シン・秘剣刺影人〜しん・ひけんしかげにん

八田文蔵

体はもう限界であった。

がりがりに痩せ細り、左膝は曲がらない。

こんな苦役をいつまでつづければいいのか?

いっそ死んでしまった方が……。

何度もそう思った。

そのうち空咳がでて眠れなくなった。

衰弱が激しい。

もうだめだ。

命に区切りをつけよう。

そう思って夜中に抜け出し切り立った崖の上に立った。

そのとき、男は見つけた。

崖の縁に一輪の花がかぼそげに揺れている。

だれがいうともなしに名付けられたその花……。

赦免花しゃめんばなが咲いていた。

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