清明 無数の異世界

 天地万物が清らかに明るく輝く春岸ハルは陽射しが気持ちいい。


 この『銀河』にはありとあらゆる物語が満ちておる。嘘か真か、ようわからんものたちのごった煮じゃ。誰しもそんな闇鍋の中から自分好みの物語を手探りする。


 物語職人メイソンの数だけそれぞれに個性を備えた創造の世界クリエイトが在って、そういった〈自分の世界〉を〈異世界〉などと呼ぶ。世界がいくつも存在することなど、ごく自然でありふれた話なのじゃ。

 鼻提灯と共に崩壊する夢もまた、単なる〈異世界〉なのかもしれんのう。



 まあしかし、誰しも〈自分の世界〉を持っているにもかかわらず、知らずの内に、もしくは甘んじて別の〈異世界〉に飲み込まれ、大衆に染まろうとする者も多い。


 不思議なものじゃ。

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