第108話  お土産



夕食の時、暁の副団長さん達を紹介してもらった。


平服だが、4人共面構えが違った。

根性据わってます。と顔付きに出てる。

ガルスさんの顎が根性あるのを主張している。

視ると師匠より年が上の人も一緒にいる。


暁の事務のお姉さんが多彩過ぎて驚いた。戦う事務員さんだ(笑)商売、算術、交渉、恐喝、威圧、罠察知、罠解除、気配察知、気配遮断、弓術、二刀術で火魔法と無魔法まで持っている。斥候やってた元冒険者でブイブイ言わして戦争に参加。終わった後に暁だ。


戦争中に師匠含めて傭兵団を誘導して罠を見破ったり、奇襲の後の逃走経路とかで何度も助けてる。団長に誘われて暁入って頭が良いから誰も逆らえない感じ。


他の恩寵は大体皆と一緒かスケールダウン。そりゃ事務員でも暁の傭兵だったら強いわな。


レノアさん、笑わなきゃ美人なのに笑うとならず者過ぎて引く。自分で知ってるのに直せないと諦めてる。

何かあるとハルトさんとローレンさんを蹴りに行くし、まるで拳銃が短剣に変わったレヴィだな。


あっちで言ってた身元確認に最適スキルのワードが今満たされた。と言うか興味出て色々視ちゃった。


レノアさんが魔法持ってるのは平民のお嬢様だったからだ、生活魔法覚えてる修行の間に家族が襲われ死んでいる。それから復讐のために冒険者、復讐も誰か分からないから諦めてる。商売や計算、交渉ある訳だよ。


機会が有れば二刀術欲しいな。カッコ良さだけ欲しい。

視ると二刀術は同じ剣じゃ無くて、短めの片手剣とソードブレーカーみたいな相手の剣を噛みこませて戦う短剣で二刀にしてた。

だからなのか格闘術のLvは高い。


残念な事に模擬戦は片手剣と短剣の模擬剣でやってるぽい。剣の長さも違うし、相手の剣を自分の武器で抑えられなくて苦労してる。


ハルトさんが斧だ。盗賊にも居たが斧も普通にアリなんだな。ガルスさんは背の高い米商の島袋がガッツのコスプレで両手剣背負ってる感じ。我ながら酷い例えだな(笑)


ローレンさんが片手剣か鎗。マルクさんが今いないけど片手剣に手首か肘に固定して左手で掴む円盾だな。(4人からのイメージ映像です)


また、演習場で会ったらよろしくお願いします。と言っておいた。



夕食後

髪が気になったのでアニーに切って貰った。

チョンチョンともっさりしてる所を摘んで貰って切り揃える感じだ。前の黒髪の太い感じの毛ではない薄い金髪で髪は多めだが細かくて長さが気になるだけだ。それでも切って貰ってると軽くなっていく。


髪を切って貰っている間に、朝のバラライカを質問された。


あ!忘れてた!痛恨の極み。


「アニー!超ファインプレーだ!」と通じない言葉を叫んで部屋を飛び出した。


すぐにお爺様の部屋に走っていきノック。

ジャネットが出て来て通してくれた。

お爺様に面会に来て、お爺様に向かわず応接に一直線に向かう。ジャネットもビックリしてる。


突然孫が来て応接机にバラライカをぶちまけて選べと言う。


「お爺様!どれがいいですか」


この絵面は無いわ!ちょっと焦り過ぎた・・・



さすがお爺様。大量のバラライカ見て落ち着き払って言う。


マジ領主は凄い。


「これは、儂のだけじゃないな?皆のがあるな?」

「はい、あります」


ジャネットに言い付ける。

お婆様とお父様とお母様とアリアが呼ばれた。

おぉ!こっちの方が正解だ。それが当たりだ!貴族として。取って付ける。


俺が出した一番高いバラライカの毛並みや好みを踏まえてワイワイガヤガヤやっている。一月末?に王都へ出る時に身に着けて行ったら最先端の新しい防寒具だから、貴族的に好感度大。基本頭が入れば紐で締めても良いし、風が寒いなら鼻まで隠すことが出来る。


時間的にギリギリでバレなかった。昨日はバタバタしていたし、朝も寝てたらダメだ。お土産を渡すタイミングは夕食後のお茶が終わった今以外無いのだ。


5人の打ち合わせが終わったあと。

「儂はこれを貰う」お爺様

「私はこれを」お婆様

以下略。

「お兄様、私はこれを!」アリア


やっぱ高貴な人は眼も肥えている、最高級の一番高い雪うさぎの白だ。フワフワで綺麗だからそうなるんだけど。


導師が掴んで離さなかった訳が今わかった。立場的にあれしか無いのだ。良く分かった。八つ当たりした両替商ゴメン、反省しておくからな。

俺だけ白髪うさぎだよ!でもいいの。もう愛着がわいている。


何はともあれ、屋敷の皆に土産を渡すならさぁ、絶対に家族からこれをやらねばならなかった。ホッ!


そうじゃないと朝の約束通り皆に渡せない。

一番の高級品を一旦回収。


ジャネットとシュミッツを借りて良いか聞く。

お爺様もそれを予想していた。


「良い、この応接をそのまま使え」

「良いのですか?」

「良い。お主が考えたパーヌの特産、皆にお披露目せよ」

「はい」


ジャネットは最高級品見てるから、あからさまにここが高級品だよと見せて置いていく。6の高級品と44の貴族用を置く。貴族用でも雪うさぎあるから大丈夫。副メイド長2名や副執事長、副料理長の分まで最高級が行く。


来た人に選んだバラライカを付けさせて使い方を教える。


シュミッツもジャネットも遠慮も何もせず最高級の雪うさぎを掴む。料理長も同じ雪うさぎを掴み取った。忖度などしない。序列が上の者が良い物を取るのが良く分かった。立場的に良い物取らないと恥とかになるんだろうな。


極め付けがアニーとビクトリオだ。公にお土産を賜るのと個人的に賜る事が、何も言わなくても分けられていた。ちゃんと職務の序列順にお爺様の執務室に呼ばれて、残りの良い物から選んで、付け方を教わってから丁寧にお礼を述べて帰った。


半端ねぇわ。見たことも無い防寒具を制服の上に着けて良いか二人共聞きに行く訳だ。やっとこれで子爵家に認められた事になったのだ。ホントにもう!堪忍して(笑)


何だかんだ言って、マジ序列の勉強になった。


料理長の下には副料理長も居て、スープ担当、焼き物担当、などあるのだが驚いたのが副料理長の下の2名のウエイターだった。視たら各担当を経た者がウエイターとなり、食堂のメイドに料理長が決めた料理の順番通り手渡す役になっていた。各担当と料理の組み合わせの調整をしたり、盛り付けの最終的なダメ出し役で偉い人だった。俺、普通に一番下だと思ってたよ。


マジ序列を見ておいてよかった。全部覚えた。

馬丁が一番下なのが分かった。


50有れば足りると思っていて32無くなった。

暖かいから外出る時はしてくれよ。


お爺様から、これは外で重宝すると褒められた。騎士団と衛士と守備隊の分はオットー商会に頼んでおくと言われた。


シュミッツに奥さんの分とジャネットに旦那さんへのお土産と、二人と同じ雪うさぎのバラライカを渡しておいた。ヒース団長と言うと役職で怒られるからな(笑)


選ばれなかった16を回収してお爺様に少し考えを聞いてもらった。


「このバラライカなのですが、基本的にクリーンの魔法が近くに無いとフワフワじゃ無くなると思うんです。庶民用に厚手の布とかで洗えるように作った方が良いでしょうか?」


「ふむ、ジャネット、どう思う?」

「厚手の布だと庶民には手が届かないかと」


「あ!布も高いんですね?」


「これは風が防げれば暖かいと思うので、端切れのパッチワークでも良ければ、カラフルでお安く上がるかと」


「ジャネット!ありがとう!」

ジャネットの手を取って小躍りした。


「アル様、商会はお決めですか?」

「オットー商会通した方が良いですよね?」


「そうじゃな、その方が良いのう」


「ロスレーンの貧民街に針子のコミュニティーがあるのですが、出来たらロスレーンの針子にも仕事をやりたく思うのですが」


「10日頃にオットー商会長とリリー殿がロスレーンに来る筈じゃ、見本だけ作らせて見せてはどうじゃ?」


「え!」

お爺様がニヤリと笑う。


「分りました!その様に色々庶民用を作らせてみます」


「それが良いの」

「ジャネット、ありがとう!」

「アル様、どういたしまして」

スカートをチョンとやってくれる。


お爺様に挨拶して帰ろうとする時に言われた。


「髪の毛が変なので切りなさい」


あ!アニー!

・・・が悪い訳じゃない。俺が悪い。


「はい」




部屋に帰るとアニーが居た。


「せめて終わってからでも良かったのでは?」

いきなり言われた。よっぽど変なのか。


「忘れてたから焦っちゃった」

「アル様、正直すぎますよ(笑)」

「そうかなぁ?」


「そうですよ、そういうのを言わずに皆が納得する事言わないとダメですよ。貴族はそうなんですから」


「!?」あぶねぇ!


俺貴族じゃねぇからなぁ。と口に出そうになった。

いつかやらかしそうだなぁ。危ない危ない。


「だって、そうなんだもん」あ!子供口調(笑)


「アル様(笑)」

「今日、お風呂あったよねぇ?」

「今日ありますね」


「アル様がお土産を下さったので少し遅いかもです」

「そっか、まぁいいや、耳もお願いね」

「はい、アル様」


「明日も街出るからね」

「何かありましたか?」

「今日のバラライカを作りに行く」

「え?」

「うーん、どうしようかなぁ」


「それは・・・」


「ごめんごめん、アニーが作るわけじゃ無いからね」

「私には作れませんよ(笑)」


「うんとね、布の端切れを集めてパッチワークでバラライカを作ろうと思ってるんだよ」


「え?布ですか?」

「そう!平民や、貧民街のみんなが買える奴」

「布でお安く買える様にです?」

「そうだよ、布でも寒く無いならいいでしょ?」


「あ!安くて洗えて暖かいですね」


「そうそう、そんな感じ。明日お針子さんの所に行ってみようと思うんだ。ビクトリオにもお願いしといてくれる?」


「はい、アル様」


当面、両替商の事後処理しないと駄目だな。

何時になったら終わるかなぁ・・・

今日、お風呂の後からやり始めよう。



つかの間の休息だった。

本人の希望的抱負とは裏腹に激動の年は明けた。





次回 109話 固まるビクトリオ   

----------------



この物語を読みに来てくれてありがとうございます。


読者様にお願い致します。


応援ポチ。☆も頂けたら嬉しいです。


ポチをしてくれる事。それはとても励みになるのです。


一期一会に感謝をこめて。よろしくお願い致します。


                思預しよ

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る