異世界転移で神様から欲しいギフトと言われ、彼女と答えたら本物じゃなくてスキル『彼女』ってそうじゃないだろう!

御峰。

プロローグ 異世界転移

 俺の名前は伊丹玲斗(いたみれいと)。


 子供の頃から根暗な性格だった。


 自分の影が薄い事くらい分かっている。


 友人と呼べる存在もなく、ずっとネットゲームに打ち込んでいた。


 打ち込んでいたネットゲームでも所謂エンジョイ勢で、上位に入る事なんて夢のまた夢だった。


 そして、打ち込んでいたネットゲームも十数年が経ち、遂にサービス終了となった。


 終わった時、思っていたのは――やっと解放されると思った。


 そして……十数年間部屋に籠ってゲームばかりしていた俺は外に出る覚悟を決めた。


 自分が何が出来るのか分からないけど、これからだ。


 ゲームしかしてこなかったけど、俺はやるときはやる男だ。


 だから外に一歩踏み出した。



 そして――――――俺は気を失った―――。




 ◇




 ハッ!?


 俺が起き上がると目の前には見知らぬお爺さんがいた。


「え? ここ……は?」


「ふむ、イタミくんで良いかの?」


「え? あ……はい、そうです」


 何となくお爺ちゃんの前に正座して座った。


「君はの――――、現生で死んだのじゃ」


 は?


 俺が?


 死んだ?


 何故!?


「ずっと家に籠ってゲームばかりしていたお前さんは既に満身創痍の身体だったのじゃ、だから家を出た瞬間倒れて死んだのじゃ」


 えええええ!?


 俺は今から……今から頑張って普通の人になるつもりだったのに!!


 普通の人になって、もうゲームもきっぱり辞めて……彼女を作りたかったのに!!


 人生三十五歳彼女歴なし!


 折角……決心して外に出たのに……あんまりだ!!



「それでの、実は神の世界で色々問題があっての~おぬしには別な世界で転移して貰いたいのじゃ」


「え? 転移?」


「そうじゃ、おぬしはこのままでは間も無く死んでしまうのじゃ」


「まだ死んでないんかい!!」


 ノリツッコんでしまった。


「うむ、死ぬまであと一秒ってところじゃの」


「はえーよ! もうすぐ死ぬじゃん!」


「そうじゃ、だから死ぬ寸前、おぬしをここに呼び寄せたのじゃ」


「助けてくれてありがとうございます??」


「うむ、まあそれはどうでもいいのじゃ」


「どうでもいいんかい!!」


 このお爺ちゃんのテンションに付いていけないわ!


「とりあえず説明がめんどくさいから――」


「めんどくさいのかよ!!」


「地球とは全然違う世界に行ってもらうからの~、こことは違って魔法なんかも使えるから魔法使いなんてなれるのじゃ」


「なっ!? 魔法使い……だと!?」


「そうじゃ、ワクワクしてきたじゃろ?」


 お爺ちゃんがニヤニヤしながら僕を見つめてきた。


 しかし――――。


「俺は絶対魔法使い・・・・になんてならねぇ!!!」


 あれだ、ん十歳まで童貞のままだと魔法使いになるとか言うあれだ。


 もう歳だって!?


 知らん!俺はこれからだ!



「なんじゃ……魔法は使いたくないのかの~、まあそれはいいのじゃ、取り敢えず、おぬしは転移されて新しい世界でもう一度生き直すとよい、最後にギフトスキルを選べられるが何か希望はあるかの?」


 訳が分からなかったが、どうやらこのお爺ちゃんから何かをくれるようだ。


「その……ギフト? って何でもいいんですか?」


「うむ! 常識的な範囲内なら何でも叶えてやれるぞ?」


「え? 何でも? 本当に?」


「そうじゃ、何でも言ってみると良い」


 俺は疑いの眼差し半分と期待半分の眼差しでお爺ちゃんを見つめた。


 そして――――。


 僕はお爺ちゃんに向かって叫んだ。




「俺が欲しいのは……『彼女』です!!」

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