第105話 アルVSハルト
12月30日 夕飯前のアルへ戻る。
自分の部屋で模擬剣振り回して鍛錬。
こんなに時間使って鍛錬したの久々だ。
大の字になって休憩してたら、アニーが専属に戻った報告に来た。さっき覗いて逃げてったのはソレか(笑)
アニーが実家に帰って来た事を言っている。お土産も一杯持って行ったんだな、お父さん守備隊だよな・・・うんうん、楽しかったみたいだな、良かったな。今度時間が有ったら俺も一緒にロストにお礼に行ってやるからな。
さっき気になった事を聞いてみた。
「外で雪がチラ付くのにスカート寒くないの?」
「寒くないですよ」
「あんなに寒い中立ってたのに?」
「ほら」見せてくれた!
8分丈?ひざ下のぶかぶかなスパッツ?ズロース?履いていた。イヤ、それはもう分厚い暖かな布の防寒ズボンで見た感じオーダー物の優れものだった。流石メイド様。
そりゃ、板間ばかりで断熱もへったくれも無い部屋に居たらそうなるよねぇ。丁度スカートから覗く生足だけが生だった(笑)
「それってメイドはみんな履いてるの?」
「履いてますよ」
「それでみんな震えて無かったんだ(笑)」
「足の出てる所は寒いですけどね(笑)」
「そりゃそうだよ、雪もチラつくのに」
冬はメイドも寒かろうと心配して損した!
うさぎのレッグウォーマーを作ってやろうと思ったのに。それはそれでバファローマンみたいなメイドが生まれそうなので自分で勝手にウケた。
「そろそろ食事か?行くか」
「はい、アル様」
食事に行くと、導師と師匠と家族だった。副団長達は鍛錬しすぎて夕飯は辞退するとの事。武勇伝はまた今度聞こう。
料理長がわざわざ作ってくれたステーキはとても柔らかく美味しかった。副団長の食べなかったステーキもおかわりで焼いてくれた。帰って来てゆっくり出来るっていいな。
食事後に呼ばれて師匠と導師の新しい家に行った。
(主人の食事後にお茶をいれて一服してから使用人達の食事だから、メイドはいない)
外側は出来ていたが内装がまだだった。
家族7~8人で楽勝なぐらいの2階建ての農家の家だ。
見てから気が付いた、農家じゃ無いと草原や山の中にポツンと立ってたら目立ってしょうがない。貴族街に建つレンガ作りじゃ草原に異質過ぎで騎士団来るわ。
外見は農家で中が貴族の屋敷なんだけど・・・
農家分の外側はマンパワーで出来るけど、貴族分の内装は時間掛かりそうね。
小さな出入り口に大きな吹き抜けの玄関ホール、右手に階段と応接、左手にキッチン、正面がトイレとお風呂に倉庫続きの研究室。階段上がって2Fが執務室×2+寝室×2、客室が大2、小3。面積的に20m×15m×6m?部屋に余裕があり過ぎ。
内装はまだ掛かりそう。でも寒い外で仕事しなくていい分、内装は作業しやすいよね。倉庫は最低限。出すのにインベントリの方が便利だって。そりゃそうだ。
農家にカモフラージュはマジ良い感じ。
俺と師匠の部屋は?と聞くと好きな所で良いと言う。そんじゃ師匠の決めた横にすると言うと、師匠は階段の横にした。吹き抜けに面する横の部屋の無い所にしやがった!
俺的にはさぁ、師匠が用事がある時に壁をトントンしたら俺がすぐに何ですか?と行けるじゃん!と師匠に怒りまくる。
師匠は吹き抜けに面する壁から来客が分かるように窓になってると言う。物騒なお客来たらどうする?とドヤ顔で覗き込まれる。
ぐうぅ、そんな事言うなら・・・何も言えない。負けた。
俺も何か貢献できる場所を探すんだけどさ。
師匠の隣の部屋もあるんだけど・・・
導師と一番遠い突き当りになるんだよ。家の表も裏も横も吹き抜けも見られるようになってる大部屋。導師の執務室に対して廊下を挟んで反対側の同じ作りの小さな執務室になる。来客の応接も作れるスペースがある。
ここ貰えるのか?イヤこの部屋は絶対マズイ!
ダメだと佇んでいたら「アル、良いとこ選んだのう」と普通に言われた。え?こんな立派な部屋(内装何も無いけど)くれるの!わーい。
導師を褒め称えておいた。家が大きいからインベントリLv上げなきゃね。俺の方が完成が待ち遠しいかも。
ベント導師の家
https://gyazo.com/f43ed624d29ac29d981cef658b10cbc4
・・・・・・・・
部屋に帰ってアニーに言った。
「明日から5時に起きるからお願いね」
「はい、アル様」
朝の鍛錬が終わったら街に出てみようか。
「9時に師匠に鍛錬見て貰って9時半に出る」
「お昼のお食事はどうされますか?」
「適当に屋台で食べよう」
アニーが固まってる(笑)お前平民だろうが!
視たら女子の
(お前、あっちのご婦人がそれやってたか思い出せ)
うーん。
「孤児院で皆で食べよう」
アニーがホッとしたホッとした(笑)やっぱタブーは有るんだな。
「そんじゃアニー、今日はいいよ。また明日」
「はい、お休みなさいませ。アル様」
「うん、アニーもおやすみ」
スカートをちょこっとやって出て行く。あのズボンを見せないのは正にプロだ。メイドはどれほど鍛錬してるんだ。
無駄に見えると言うのはそういう事だった。それすらも吸収する恐るべき極められた目である。普段眼を使わない訳だった。
新年の1週間は、仕事はお休みらしい。お休みの人を当て込んで商店や露天商、食べ物の屋台とかは出て賑やかみたいだ。
貴族は当然ステータスボードを10歳の宣誓の儀で与えられるから誕生日とか年齢が分かってるけど、平民の場合は持ってない人も多いので簡単に新年を越すと1歳増える様に歳を数えて行く。
そんな意味でお祝いムードもあって少し贅沢な食べ物を食べたりするらしい。当然こっちは商人もスレて無いので歳末セールだ新年セールだ福袋は無い。福袋ってお得で良いのに。ってかそういう服とか大量生産出来ないからバカ高い。福袋案ダメだ。
旅行のお金とか浮いたしなぁ、孤児院に何か買ってってやろうかな?あ!剣や格闘は頑張ってるかな?明日相手してやろう!
アニーの仕事を取ってしまうので(アニーは朝、寝巻のお着替えを持ってアルを起して着替えさせるのが朝一の仕事だ)アラームは掛けずに寝た。
・・・・・
朝5時、アニーに起される。
「アル様おはようございます」
「おはよう、アニー!僕11歳になったよ!」
「え?アル様?」
アニーは平民の歳の数え方かと思った。しかも喋り方が子供になってて驚いた。
「あ!ごめんごめん、そうじゃない、旅の間に11歳になったって事。昨日言い忘れてたの」
「それはおめでとうございます」
でもなんか子供っぽい(笑)
「アニーが怖がるから剣はやめておくね」
「はい、暗いですがライトで外出ますか?」
「ここでやる、アニーは座って見ていて」
「お顔は?洗われませんか?」
「あ!、明日から桶と布は用意して。ここで顔洗う」
「洗面そこですが・・・」
「あ!そうだった(笑)」
二ヵ月間で習慣が変わっていた、旅の前はアルは外の井戸ばかり使っていて朝洗面を使う事が無く、忘れていた。旅の最中は宿の桶に水を入れて顔を洗っていた。
「洗面があると有難いなぁ・・・」思わず声に出る。
「プッ!」アニーが思わず笑う。
「アル様何言ってるんですか、前から有ります」
「そうなんだけどさぁ、使って無いから忘れてた」
昔の記憶があってもその記憶は元のアルベルトが使った記憶だ。俺の記憶と結び付いてない。昔を思い出さないとダメ。
アルになって九カ月だけど、この二ヵ月は居ない。アルになって浅いから二ヵ月で家の事忘れちゃう。やっぱ浅いのは出ちゃうよな。気を付けよう。
顔を洗ってうがいと歯を磨く。
剣を持たずに剣の型だ、足捌きの重心を少し修正して剣で騎士団の全ての武器に対していく。基本に忠実に、基本に熟達する様に、基本の土台に洗練した技が乗る事を知っていた。
気が付くと大汗かいていた。集中して理想を追う。心に入り込む事に慣れていた、ビックリする程、時間の経つのが早いのだ。
ふーっと息を付いてアニーに歩み寄ると椅子からスッと立ってタオルを渡してくれる。
「アニー、寒いから明日からここで繕いでも読書でもお菓子作りでも何でもしてろ」(小麦粉があるのでクラッカーやクッキー系のお菓子はある、砂糖が高いので蜂蜜代用が多い)
言い渡して外に走りに行く。
重りの鉄棒持って模擬剣付けて、フル装備だ。以前は模擬剣吊って無かったがより実戦で負荷にもなるので最近は付けて走っていた。
二ヵ月経ったから七周かよ!食事の時間に間に合わなくなるぞ。全力で行かないとな。
何とかかんとか走り切り、へぇへぇ言いながらも部屋に帰る。アニーのクリーンを受けないと仕事取っちゃうからな。
クリーン掛けて部屋でパタパタやる。これどうなんだ(笑)
仕事増やしてるぞ。
食堂に向かって、お爺様とお婆様に挨拶して見まわしても副団長も居ない。そのまま使用人食堂へ・・・
お爺様が追いかけて来た。
「アル!食堂通り抜けてどこに行く」
「使用人食堂ですが、ダメです?」
「ダメじゃ。何で家の中から入って食堂を通り抜ける」
「いつもあそこで食べてたのですみません。この格好でも食堂いいですか?」
「剣まで吊って相応しくないな。まぁ分かればよい」
・・・・・・
新年二日目に飛ぶ。
外の鍛錬から剣吊ってアニーを連れずに、外から従業員食堂に入るアル。
屋敷の食堂で食事が出るのを待つのがイヤだった。すぐ鍛錬するのに平服に着替えるのがイヤだった。その時間を浮かしていた、アルはそういう所はブレない。だから翌日はアニーを捨て置き使用人の食事をトレー持って並んで食べていた。
なりたい理想に一直線。
子爵邸は二ヵ月前の元に戻った。
・・・・
さらに新年三日目に飛ぶ。
食事後はアニーを部屋に入れて庭で剣を振り回す。
遅めに朝食を取る皆が、庭で鍛錬するアルを見ていた。
ラルフとアランとリード。そしてハルト、ガルス、ローレン、レノアがそれぞれに食事後にチラ見していた。
気が付いたハルトが構いに行きたくてウズウズした。体はリードにボコボコに〆られて3日目で少し痛かったが興味深々で構いに行った。少し稽古を付けるつもりだった。
食事後に模擬斧下げて出て行くハルトをガルスが止めた。
「子爵の孫だぞ。いい加減にしろ」
「いいじゃねーかよ、鍛錬してやるだけだ」
「怪我させるんじゃないぞ!追い出されるぞ」
「わかってるよ!うるせぇな」
「坊ちゃんよ、ちょっと揉んでやろうか」
「え! お願いします!」ぺこり
「いいじゃねぇか。男はそうでなくちゃな!」
ハルトは侮った。
アルは身体強化無しの騎士団の模擬戦の色々な武器を捌く型を行っていたのである。師匠と団員が行っていたあの模擬戦である。
団員の繰り出す武器のスピードに合わせて正確な刃筋で切り上げる、振り下ろすしているのだ。拳の時と違う、今は剣なのだ、忠実に片手剣の技に落とし込んでいる最中だ。
斧を持ったハルトが庭に出て来た。目を細めて見ていたアランと心配なガルスが見ていた。
両者が模擬戦を行う構えに入った。
ハルトさんはその辺の冒険者と違う。暁の歴戦の傭兵だ。
アルは師匠に対する全力の身体強化で臨んだ。当然眼も稼働している。相手が暁の副団長ハルトなのだ、胸を借りるのに己の全力を出して臨んだ。
ハルトが身体強化無しで、小手調べで斧を打ちこんだ瞬間それが起こった。
二つの斧が瞬時に弾き飛ばされた。
アル自身がビックリした。師匠の枝(20cm)にも触れない剣が斧にクリーンヒットした上、握った手から弾き飛ばしたのだ。
アルとハルトはお互いに呆然とした。
アランもガルスも窓辺で呆然とした。
・・・・・
詳細はマテ!
チャンネルはそのままで!
・・・・・
翌日から朝食後は庭で暁の4人が相手となった。
瞬間を見逃した
次回 106話 四十の瞳
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