第4回(江戸時代遊郭小説)

「うーん……。うーん」

「どうしたの、ミクニちゃん。電網書籍ブックを読んでそんな深刻な顔になっちゃって」

「カスガさん……。わたし達って、いい時代に生まれましたよね」

「な、なに。突然」

「この小説、江戸時代の遊郭ゆうかくを舞台にしてるんですけど……すごく、いたたまれない気持ちになるんですよ。女性がこういうことを強いられてた時代が現実にあったんだなあって」

「ああ……。世界最古の職業は売春婦プロスティテュートだって言われてるものね。昔は、お金がなくて、そういうお仕事に身をやつす女の人が居たんだって……わたしも歴史の授業で聞いたときに心が痛くなったなあ」

「でも、現役アイドル兼・脚本家のタマゴのわたしとしては、そういう題材にも臆せず取り組まなきゃいけないと思うんですよ」

「それで今回も昔の電網書籍ブックでお勉強?」

「はい。これも21世紀の小説なんですけど、****さんの『**』って作品です。21世紀の時点から見ても古めの文体で書かれていて、重たいテーマですけど文章の表現はすごくキレイで……勉強になる作品ですよ。まず、原文から見てみてください。***っていうのが主役の女の子で、*っていうのは先輩の子です」



 ◆◆◆ ◆◆◆ ◆◆◆



(原作引用部分 省略)



 ◆◆◆ ◆◆◆ ◆◆◆



「うん……。これは確かに、ミクニちゃんの言う通り、胸が締め付けられそうなお話だね」

「特殊な世界に放り込まれた女の子が、そこで生きるために必死に環境に適応しようとしてるんですよ。うぅ、切ない……。こっちは、わたしがリライトしてみたものです」



 ◆◆◆ ◆◆◆ ◆◆◆



(リライト部分 省略)



 ◆◆◆ ◆◆◆ ◆◆◆



「……うん。今回もわりと別物かな?」

「一番の違いは、主役の***の三人称単独視点に統一しちゃったことです。原文は*さんの動きも描写した神視点になってるんですけど、ホラ、わたしの力量じゃ上手く神視点は書きこなせないので……」

「『***』のお話のときにもそう言ってたね」

「この作品のすごさは、気品があってキレイな文章と、暗鬱で深いテーマの融合にあるんですよね。わたしが書き直すと、どうしてもクドクドと説明寄りの文章になっちゃって、原作の、読者の心に迫ってくる感じがなくなっちゃってるかもしれません。この作品みたいな美しい筆致を使えるようになるのも今後のわたしの課題ですね」

「学ぶことたくさんだね」

「ともあれ、よかったらカスガさんも読んでみてください。『**』…‥。ていうか、こういう時代があったことを知るために、みんな読むべきです。ちなみに、同じ作者さんの作品に『**********』っていうのもあって、こっちは『**』とは180度違うポップな喜劇なんです。女性のラジオDJが楽しくお喋りしていくお話で、楽しいですよ」

「ミクニちゃん。ラジオってなに……?」

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