第374話 神の免罪証
8月28日(水曜日)
総統閣下を送り届けてシリング共和国を出る飛空艇はリズの屋敷に向かう。時差の関係ですでにオーバーワークで眠いのだ。
夕食までリズの魔法の鍛錬を見て夕食を頂いたらその日はメルデスに泊まった。
寝る前の交感会話でコアさんの報告を聞く。
・大麦、小麦、陸稲、大豆、小豆、芋類の普及料理を考案した。俺の記憶から七草粥を手本にして『教会粥』(麦雑炊)をシスターが売り出したのだ。食べたら無病息災を謳い、料理し易く栄養があり美味しい主食を世界に広める目的だ。ワールス・ハムナイ・サント・チリウから移民した神都民の反応を教会前のアンテナショップで探って現在改良中。
・ドワーフ温泉の湯を宮殿と駐在政務官敷地に引く導泉管を市街地外周沿いに海まで持って行く計画を聞いた。ミネラルたっぷりの温泉が宮殿で使えるならと大賛成。
神都地図
https://www.pixiv.net/artworks/105388920
・ラウム教の運営に問題が出てきた。
ラウムの教義を修正して信徒国に伝えてやっと三カ月。教義が変わって
問題とは教会裁判で行われる神の免罪証と
「良い機会があればクリスク王国とルウムリア王国に寄って、教会裁きの指針を示して頂けたら助かります。以後の信徒国ではその様に教会が取り計らいます」
「両国とも騒動は今どうなってるの?」
「ラウム教国総本山の回答待ちと伝えてます」
「あぁ、教国なら二カ月以上回答は延ばせるね(笑)」
「今日はお願いする機会と思いました(笑)」
「今回の気分転換?(笑)」
「はい、そんなお気分と予測しました(笑)」
「コアさんもすぐに言えばいいのに!元々いつでも奇跡を見せに行くって言ってあるんだからさぁ、見せて黙るならそうした方が早いよ(笑)」
「イエ、一部の貴族以外は従順なのです」
「いいよ、荷が重く司祭に
導師の案は一案と呼ばれ、(アルが知ってしまった)悪い貴族を領地単位で
「アル様ならば二案を選ばれるかと(笑)」
「もうそんな予測が立ってるの?(笑)」
「強行されるかと(笑)」
「取り潰し!そこまで腐ってんの?」
「司祭もなかなか教義通りに裁けません」
「司祭じゃ一案、二案なんて無理だよ(笑)」
「そんじゃ、明日行って問題を終わらせよう。ラウム教の奇跡を見せに大司教一行で乗り込むよ(笑)」
「かしこまりました」
ALL(はーい)←交感会話を読む精霊。
神の免罪証の話をしておこう。
神の免罪証とは民の通称。教会裁判の時に情状酌量の余地がある場合に司祭がその情状酌量の訳を神の免罪符として買い取る。裁判の
芥川の蜘蛛の糸みたいな免罪符なのだ。蜘蛛を助けた情状酌量の事実が罪を減ずる免罪符に変わるのだ。
それをアホ貴族が拡大解釈しやがって、お布施が欲しいラウム教の教義と合体しやがった。情状酌量の話の代わりに教会が貴族に金で売るのが神の免罪証だ。長い時間の経緯で本来の免罪符が変質して貴族が金で買って免罪する物として通称、免罪証として民が忌み嫌うものとなっている。
身も蓋もないとはこのことだ。しかしその実入りで孤児院も運営されてるのだから清も濁もごちゃまぜだ(笑)
そんな物、俺が認める訳が無い。しかし領主に対する
明日はグッスリ寝た後にルウムリアからの活動になる、安心して寝た。
ルウムリア王国:ラウム教国の北西隣国。
https://www.pixiv.net/artworks/103781828
・・・・
8月29日(木曜日)
メルデスの未明3時半、昨日のオーバーワーク分を9時間寝てスッキリと起きる。顔を洗いながら昨日の魔紋眼の魔法士オライオ・バーセクトのやっていた鍛錬の日常を思い浮かべた。バーセク子爵家の次男にありながら宣誓の儀で魔紋眼の出た男。齢は違うが己の未来を今に積む同士だった。
自分も今一度気を引き締めようと気合を入れた。
久々に冒険号の未来的なサロンで五人の朝食をポチット押した。
「今日は大司教ご一行で教会裁判に行くからね」
お茶を飲みながら言う。
「寝る前に聞いたルウムリアで問題の悪徳貴族を〆て回る。みんなよろしく頼むね(笑)」
笑いながら言っているが中身は笑える話じゃ無かった。
それはアルによる綱紀粛正だ。民を虫けらのように扱って、証人多数で逃げられないと神の免罪符よこせと教会に圧力掛ける伯爵家に困って現地司祭がルウムリア王都の大教会司教(ニウさん)に手紙を書いたのだ。
舐めやがって。吊し上げて領内引き回しの上|遠島を申し付けてやる!司祭まで脅しやがって。神の免罪符欲しがるこいつらは混沌そのままじゃねぇか。悪党ども覚悟しろよ。公開処刑だ!綱紀粛正だ!彼岸島だ!
注:彼岸島は奴隷意識矯正施設です。懲罰施設ではありません(高度な奴隷体験型アトラクションです)
アルは後悔しろよと言っているが導師の一案かアルノール卿の二案を骨子に進めて行くだけだ。テズ、ラウム、サンテの三教国を
・・・・
「アル様、格納庫に用意が出来ました」
「はーい、馬はうちの?」
「はい馬と御者、聖騎士、騎馬も神教国です」
「え!聖騎士?」
「はい」
「ちょっと見に行く」
・聖騎士:十二名:騎馬
・御者:四名(執事)
・侍女:四名
・四頭立て馬車二台(6人乗り):四名(聖騎士)
・二頭立て貨客馬車(小荷駄隊):二名(従士)
・俺、コアさん、ニウさん、シズク、スフィア。
三十名以上。すさまじい威容の集団だった。
#「・・・何コレ?」
ラウム教が民の喜捨を吸い尽くしてる感が凄い。
#「こんな事やってるから免罪符売ってんだよ!」
「ラウム総本山の標準です」
#「大司教運ぶのにいくら使ってんの?これ止めただけで喜捨が要らなくなるでしょ。そんなのも分からないアホタレが総本山に居るの?」
「ある物は使い、ラウムに仕える者の首は切らないとアル様が仰るので、現在も同じ職務をさせております」
「護衛聖騎士以外は街や村に駐屯してるのね?」
「その様にしてはおりますが、国賓の訪問の多い教国としては体面もあり、儀礼の聖騎士は必要なのです」
「うーん・・・済みませんでした。コアさんに任しておいて文句言ってごめんなさい。僕が庶民なのでそういう事考えなかったです」
「分かって頂けたら結構でございます」
「でも、それとコレは別!」ズビシ!
「コアさんニウさんが御者でラウムで一番小さいボロイ馬車で行きます。貧しさを訴えて喜捨をせびります(笑)」
「アル様!(笑)」
「みんなー!せっかく用意してくれたけどごめんね」
ボロいどころか金ぴかの趣味の悪い小さな馬車に変わって聖騎士が四名付いている。
#「もうやめ、転移で行く」
「アル様!(笑)」
#「こんな騎士が付いてたら民が怖がるの!」
「アル様、ダメです。民から司祭を守るには聖騎士が必要なのです。丸裸で密林を歩けと言う様な事です」
「え!」絶句した。
「それ程にも為政者に寄っていたラウムなのです」
「いや、そんなの潰した方が良くない?」本音が出た。
「領主に忖度する教会裁判に一部の過激な者が怒りをぶつける事があるのです。民のほとんどは教会を信じております」
「え!民も民だ!どんだけ子羊ちゃんだ!」
「皆、悪事には眉はひそめています。しかし当事者にならなければ裁かれずに被害は無いのです。大多数の者は悪さをしませんので口をつぐんで眉をひそめます」
「え!あ!そうか、普通の人は裁かれないか・・・」
「これどうしよう?ラウムの負の遺産?(笑)」
「
「あ!そうだよね?国ごとかと思っちゃった」
「アル様の手腕に期待しております」
「それ二案の発動を期待してるよね?」
「・・・」何とか言え!
「分った、この馬車で行く。執事とメイドは要らない。コアさんとニウさんが司祭とシスター装束で御者してくれる?それで一応の恰好は付くでしょ?」
「かしこまりました」
過激な民も免罪符欲しがる奴も〆て
・・・・
メルデス4時半>ルウムリア9時半。
ラウム教総本山の馬車がペンテ伯爵領都に入った。
「アル様、ペンテ伯爵家に聖騎士の先触れを出し領主家にそのまま参ります」
ニウさんが御者窓を開けて教えてくれた。
「はーい」
・・・・・
ペンテ伯爵家では俺が子供に見えるので驚かれたが、とても歓迎されてアライン・ペンテ伯爵の長男エルノス(25)、次男ジータ(22)を紹介された。今回行われる教会裁判で裁かれる長男の免罪証が欲しいという。今回は街中の色々な反教会の被疑者(教会に
これが貴族に
今回の裁判。やってる事は笑えない。
第一騎士団の小隊長でもあるエルノスが村娘を殺したとの村長からの訴えと沢山の目撃者に困っているという。そりゃ見られても良いと思って遠慮もせずに
視るとこいつは13歳の時から12年で9人も
明日午後13時の教会前広場にてラウム教による教会裁判が行われるとお触れを出す騎士が出て行った。
早っ!どんなけ早いねん!バシ!
視た。
長男への訴えが出て二か月近く延期されてきた事案だ。他の案件も取り調べが終わって教会裁判を待つばかり。長男の殺人を揉み消す
騎士団の配置は大きな広場を取り囲むように。しかも膝立ちで街の民が教会裁判を見易いようにと伯爵に注文を付けて行く。慣例により領都第一騎士団長が仕切って教会裁判の護衛と訴えの被疑者を取り扱い、執政官が罪状と取り調べの結果を読み上げると言う。
明日の打ち合わせを伯爵邸で行って昼には教会に到着した。
腐っても伯爵領都だ。教会前の広場がとんでもなく広い。一周400m位有るからリレーが出来そう。教会裁判は公開処刑付きだからイベントなんだよ、ラウム教圏の教会前は教会裁判のイベントでどこもこんな感じみたいだ。
お昼を教会で頂いて散策に出る。メインストリートの賑やかな通りを歩いても大司教のド派手な服で因縁も付けられなかった。
15時頃に帰って来るとラウム教会前の広場では教会裁判の用意がされていた。被疑者が引き立てられて順番に座る長椅子。処刑台も3種類、断頭台、絞首台、
教会裁判:訴え出た者と被疑者の罪を神の名の
領都教会には司祭二名とシスター六名がいた。領都教会は以前ニウさんが司教として駐在していた(顔は違う)新しい教義になってから布施が少ない中で孤児院を回しているのに、俺達一行(聖騎士入れて九人)に精一杯の食事を出してくれた。俺は教会裁判でガッポリ絞り取ると心に誓った!
司教もシスターも真面目で優しい人で、ラウムの教えに帰依する正直者だ。少しでもお布施が集まって楽になる様に頑張る! 心に信じるラウム教の底力と奇跡を目に焼き付けて自信を持ってくれよ!
・・・・
翌日。
平日にも関わらず9時には教会前の広場にもの凄い大観衆が集まった。教会裁判は民の間では
教会広場でひときわ高い壇上で拡声魔法の掛かったペンテ伯爵が高らかに宣言する。
「これよりラウム教国から参られたアルベルト・カミヤ大司教による教会裁判が行われる。それは神の御前の裁きである、ミウム総本山、大司教様のお話を
ことさらにラウム教の御威光を持ち上げて免罪証の正当さをアピールする伯爵が面白い。今日は良く踊れよ!
「ご紹介にあずかりましたアルベルト・カミヤです。身体が小さいと思うでしょうが15歳の成人です。(大観衆が笑う)みなさんは本場ラウムの教会裁判が見られて果報者です。ラウム教が
ふざけんな!とラウム教に唾する者がここには多数いるので意識改革の意味でも重要な教会裁判だ。
「これより、ラウム教教会裁判をペンテ伯爵領都教会前で行う事を宣言する!」
仕切る代官にウンと
「これより教会裁判を
ウォー!と叫びが広場を支配する。宣言した伯爵はどっかに行っちゃったよ(笑) あぁ、公園で休憩するのね。
「捕えられた被疑者をここに」
執政官が訴え状を読み上げる。
「この者、大工のサンタスは商人マナスタの店を改修し代金を貰う段になって暴れ出し、マナスタの腕を折りました」
大店の主人を怪我させたという罪人が出て来た。
「サンタスよ罪状に相違ないか?」
「マナスタの旦那が悪いんです!約束した金を仕事が終わってから値切られたら誰だって怒ります」
執政官を視ると暴れた大工のサンタスに鞭打ち三回もしくは罰金銀貨五枚相当の罪と思っている。
「訴え出た商人マナスタよ被告人はこう言っているが、値切ったのか?」
「値切りましたらサンタスが怒りだし殴りかかって来たのです。腕も折られて訴え出るしかありません」
「断罪を言い渡す!有罪である!」
たちまちウォー!と鞭打ちを期待する大観衆。
「商人マナスタは決めた金額の三分の二、大銀貨八枚(60万円)を出し、お互いが信義によって取り決めた大銀貨十二枚(90万円)の金額をないがしろにした。それは値切りではない、信義を破る
魔術証文が無い事を良い事にサンタスの誠意ある大工仕事を
断罪された商人マナスタは大銀貨十二枚の二倍をサンタスに支払う事。お前が行った事でラウム教会並びに執政官、騎士団全ての者の時間を無駄に使わせた、それは税を無駄に使わせたと言う事だ。罰金として教会に大銀貨四枚(30万円)、執政官事務所に大銀貨八枚(60万円)の
大観衆がうぉー!と驚きの逆転裁判に大喜び。
「そんなバカな!」マナスタ。
執政官も驚いている。訴え出た方が断罪されたのだ。
「商人サンタスよ、教会裁判を
「執政官様!何かお言葉を!」
マナスタはうろたえて助けを求めるが領主でさえ教会裁判で出た判決には何も言えない。
「・・・
「払えないのであれば、大銀貨三十六枚分(290万円)を稼ぐまで鉱山労働だが払う気は有るか?」
「払います!払います!」
「大工のサンタス、商人マナスタに付いて行き大銀貨二十四枚を受け取って来い。そこの左端に立つ騎士団員は護衛に付くと共に、教会分と執政官事務所分の罰金大銀貨十二枚を受け取りサンタスを送ってここへ帰れ」
「は!」
「大工のサンタス、以後も良き仕事に励め」
「ありがとうございます」拝んでくれた(笑)
歓声が巻き起こった。
「次の被疑者をここへ!」
訴状が執政官に読み上げられる。
「パン屋ネルの倉庫に忍び込み小麦四袋を奪った冒険者、アゴス、ベネジット、イウリ」
執政官を視ると労役五年と出る。追視で視ると犯人は粉ひき小屋の番人だった。
「ちょっと待て!」
騎士団を呼んで六人で捕まえて来いと指示を出す。
「アゴス、ベネジット、イウリ罪状に相違ないか?」
「僕たちは何もやって無いんです。本当です」
「良く分かった、しばし
「次の被疑者を吟味する!」
次の訴状が読み上げられる。
「3位冒険者カナンとバースは宿泊先のレンガ亭の食堂で乱闘し器物損壊及び冒険者バースと止めに入った店主ラモは傷を負いました、レンガ亭が賠償を請求しても二人はお互いに罪をなすり付け合い、傷を負って稼げないとの言い訳で逃げ、賠償しないそうです」
視たらその通りだ。執政官視たら色々意見も違う、裁定の分かれる事例だった。ラモは片手を包帯で吊っている。
「訴えに相違ないか?」
「ありません」
「ありません」
「断罪する、二人は半年の禁酒及び依頼報酬の二割を罰金とする。半年間二割の内訳は一割二分をレンガ亭、四分を教会、四分を執政官事務所に収める事。冒険者証はペンテギルドに預け門外の依頼には半年間の身分証を執政官事務所が発行する。半年間が終わった後にギルドの報酬記録と突き合わせ間違いの無い事をレンガ亭が確認した後に冒険者証は返還する」
「バース、ラモこっちに来い」
「え!・・・はい」
「ヒール!」
「これで充分稼げるようになった筈、
レンガ亭への賠償額も多くなるだろう。二人は真面目に半年間依頼を務めよ。店主の要求した額の二倍を返済次第に冒険者証を返し贖罪が終わった事にする。逆に半年経っても返せなかった場合には借金奴隷としてキッチリ返済させる」
クラン雷鳴の(4~3位)外部PTでは一割のクラン費で平均銅貨十三枚(1300円)近く毎日クランに入れている計算だ。二割の半年なら二人で大銀貨九十二枚。(レンガ亭返済分55.2万円、教会、執政官事務所分36.8万円)それは店主が二人に請求した額の約4倍。すなわち一人頭二倍を払えば半年以内に贖罪は終わる。店主のケガで休業補償も含めてレンガ亭も納得する。
約5分、長くて15分の断罪は続いて行く
日本で検事になってたら求刑する側だった。まさか異世界で裁判官やるとは思わなかった(笑) しかも異端審問や魔女裁判で無理筋まで通っちゃう教会裁判の裁判官だよ(笑) 普通は代官が行う事を教会がやるって、どんなに効率的か良く分かった。神の代弁者が俺だもんなぁ、マジで神の名の元で無茶苦茶な裁判だわ。
世の全ての人が神が居る事を知っていて信じてもいるが、姿を現さない神を悪人は
10時半になると、お茶の時間が取られた。俺の前にタルトの様なお菓子が三つ運ばれた。観衆もトイレに行ったり広場の露店でお茶やエール、つまみを買って仕事に帰る奴は居ない(笑)
そのうちにパン屋のネルの小麦粉四袋を盗んだ粉屋ギャレットが騎士団に連行されてきた。
真実の声を使う。
お前が今まで隠れてして来た悪事を白状せよ。
・粉ひき小屋で小麦を預ける者に配達しながら、勝手知ったる家に盗みに入って、めぼしい物があれば盗んでいた。
・預けられる小麦をコップ一杯ずつちょろまかして小遣いにしていた。ちょろまかした溜めた小麦は売っていた。
・小麦を預けた者には流民上がりの冒険者に小麦を盗まれた被害者が多いから気を付けろと暗示していた。
「自分が食う分はちょろまかし、盗んだ物は売るみたいだな。奴隷労働十年!断罪は終わった、連れて行け」
「パン屋のネルよ、無実の罪でここに連れて来られた冒険者のアゴス、ベネジット、イウリの悲しみが分かるか?怖さが分かるか?小麦という金にも変わる大事な物を袋で盗めば奴隷労働五年は確定だぞ。しかし、近所でギャレットにより流された噂を聞き、疑ったのは仕方がない。
ギャレットの資産から被害者全てに
「そ、それは・・・」
「よい!教会の裁定を下す。ギャレットの資産を全て売却した後、パン屋のネルに小麦四袋の
観衆を視て行くと、『気の利いた裁定だな』『甘くないか?』と色々な感情が渦巻くが、とても細かい
「次の罪人を連れて来い!」
伯爵の長男エルノスが連れて来られた。牢にも入れられず伯爵邸に居たのだ、部屋で裁判まで大人しくしてろと言う感じだな。当然縄も打たれていない。
集まった大観衆に
執政官が罪状を読み上げる。
「ヘリオス村に行った際に伯爵家長男エルノス・ペンテ卿は食堂の娘ロシスを誘い村外に連れて行きました。一緒に来ないと食堂を潰すとの言葉を聞いた客がおります。以後はロシスは村に帰らず、村外れの森に娘と歩く伯爵家長男エルノス・ペンテ卿のご一行が多数の村人によって証言されています、二日後、娘は遺体で森に・・・」
「あー!もう分かった!斬首を申しつける」
(大司教様!免罪証を忘れております)
執政官がすかさず付け加える。
「罪人は反省しているか?免罪はそれからだ!」
「当然反省している!」
「反省しているように見えませんが?」
「誰に物を言っている、私が言えばそうだ!」
「どうも、分かってないみたいですね」
「早く裁定せぬか!」
「無罪と言って欲しいのですか?」
「無罪に決まったであろう!」
もうこれ以上アカン!どうしようもなく怒れちゃった。鼻高々のお貴族バカをぶっ飛ばしたくて止まらなくなった。
ドヤ顔でどうせ無罪だと高を
バチコーン!
横に居る騎士団と執政官が凍り付く。
よろめいて後ずさるエルノスを回し蹴りでぶっ飛ばす。
「それが反省してる奴のツラか!」
「お前!誰を叩いた!クソ司教が!」
大司教相手にやる気満々、身体強化回しやがった(笑)
長男が飛び掛かって暴力を振るって来たので正当防衛した。
「大司教だって言ってんだろが!」
大人のエルノスが(子供の背の)アルに殴り掛かる
「ここは寝る所じゃねぇ!」
ヒールしてパンパンと張って起してから丁寧に蹴り飛ばす。騎士団小隊長の暴れん坊が為す術もなく飛んで行く。
極悪人は市中引き回しの上、獄門と決まってんだ!(それはあっちの時代劇だ)
「悲鳴を上げるペンテ伯爵家の長男エルノスを蹴りながら広場を引き回す。足に乗せて軽々と蹴り飛ばす子供大司教」
騎士団は目の前の光景を見て
「お前はこうやって泣き叫ぶ者を殺して来たよな?新しい剣で人を斬りたくて、通りすがりの村人にも襲い掛かったな?」
罪を言いながら蹴り転がして行く。
アルは大観衆に『悪い事するとこうなりますよー!』と言いながらデモンストレーションしている。今まで理知的に裁いていたのにキレてぶち壊してしまった事にも怒れて余計に蹴っておく。
伯爵家の悪ガキで有名だったエルノスが泣き叫びながら大観衆の前で蹴られている。腕も変な方向に曲がっていた。
観衆はもの凄く熱狂していた。胸のつかえが取れてスッ!としているのだろう、とても大歓声だ。声援に応えてボロボロにしていく。
教会の裏に隣接する公園の木陰で天幕を張り、休憩のお茶をしながら息子エルノスの裁きの番が来るのを待つペンテ伯爵。広場で巻き起こる大歓声を斬首が出たかなと笑っていた。エルノス様の裁判が始まったと青くなった執事に聞き、広場に行くと長男はぼろ
(1万字を超えているため)後半へ続く。
次回 375話 ゴジラ対エヴァ
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一期一会に感謝をこめて。よろしくお願い致します。
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