第1話 あたし二股しています!?

 あたしの名は新藤京子(しんどうきょうこ)。


 年は17歳で、短髪の黒髪にそこそこの身長、見た目は普通の如月(きさらぎ)女学院に通う女子高生をやってます。性格は友達曰く自分ではそんなにだけ思ってるけど真面目で少々天然と言われてる。


 確かにこの年まではしっかり勉強もして、遅刻や欠席もなく頑張ってきました。でも今のあたしは真面目なんてものじゃすまない業を背負ってしまっているのです。


 何の業なのかですって?


 それは今のあたしの状況を見れば一目瞭然。


「ふふ、京子ちゃんかわいい❤ おばさん、たまらないわ❤」


「京ちゃんは本当にかわいいよわねぇ。妹の涼子(りょうこ)にはもったいな、ふふ」


 あたしの目の前には、綺麗な美女が二人。


 一人は妖艶な雰囲気を醸し出した年はあたしの10上の女性。ウェーブがかかった少し短めの茶髪に、女のあたしでも見とれる豊満な身体の持ち主。


 もう一人は、シュッとした端正顔立ちの大学に通う女性。黒髪ロングでどこかクールでカッコイイ高身長でモデルさんの様な方。


 今日、親が外出しているあたしの自室のベットの上で、あたしはこの二人に押し倒されていた。


「ひゃ!!」


 そして二人はそっとあたしの頬に手を優しく当てる。二人の手は少しだけ冷たく少しだけ心地よかった。


「京子ちゃんの顔ってあったかいわね❤」


「頬を赤らめて、そんな顔されたら、あたしたちもう我慢できないかも❤」


「えぇ、ちょっと!?」


 あたしに猛烈にアピールしてくるこの二人。実はあたしはこのふたりと付き合う? ことになっていた。それも二人もだ。


 だけど問題はそこ『だけ』じゃない。


「京子ちゃん❤」


「京ちゃ~ん❤」


「ふあ!?」


 だってこの二人は。


「ちょ、二人とも、あぁ止め!!」



 同級生の友達のお母さんとお姉さんだったのですから。




★★★★★★★★★★




~6月下旬~




「「なんか最近変じゃない!?」」


「ふえ!?」



 学校の昼休みの事だった。あたしは一緒に食べていた友達からそんな投げかけをされていた。あたしは思わず変な声が出る。


「だって京子、ずっとぼぉっとしてる気がするし」


「うんうん、京ちゃんはいわゆる真面目ちゃんだよ。それなのに宿題忘れたり、あたしらの顔見て焦ったり」


「そ、そんなことないよ」


 あたしの目の前にいるのは、中学のころからの付き合いの友達だ。


 一人は陸上部に所属するボーイッシュな外見のポニーテールをした黒髪の女の子『清水秋(しみずあき)』。その中世的な容姿から後輩から影ながら人気を得ている。


 もう一人は、ふんわりとしておっとりな雰囲気のウェーブをかけた茶髪の女の子『藤宮優(ふじみやゆう)』。低めの身長で小動物感があり、食べることが大好きなので、みんなから餌付けされて、こちらも影ながら人気を博している。


 そんな友達と二人からあたしは最近の様子をしてされていた。


「絶対そんなことある!! 今日なんて京子が宿題やってこなかったから、僕の宿題も移せなかったし」


「そうだよ!! 優への恵みのチョコを忘れた!! 由々しき事態だ!!」


「それはあたしに頼りすぎだ……」


 今の指摘は置いておいて、ここ最近のあたしの様子に二人は疑問を感じ始めていた。二人の言うように、宿題を忘れちゃうし、ぼおぉっとする時間も増えた。


 それはこの二人が原因でもある。いや、本人たちに罪はない。どっちかというと彼女たちの肉親に問題があるのだ。彼女たちの顔を見て焦るのはそのため、やはり顔や雰囲気がそっくりなのだ。


「そうそう、最近、僕のお姉ちゃんがやけに上機嫌なんだよね? 家に帰って来る頻度も減ったし、大学で彼氏でもできたのかな?」


「そうなんだ。そういえば優のママも、すっごく元気がいいんだ。パパと離婚しちゃってから落ち込んでたのに……。最近は友達の親が子供置いて旅行行ったからお手伝いするとか言ってさぁ」


「うぅ……」


 そして語られていく内容にあたしは罪の意識というのだろうか、よく分からない重圧感を感じてしまう。二人が真相を理解していないだけましだが、余計に来るものがある。


 だがここで変に黙って妙に思われるのも危ないので無難に会話に乗っかっていく。


「へ、へぇ二人の家も色々あるんだねぇ。まぁ人には人の事情があるんだし、そこまで深く考えないでいいんじゃない?」


「まぁ家族間でもプライベートは大事だしな」


「京ちゃんの言う通りかもね。そこまで気にしてても仕方ないか。ママは変わらず優しいし」


「そ、そうだよ、あははは!!」


 あたしは無理に笑いながら、二人との会話を続けていくのであった。




★★★★★★★★★★



「ふぅ、今日も色々あって疲れたなぁ……」



 時間は18時過ぎ。学校の生徒会の仕事を終えたあたしは、学校から帰ってきて、そして自分の住んでいる家の玄関に立っていた。


 我が家ながら、今のご時世では珍しいかなり大きな一戸建て。だが実はここに住む家族はあたしだけなのだ。別に両親と死別したとかそんな悲劇のヒロインではない。


 その理由は親が海外の旅行に行っているからなのだ。お父さんは毛婚した時からボーナスを貯めて、そしてまとまった貯蓄で旅行をしようとしていた。あたしも誘われたが、夫婦水入らずを邪魔するわけにもいかないので、断ったのだ。だからこの家の家族はあたしだけ。


 さてここから勘のいいひとなら、今のあたしの事情と友達二人が話していた話に関連があるのは明白だろう。


「はぁ」


 あたしはため息をつきながら、家のチャイムを鳴らした。するとドタドタと誰かが走って来る足音が聞こえた。そしてドアの施錠が外されて、そのまま開いた。


「ふふ、ただいま。僕のお姫様。あ、違った違った。ふふ、京ちゃん❤」


「も、もうやめてくださいよ」


 現れたのは、超絶なイケメンで黒髪ロングのモデルの様な女性。


 彼女の名前は『清水優紀(ゆうき)』。名前から分かるように『清水秋(しみずあき)』のお姉さんだ。


 そんな優紀さんが玄関のお出迎えをしてくれた後、奥からエプロンをした女性が現れる。


「あらあら、だめよ優紀ちゃん。京子ちゃんはあたしのお姫様でもあるんだから」


 もう一人の女性はウェーブがかかった少し短めの茶髪の妖艶なおっとりとした方。名前は『藤宮智子(ふじみともこ)』、『藤宮優(ふじみやゆう)』のお母さんである。エプロンをして、今まさに料理をしているようだった。


 実はあたしの両親が旅行に行っている間、この二人があたしのお世話係を買って出ていたのである。秋がお姉さんが中々帰ってこないことや、優がお母さんがお手伝いに行っているとはあたしの家の事が原因だったのである。


 本当にあの時は冷や汗がだらだらだった。


 でもただ単に手伝いに来ているだけなら、後ろめたいことは何もないのだけども、あたしは本当に業を背負っている。罪じゃないけど罪のような事。


「「ふふ」」


 あたしが二人を見ると、その表情はまるで恋する女性そのもの。頬も赤らめてすごくうれしそうな顔をしている。そして


「「ただいま」」





 ちゅ




 そしてそのまま二人から頬にキスされた。


「っっっ~~~~~~!!!!!」


 あたしは声にもならない奇声を発して顔を真っ赤に染め上げてしまう。そして少し落ち着いてから、大声を上げた。


「二人とも、もう玄関先でやめてくださいって言ってるじゃないですかぁぁぁぁ!!!!!!」





 そう、あたしは友達のお姉さんと友達のお母さんと二股のお付き合いをしてしまっているのです。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

友達のお母さん、違う友達のお姉さん。あたし、この二人と二股してます!? フィオネ @kuon-yuto

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ