『平成三十一年三月二十九日 新元号予想ニ「博多ラーメン」ト「チョコミントアイス」ヲ賭ケシ事』(大和ナナ=飛羽隼一の述懐)
平成三十一年三月二十九日(金)
終日曇天ナルモ滿開ノ櫻ノ明媚ナルニ目ヲ奪ハルヽ事暫シ。一昨日、博多ニテ食セシ「豚骨ラーメン」ノ味ガ忘レラレズ、仕事ノ後、最寄ノ「スーパー」ニテ「博多ラーメン」ノ冷凍食品ヲ衝動的ニ買ヒ求メ夜食トス。新調セシ電熱調理器ノ扱ヒニモ慣レタルモノノ、矢張リ生ノ炎ノ見エヌ事ニハ落着カズ、此ノ未來ノ世デ幾歳ヲ過ゴサントモ我ガ性根未ダニ大正生レノ舊癖ヲ離レズト呆レモス。眞白キ壁ニ貼附ケシ秋葉神社ノ火伏札モ最早用濟ミト許リニ右上端ヨリ剥レヲリ、落チラバ其迄ト敢テ補強セズ。
夜半ノ「カロリー」攝取ヲ彼女ニ咎メラルヽモ、私ガ其以上ニ體ヲ動カシテヰルノハ彼女モ承知ノ事、私ノ食ヒ意地ニ呆レタ顏ヲ見セ乍ラモ、結局ハ一口寄越セト宣ヒシ事又我ガ豫想ノ範疇也。然シ、二十一世紀ノ冷食ノ進歩目覺シキ事瞭然ナルモ、所詮自家調理ハ自家調理ニテ、其風味ニ於テ本場博多ノ域ヲ超ユル事能ハズトテ彼女ト意見合致ス。爾後、「スマホ」ニテ都内ノ「博多ラーメン」店舖ヲ檢索シ、後日ノ同行ヲ約ス。
入浴後、彼女ノ淹レシ紅茶ヲ飮ミ乍ラ「テレビ」ニテ改元準備ノ「ニュース」ヲ見、改元ニ就テ雜談ス。私ハ
先帝即位ノ頃ニハ未ダ物心附カズ、又時代ヲ超エテ平成ノ世ニ來リシ故ニ
今上帝即位モ知ラズ、彼女モ又平成ニ入ツテカラノ生レデアル爲、二人共ニトツテ初メテ見屆ケル改元ト成ル。愈々三日後ニハ新元號公表サルヽトノ事デアルガ、戰禍ノ昭和、天災ノ平成ニ續ク時代トアツテ、安寧秩序ニシテ協和萬邦ナラントノ願ヒノ込メラレタル事ヲ豫想ス。笑ヒト喜ビニ滿チタ時代タラシメントノ彼女ノ豫想トハ互ヒニ似テ非ナル物也。豫想的中ノ折ニハ「博多ラーメン」ト「チョコミントアイス」ヲ奢ラントノ賭ヲ約ス。結果ノ判明スル四月朔日ノ數日後ニハ念願タル「オフ」ノ重ナル日有リ、晴天ナラバ代々木公園ニテ「花見デート」ト洒落込ムモ良シ。
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