第10話  ヘタレ攻めは誰だ 



二日後。


放課後、集金に電話して家庭訪問することにした。



介入するのに悩んだ末に開き直ったせいなのか、カウンセラーって将来良いかも?と、結構軽い気持ちで家庭訪問しようと思ったのだ。


停学中の集金の家に向かった。住所も行き方も分かる。



唖然とした。集金の家立派!視るイメージと見る実物の差がすごい。集金だけあるなと納得したら、家視えた。


え?社長じゃん。ゼネコンの社長。家に付いているイメージがすごい。ゼネコンと言うか土建屋?親方?社員怒鳴り倒している。凄ぇ!ヤンキー上がり、メチャ怖ぇぞ。


あれだ!コレ集金のメチャ濃いやつだ、特濃だ(笑)

 

つまらぬものを視てしまった。



呼び鈴押したら出てきたよ、玄関から門まで遠いだろ。



「集金!」シュタ!この挨拶ダメだ、やめよう。


集金が嬉しそうに尾を振っている。


視た感じ俺ってそんな感じなのね、刷り込みみたいだな。アレか?土下座で刷り込みか?



二階の集金の部屋に通されて、すぐにお母さんが自己紹介してくれた。普通の家はそういうことしないから。真由子さんの名前とか弟の名前や紹介とか、まだクラブで帰ってないとか要らないから。余計なモノまで視せないで!



集金の名前を語る前に集金のお母さんの名前を語ってしまった。

俺の母の名前もまだなのに・・・あれ?自分の名前も語って無い気がする。


神谷かみや あきらは不意に思った。



でも、すごく優しいのは解る。ヤンキーと駆け落ちってこの人もパナィ!すげーな集金。この人の優しさか?親方成分入ったハイブリッドだ!



集金から「神谷先輩が家に来る」と聞いて、お母さんまでそんなに喜んでくれてありがとう。まぁ停学中に接触して来る奴もいないだろうしな。


お母さんもこんな時期、何の話で先輩が?との疑問が有る様だったので、今回の事件の詳細な概要、集金の活躍と、平田の悪行(ごめん)、殴っても何も悪くないことをお母さんに報告しておく。学校の噂でヒーローになっていると言うのはリップサービスだ。


「あらあら、まぁまぁ」と本心でコロコロ喜んでくれて嬉しい。多分、こういう持って生まれたものが親方おびき寄せる餌なんだろうなと納得する。我ながら集金の母にひどい感想である。


親方がおびってんのが視えるんだよ。しょうがないだろ。



「ゆっくりしてってね」とお茶とお菓子を後に、お母さんが一階に降りて行くのと高そうなクッキーを視てから作戦は開始された。



「神谷先輩、わざわざ来て頂いて、ありがとうございます」土下座で対応する集金。


「集金。お前何やってんのよ?」


「土下座ですが。崩れています?」


「そうじゃねぇよ土下座しなくていいよ。停学の方で何やってんの?ってこと」


冒頭からちぐはぐだ。三か月ぐらい放置していたし。(証拠写真と領収書を集金の手下に貰ったぐらい)



土下座を崩して説明をしようとするのを止めた。


「俺は「イヤいい、みんなから全部聞いた」」嘘である。


しゅんとする集金。


「俺は怒らねぇよ、お前の気持ちは解る」お前以外も解ってる


「お前は何も悪くない!むしろ褒めてやる」お前以外も無罪だ!


富田にパッと花が咲いた。イヤお前、先生にもコソッと言われてるじゃん。



「聞いたよ、増田が無事で良かったな」


集金の顔がさらに明るくなる。そして頷く。


「良かったな、平田に取られなくて・・・」


「・・・」


「あの平田の野郎は増田が好きでな。お前が増田を好きなのも知っている」


「・・・」


「平田もお前に取られたくないんだよ」


「・・・」


「図星突かれて黙るな」


「神谷先輩、聞いていいスか?」

「なんだ?」

「増田の事、ハチって呼びますよね?何でです?」

「へ?呼んでねえよ」ギクッ!


「イヤ呼んでますって、何度も」

「呼んでねぇって、呼ぶ訳ないだろう」ギクッ!ギクッ!


「増田、今あだ名がハチですよ」

「はぁ?」いくら俺だってそんなのまで視えんわ。そんなニッチな情報視ない。


「気に入って自分からハチって呼んでって言ってます」

「マジか・・・」


ハチを思い浮かべてハチの情報を追視って何をやってる?ハチって俺が言ってるじゃん。


これアレだ!思った時に喋っちゃったとか?


あ!思い出した。あの時平田もハチって呼んでるわ!当たり前で気が付かなかった。


ハチハチ言いながら抱きつく平田が視えてムカツク!・・・ダメだこれは私怨しえんだ。こんなの視たら神様に怒られる。



集金のハチを視る(何言っているかわかんないよね)うん、まんざらでは無い表情で言っている。(直接そういうのを知っている人を視ると検索が早いんだよ)



「神谷先輩?」

アホな事考えていたら集金見て黙り込んでいた。



「おう!いまお前と増田をどうするか考えてた。お前、増田をなんとかしないと、これからもモーション掛けられてめるぞ」


「俺も富田って呼んでもらって良いすか?」


おまっ、そこでぶった切れるのか!尊敬するわ!


「おういいぞ」


いや、しかし、大物っぽく合わせておく。



全然話が進まねぇ、こんなに作戦に入れないってどうするよ。


無理矢理に視ながら進めるしか無さそうだな。



コイツマジで好きとか恋とか話せない奴なのか?あからさまに話題変えすぎだろ。


ここまで、逃げまくるってどういうことだ?


恥ずかしがってる感じじゃ無いんだよな。ハチが大好きで突撃して殴るぐらいだからなぁ。それ系の話をシャットアウトしてる感じかぁ。


土下座したって、クラスカーストを率いる程のハイスペックだったんだぞ。そんな弱点アリな訳?


あの親方ならさらって襲う系の既成事実で・・・いや止めよう。カンガエチャダメ。


あの親方の血を引いて・・・イヤ、そんな恐ろしいこと考えちゃダメだってば。


こんな家だし、成績良くてイケメンでガタイもよくて運動出来てナイトだし。ハチが妬いた訳だ。イヤ俺が妬く!



受け専ってことか?攻めたことが無い?確かに女子からモーションきのあるそぶりっぽいの多いな。


うん多い、多いな、多すぎだろ!


まさかのハーレム鈍感系だった。


受けたことしか無かった・・・orzうらやましい。


ってかこのスペックなら女子に総受けだろ。でもコイツの場合ヘタレ攻めってのも。




あっ!




精神的にナヨナヨして肉体はガテンのヘタレ攻め・・・それ俺だわ。



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注:神谷君は実は腐った世界を知りません。言葉だけ聞いて知ってます。告白するほうが攻め。告白受ける方が受けと思っています。自分をヘタレと称するようにヘタレが告白することをヘタレ攻めと思っています。ヘタレだけど見た目はマッスルでそう感じさせない集金君の告白ならヘタレ攻め、ちなみに誘い受けはモーションを掛けて男子に攻めて来て欲しい女子と思ってます。




次回11話 三つ目の条件

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