第8話 一丸に丸まっている
「そんじゃ、今から練習な。俺が
・・・・ポカーン。
#「なに固まってんだ?手前ら舐めてんのか!早く土下座しろぉー!」
ひな壇をレポートの束でぶん殴る。
もう約束したからこっちのモノと凄く強気で壇上で怒り狂う。本心では自分も巻き込む大炎上を心配しながら約束を取り付けたので余計に反動が凄まじい。イヤ、もはや狂人である。
#「違うだろ!八(増田)が先頭だろ!お前が先頭に居なきゃどうすんだよ!」
「そこの二人(山居、野元)そうだ。その三人でΔにならなきゃダメだよ。形にならないでしょ?」
「後は並んでな。そうそう、男がサイドと真ん中が美しいよな?うんうん、お前(集金)も分かってんねぇ。みんな同じ幅を意識してな」
(集金(富田) 関谷 横井 田口 三屋)
「よーし、そんな感じかな?全員土下座してみ?誰だって最初は作法知らねぇんだから恥ずかしがるなよ、照れなくていいぞ」
「お前(横井)もっとちっこく丸まれねぇのか? え!お前体固いな、しょうがねーか。いや、サイドとチェンジな」
(横井 関谷 集金(富田) 田口 三屋)
丸めた台本で頭をポンポン叩いて指示を出す監督。
「ちょっとそこ、お前(田口)。10センチぐらい前の方が頭の位置が揃うな。そうそう、綺麗になった、その位置覚えとけよ」
(ちょ!女子。こっちにこい!)ヒソヒソ
「下着見えちゃうから、ちょっとスカート長くしな。降ろせる?よし、みんな降ろせるな?おk!ジャージとかじゃ様式美に欠けるしな、良かった良かった。うん、降ろしたら戻れよ」
女子高生にマジ危ない
俺の優しさに安心しただろうと視た・・・え!?おまえら分かってやってたの?・・・俺が余りに狂人過ぎて怖くて言えな・・・コラ!俺はそこまでの狂人じゃねぇ!普通の狂、違う!。狂人のふりを、じゃない。もういい、お前ら視ると俺がダメージ食う。
こいつらさぁ、カースト上位だけあって男も女も妙に育ってんだよ。もう17歳の時期だし青い山脈も育ってる。顔も大人みたいにクッキリ出来上がってる。着飾ったら女子高生に見えねぇよ。
男もタッパもガタイも並み以上だし、バカだけど成績良いしスポーツもイケてる。家もデカくて金まで持ってるだけあってやっぱプライドも高くなるわなぁ。
最初から持ってるから調子こいてもしょうがないかも?いや、調子こいてもやって良いことと悪いことが・・・
考えながらも監督の熱心な巡回個別指導は続く。
「お前(三屋)まだ土下座わかんねぇのか?頭が高いわ!」
バシーン!台本の束で叩く。
「おう!綺麗に揃ったな。その丸まり方で行け。位置忘れんなよ。よし、それでみんなで謝ってみな」
・
・ ・
・・・・・
「二度ト致シマセン・スミマセンデシタ・・・」
それぞれが投げやりにブツブツ念仏を唱えてた(笑)
「バラバラじゃねーか、やる気あんのか?誠意どうすんだよコレ!」
「魂の謝罪を声に乗せろ!心の叫びで許しを乞え!」狂人がムチャ振り。
「声もちいせぇーんだ!おかま野郎!」バシーン!(横井)
これって違う禅だな。・・・いかんいかん鬼の形相で。
「おめぇ、人の注意でウケてんじゃねぇ!我が振り直さんかぁー!ウジ虫野郎!」バシーン!(三屋)
サイド男子に飛び火。
「集金!てめぇー連帯責任だ!気合い入れろブタ野郎!」バシーン!(富田)
サイドに寄ったついでに一丁張っておく!
「これはアレだ!毎分0秒と30秒にやれ!それなら揃うだろ?」
「ってことはだ、HR始まるキッチリ5分前からやれよ。全員の時計も合わせておけ」
「・・・・・・・・」
「よし、合わせたな?」
「次の0秒からな、俺に何言われようが止めるなよ30秒、0秒、30秒でやれ」
ALL「二度と致しません!すみませんでした!」
「おぅ、結構揃ってきたな。ハチィ!お前は声を合わせようとし過ぎだ!声ちいせぇー!」バシッ!
女子は尻をメガホンでしばく。あ!なんか芽生えそうな気がする。
「よーし!完璧に揃ってきたじゃねーか!クラスで見せても恥ずかしくない。おkおk!」
ちょっと〆とくか。
「覚えておけよ!
パチパチと拍手してやると、みんな照れくさそうである。(なにこれ?)
なんか感動して語ってるな俺。
「お前(集金)マジリーダータイプな。周りが見えてる。これから、この八人はお前が仕切れ。お前がリーダーだ!」
バンバン肩を叩いて、集金(富田)を激励している俺がいる。
「本当に見事だったぞ、明日の本番でやり切れば許されるんだ!忘れるな!」
本人許すか分かんないけど、俺が許すからいいの。
「わかったな!」
ALL「ハイ!」
「声がちいせぇーってんだよ!」
ALL「ハイ!」
「全員で根性見せろよ!芋引くんじゃねーぞ!」
ALL「ハイ!」
最後に煽っておく。皆がやってやる!と一丸に
なんか海軍士官学校の軍曹役みたいな達成感がハンパない。
久々に米中野球部OBの
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米中野球部とは、新入部員はバックネットに引っ付いて「ミーンミンミン」と叫びまくる「伝統のセミ」を誇る強豪野球部である。強豪であるが故、多すぎる新入部員の心をへし折って追い出すための恐ろしい伝統なのだ。これは一年生の定員に達するまでどこまでも続くデスゲームでもある。ちなみにバックネットの高いところで生き残ると先輩の覚えが良く、可愛がってもらえるので高さでの戦いも熾烈である。一年生は授業が終わった直後にダッシュで着替えて我先にバックネットに駆け上がりゴリラのドラミングがごとく「ミーン」と「メンチ切る」ことで威圧し他の部員を蹴落としていく。生存競争を生き残ったセミ達、米中野球部出身者は土下座で叫ぶなど鼻歌である。
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人畜無害パイセンのターンはようやく終了。
速攻で家に帰り、スマホのボイスレコーダーを再生する。
(だって、脅されたり恨まれたり出来ないだろ。戦闘系スキルじゃないもん)
そこには印籠ドラマの(町娘を
次回 9話 神谷組の代紋
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