正解なんてないのかな。素直な自分はどこだろう?
葵 夜月
出会い
第1話 virág (花)
あの時私は、なぜか突然目を奪われてしまいました。あなたに。
大学の新歓、私より遅れて入って来たあなたは私の中でなぜか一瞬とても目立っていました。話したり視線があったことすら無かったけれど、入って来た時のあなたのちょっとハスキーな声。揺れる髪の隙間から少し見える金色のインナーカラー。
周りから溢れ出そうなくらいのポジティブでキラキラした雰囲気をあなたはまとっていました。
新歓の最中、それ以降私がずっとあなたを意識することはなかったけれど、あなたが他の席で私の同期達と楽しそうに話しているのは少しだけ見かけた。
元々あまり人と喋るのが上手くなくてコミュ症気味の私は、その日の会も例外ではなくたくさんの人と喋れたわけではなかった。
新歓は大学近くのバーで行われ、割と沢山の人が来ていた。
周りには他にも沢山の同期や先輩方がいてとても楽しそうにしていた。みんなの勢いやキラキラ感がすごくて少し圧倒されたのを覚えている。これが大学かと。
我ながらまだまだ自分は子供だなと思いつつ、とうとうこんな世界に来る年齢になったんだなと、いかにも子供じみたことを考えていた。
お酒すらまともに飲めず少し怖がっていて、バーの雰囲気すらなんかすごく大人の世界に私は見えていた。
「ではこの辺でお開きにしようと思います。今日は来てくれてありがとね。」
幹事の先輩が言ってこの会は解散になった。二次会に行く人もいるようだったけど私はそんな度胸なかったし、それでももう少し誰かと一緒に居たくてなんとなくお店の前にたむろしているみんなと一緒にそこに留まっていた。
そんな時だった。あなたがまた私の視界に入ったのは。
あなたはそこにいた皆んなとlineを交換していた。そして私のところにも来たのだ。
「こうかんしてくれる人LINE交換しよー。」
私はまだ話したこともない初対面の人と連絡先を交換できるような度胸のある人間じゃなかったから正直驚いたが、気がついたら私も便乗して、スマホを手にしてあなたの連絡先を手にしていた。どこまで元気でオープンな人なんだろうと私はまた少し気になった。
「ありがとね。よろしく。」
っと、あなたはそこに居るみんなに言いながら軽く去っていった。
私のことなど印象すらなかっただろう。
また別の子達と喋っているあなたをなんとなく感じていた。
私ももう少しこの人を知りたいと思っただけで、そんなに積極的に仲良くなろうとは性格上できなかった。
でもその時私はさっき交換したばかりのlineのアイコンを見ながら、あなたの名前を知った。
水崎 飛鳥(みずさき あすか)
あなたのプロフィール画像は可愛い犬の写真だった。
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