どうやら車を用意してくれたようだ。
車に乗り込むと、車は静かに走り出す。揺れが一切ない。
「地球の存在は以前より知っておりましたよ。何回か私も見に行ったことがあります。我々の文明は、地球の皆さまよりも少し先に進んでいるようです。あ。ちょっと待って下さい」
そういうと、惑星の住人は車を止めて外に出た。そこにはイカの姿をした生き物がいる。運転していた者は、すっと懐に触手を伸ばした。そこには銃が逃げられている。
「またお前たちか。ここはお前らが歩いて良い場所ではない。殺されたくなかったら向こうにいけ」
そういうと、銃をイカのような生物に向けた。蜘蛛の子を散らすように消えていくイカ型の生物。運転していた者は、少し苛立っていたが、銃をしまうと運転席に戻ってきた。車がまた動き出す。
「お見苦しいところをお見せしました。彼らは我々の星に不法に入植してきた生命体なのです。彼らの星にいったことがありますが、非常に貧しい。そしてなにより品が無い。醜悪な生き物なのです」
「我々も同じように扱われはしないのでしょうか」
隊長は緊張していた。この惑星の住人に比べれば、地球人は先ほどのイカ生物と変わらない。
「その点は心配ありませんよ。地球は美しい星。我々の誰一人として貴方方をぞんざいに扱うことはないでしょう。もちろん侵略なんてしません。これからも友好を育んでいきましょう」
かくしてその言葉は真実だった。歓待につぐ歓待。毎日パーティーに呼ばれ飲食三昧。この惑星に土地と栄誉職を与えるから住んではどうかという提案も出たほどである。隊員たちは心を惹かれたが、皆揃って、地球への帰路に就いた。その道すがら。
「レポートまとめておきました。非常に友好的な惑星でしたね。しかし、あのイカの生物たちに向ける視線。あれだけは頂けませんね。彼ときたら何もしていないイカの生物に対して非常に獰猛でした。この件もレポートには記してあります。友好的なれどきわめて獰猛。その思想は地球人とは離れていると」
隊員のレポートを受け取った隊長は一読すると、修正を加えた。
『我々の降り立った惑星のは非常に友好的であり、その思想は地球人と全く変わりがない』
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