第2話 怪盗レッドフォックス
開きっぱなしのシャッターから、倉庫の中へと入っていく。全く人気はない。
「ここ、外れじゃないかな?」
能天気な紅葉は、まるでフィギュア選手のようにその場で三回転半も回わった。
「タレコミがあったんだ。きちんと調査する必要がある」
面倒だ。情報が嘘だった場合は全てが無駄になる。
怪盗レッドフォックス。
もちろん自称だ。
火星において
先日、その義賊たるレッドフォックスが大量の
このようなテロまがいの窃盗事件が発生したのだから、連邦警察が動くのも当然。いや、今までも動いていたのだが、それはサイバー犯罪担当だった。こうなれば現場でブツを探すのが得意な私たち〝コード
私たちは工場跡の倉庫や事務所を調べてみたが、何も見つけることができなかった。もちろん
無駄足だったか。
「やはりガセネタだったか」
「ガセだけどガセじゃない、多分ね」
「紅葉、どういう意味だ?」
「あそこ」
紅葉が指さす方向に、陽炎のような揺らぎが見えた。それは次第に人の姿へと形を変え実体化した。
そいつは若い娘だった。淡いピンク色のショートヘアで、頭の上にはキツネ耳が揺れていたし、同じく淡いピンク色のフサフサの尾が尻から垂れ下がっていた。
コスプレ少女?
しかし、姿を隠していたのは軍事技術の光学迷彩か?
「やあビアンカ」
「はあーい、トリニティ」
「どうしたんだい? こんなところへ呼び出すなんて」
「貴方が変な女にぞっこんだって聞いてね。どんな変態か確認したかったのよ」
変な女? 変態?
髪をピンク色に染めたコスプレ少女に言われたくない。
「なかなかの美女でしょ。将来有望な連邦警察の保安官、
こいつらは知り合いなのか? しかも、紅葉の事をトリニティと言っていた。もう訳が分からなかった。
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