第9話 風に吹かれた写真(奈桜視点)
昨日三角ちゃんに貸してもらった写真を学校に来てすぐ茉莉に渡す。
それをみた音香ちゃんは違和感を感じたらしく、その写真について聞いてきた。
「その写真って…まさか涼蘭高校の一条零斗からもらったりした?」
と音香が机を手に置いて大きな音がする。
「「え?なんで一条さんなの?」」
茉莉と私が反応する。声が大きすぎて周りのクラスメイトが私達の方に振り返る。
「声小さめに。そこは今度説明するから。その写真危ない。茉莉わかるでしょ?」
「確かになんかきみが悪い感じはするけれど…」
と茉莉が真剣な顔をして私を見てくる。
「私その一条さんから貰ってないよ?
その同じ学校の彩霞ちゃんから貸してもらったの。この写真の正体を調べてくれって。
5枚あるらしいんだけど。花宮さんなんかわかる?」
「多分これ除霊されたけど、年月が経って薄くなってる。音ちゃん。なんか分かってるでしょ?」
「桜宮の本あったでしょ?あれの内容で写真の話があって。そこで朝翔の弟が写真を拾ったってなってて、それかなと思ったの。写真の内容が同じだったから。」
「なに?その本って」と私がこの状況を理解できずにいると。音香ちゃんが説明をする。
「この間みおんの話で本を見てもらったでしょ?その本、本当に起こること。もしくはもう起きていることが書いてある本でね。中学校のとき似た本に振り回されたことがあって。これの影響でみんなと仲良くなれたこともあるんだけど、この本が起こしていることが多すぎて本の内容の信ぴょう性が高いの。だから今回も繋がってて、なにか起きる前に解決したいなと思ったから。」
とこないだの本に似たものを音香ちゃんが持ってくる。似たものだとおもったけれど、
表紙のデザインに花が付け足されただけで内容は同じものらしい。その本の表紙には桜とリンドウとコスモス、ゆりと1つ知らない花が書かれていた。なにか意味でもあるのかな?
音香ちゃんは続ける。「その写真は燃やせないし、塩も効かない。破っても多分無理だと思う。より強くなっちゃうらしい。」
それを聞いて茉莉は言う。
「それもう無理じゃん。なにも出来ないよ。」と諦めかけているところに、いつもより遅く澪ちゃんが教室に駆け込んできた。「ごめん!遅れた。今何時?あれ。案外大丈夫だったじゃん。急いで走った意味なかったわ。あれ?みんなどうしたの?」とすごい不思議そうな顔で見ている。
「奈桜ちゃんが写真を彩霞ちゃんから預かったんだって、その写真が音香の本にのってたらしい…かくかくしかじか」と茉莉ちゃんが言うと澪は衝撃なことをいった。
「この写真に写ってるのってうちのお母さんかもしれない。」「「えっ!?」」と私も音香ちゃんも茉莉も驚く。
「今日学校終わったらウチくる?写真のことお母さんに聞けば分かるかもしれないし、」放課後澪の家に行くことになった。
(放課後)
澪の家に来た。わぁーなつかしい!この間取りと思いつつリビングの椅子に座る。音香ちゃんも椅子にみんなより遅く座ると、澪のお母さんが出してくれたお菓子にすぐ手を出す。それをみて茉莉が音ちゃんダメでしょ…と音香ちゃんの手を掴んで注意をする。この2人を見てるとなんだか保護者の関係に見えるよな…澪のお母さんも椅子に座ると、写真の話を始めてくれた。
この体育祭の写真は澪のお母さんの中学生時代の写真であり、お母さんは生徒会で一連のことを知っていた。写真はお坊さんによってお祓いをしてもらったらしい。
「そういえばそのペンダント、澪…風羽ちゃんの形見だったわよね。風羽ちゃんのお母様がよく言ってたわ。風羽ちゃんはそのペンダントお母様は信じてなかったけれど、『水雫さんから貰ったペンダントで元気を貰ってて、不思議な力があるんだ!』って。その力のおかげで私は頑張れるんだ。って言ってたわよ。」「お母さんなにそれ早く言ってよ。」
急に茉莉が「ヒャッ」と言う声を出して後ろに下がる。私も含めみんな茉莉に逆に驚く。
茉莉は冷静になって小声で言った。
「ちょっとここで話せないから、澪の部屋でみんなで話せない?」それを聞いてすぐ澪は行動にうつす。
「ねぇ、お母さん。重要な話も聞いたし、みんなで自分の部屋で遊んでいい?」
いいよーと了承を得るとみんなで澪の部屋へ向かった。澪の部屋はすごい綺麗で全体的に蒼色の系色で統一されていた。
可愛い水族館で売っていそうな座布団に座る。茉莉が話始める。「そこに水雫さんがいるんだけど…」「ほんとに!??水雫さん?」と私と音香が立ち上がる。
音香ちゃんがメガネを外し、本をめくる。
本の最初のページに鏡があるようだ。その鏡を取り外し、辺りを見回す。
「あれ?その本鏡なんてあったっけ?」と澪が首をかしげる。
「なんかこないだ澪が本を触ってからなんか色々と変わってるんだよね。あっいた!水雫さんー」となにも無いところに音香ちゃんが走っていく。そして「これ見てよー」と鏡を私に渡してくる。その鏡を除くと水雫さんに似た人が写っている。久しぶりに見た水雫さんは大人に見えた。鏡から目を離しても水雫さんが見える。自然と目から涙が零れた。
「私のこと覚えてる?」と聞くと覚えてるよ。と微笑み返してくれた。「あなたは音香の知ってる水雫じゃないの?」と私が言うと
水雫さんが話し始める。
「私ね中学校の頃に図書室で死んだと思って過ごしていたら、私と似ている子を見つけたの。その子同姓同名でね。なぜか私が見えるの。けど、その子が交通事故にあったとき、私は1回なぜかその高校生の水雫で目覚めたんだ。そしてなぜか二重人格の感じになってしまった。辺りを見渡しながら記憶を整理しつつ手とかも動くな…と不思議に思いながら動いていたら、急に頭痛がきて、また幽霊になってた。その二重人格の影響か分からないけれど、高校生の水雫と私が同じ霊体で2つの精神が入った状態になってたんだよね。たまに高校生の水雫(もう働いてるけど)になるときもあるけど。」
んー意味わからんと茉莉と澪がなっているのに対し、私と音香ちゃんはなるほどとなぜかなってしまっていた。
水雫さんが髪の毛を結ぶとより私の知っている水雫さんと瓜二つだった。「なんか髪の毛を結ぶと精神が入れ替わるんだよね〜今は高校生の私だよっ。」と急に大事なことを言い出す。「あと、ペンダントを通してみるとほかの幽霊も見えるし、浄化とかも出来たと思うよー」と高校生の水雫が言う。みんな水雫さんのマイペースに振り回されていた。
澪がペンダントを首から外し、写真にかざす。「なんて言えばいいの?」と音香から、水雫さんへ問いかける。澪は見えていないらしい。「なにも言わなくていいよ。写真の正常な状態を想像しながら力を込めるの。茉莉ちゃん助けてあげて。」「了解!」と茉莉が澪の手の上に手を被せる。私達は見守ることしか出来なかったが、ペンダントから青い光が出てきて、写真の白い影が無くなった。
なんかラ〇ュタみたいだなと後々思った。
写真の事件がおわり、私は彩霞ちゃんに写真を返しに行った。「そういえばカメラは?」と彩霞ちゃんに言われて、カメラのことが頭から徐々によみがえてくる。「あっ…ごめん。また今度でもいい?」と私が暗めの声で言うと。彩霞ちゃんは「大丈夫だよ。今度遊ぶんだし。」と言う。「あれ?遊ぶ約束なんてしたっけ?」「これからするの!」と言う彩霞ちゃんを見てなんか真面目だけどかわいいなと思った。
休日を挟んでの月曜日の朝。茉莉が言った。
「そういえば朝翔って最近どこにいる?」
「えっ?そう言われても私達には見えないですし、」と澪と私で声が重なる。
「そうだよね…本当にどこに行ったんだろ。」と茉莉は音楽室がある方の校舎を窓から見ていた。
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