第2話 シゲノリ視点
こいつとは、学生時代からの腐れ縁で、おれがお笑い芸人を目指すと言ったら、ボケでも担当してあげるとわざわざ進み出てきたつわものだ。
なにしろこいつとは居心地が良くて、友達以上、恋人未満の理想的な関係。特別な打ち合わせなんかしなくても、こいつはおれの視線で的確なボケとツッコミを提供してくれる。
いっそ彼女にしてもおかしくない程の美貌と、変幻自在なボケツッコミ。
でもなぜか、手を出さないのは、この一線を超えてしまったら、もう芸人としていられなくなるんじゃないかという恐怖心があるからだ。
芸人として四年感、バイトをしながら生きてきた。四年。長いようで短い。おれは、後一年売れなかったら、芸人を辞めようと勝手に思っている。
そのためには、今恋愛をするのはリスクが高すぎる。
なんとしてでも売れてみせる!!
そのためなら、楽屋でムダ話もしないさ。本当は、話したいことが山ほどあるんだけどな。
つづく
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