毎秒いくつか
朝ごはんを食べている時に死んでいる人がいるなんて思っても考えないようにしないといけない。それは木から葉っぱが落ちるみたいなものだから。
着替えている時にクラスメイトの朝を想像するが何とも思わない。それは横断歩道を青で渡ると同じくらいのことだから。
歩いている時にすれ違う人がどんな人であるか予想するけれど、すぐに止める。鳥頭だし、興味がないから。
授業中は眠たくて仕方がないから先生の顔色をうかがい、友達が真面目に授業を受けているか見る。もう寝るけどアイツはゲームしてやがった。違う奴にノート見せてもらおう。
昼休みになってゲームバカを小突く。えへえへと嬉しそうなのは高難度クエストに勝ったからだとさ。そいつを飛び越して前一つ飛ばした奴に聞く。ひらひらとさよならノートみたいな動きで「パンが飲み物な〜」これがちょっと生きている中で安心する。
オレの周りはお調子者と普通な奴と頭がちょっといい奴に真面目。真面目と言っても要領がいいだけの半不良。そうオレたちは喧嘩しないし逃げるし、人生破壊しそうなことは一切やらない。
各家の話をする。ドラマの話をする。漫画雑誌の話をする。さっきのノートを貸してもらって、すぐに書き写した。昨日は「ほん怖」がやっていたから、オレたちの同調率はイイ感じで話は盛り上がった。
部屋の隅でイジメられている女子は無視してる。助ける術がないからだ。いじめっ子はイイとこのお嬢さん。いじめられっ子は同じくらいのイイとこのお嬢さん。誰も助けないさ。でも服とかそういうのは止めたいとオレは思っている。
毎秒考えた。どこまで自然で、どこまで不自然で、どこまで正義で、どこまで自由だろうって。しかし毎秒そう毎秒、持ち上げた腕は男友達の声で掻き消される。
変わっていく。みんな変わってく。幸せも不幸も毎秒変わっていく。
ほら、ねえ、いじめられっ子がさ、机を持ち上げたよ。
毎秒
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