〈アスカ視点〉









数秒間を置いてからヒョコッと

控えめに顔を覗かせた結愛ちゃんは

顔を赤くして少し照れた様子で…






「ぉっ…お疲れ様です…あの…相馬先生…」






と目を泳がせながら相馬先生を呼んだ…

今までのスマした印象の結愛ちゃんと違い

俺も…多分ここにいる全員が驚いている…





( えっ!? )






入社してからそれこそ沢山の噂話のマトに

何度もなっていたけど、いつも変わらずの表情で…

気にしてませんという感じで…

こんな風に…可愛気はなかったから…






ソウマ「皆さんの期待を裏切って申し訳ありませんが

  普通に考えて…僕でしょ?」






タメ息を吐きながら相馬先生が立ち上がって

「どうしたの?」と言いながら結愛ちゃんに

近いていくと結愛ちゃんは相馬先生に

一枚のメモ紙を渡していた






ソウマ「あぁ…分かった、食べたら戻るよ」






そう言って結愛ちゃんから渡された

メモ紙をポケットにしまって「ご苦労様」と

戻るよう促していると…





「結愛」と言いながら三好先生が立ち上がって

結愛ちゃんの方に歩い行き

皆んな目を見開いてそれを見ている





「え?」と戸惑いながら三好先生に顔を向ける

結愛ちゃんに三好先生は「やる」と言って

昼食のデザートに付いていたプリンを渡していた





「・・あっ…ありがとう・・ございます…」





とハニカミながらそれを受け取って「失礼しました」

と頭を下げてから戻っていく結愛ちゃんは

入社してから1番可愛く見えた瞬間だった…





その後直ぐに三好先生はトレーを窓口に戻して

休憩室から出て行き、女性スタッフ達が一斉に

キャーキャーと騒ぎ出した






ソウマ「まったく幼稚な性格ですね…」





と相馬先生の呆れた声が聞こえてきて

俺も同じ事を思っていた…





結愛ちゃんにプリンを渡した時には

もう食べ終わっていたんだから休憩室から出て

後から結愛ちゃんに届ければいいのに

あえて、皆んなの前で結愛ちゃんに渡す所が…





きっと相馬先生の「普通に考えて僕でしょ」の

台詞が気に入らなかったんだろう…





騒ぐ女性陣に目を向けて

またしばらくは噂話のオカズはあの二人だろうなぁ

と思いながら止まっていた箸を動かし出した…





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