ホワイトデー

〈ユア視点〉







朝の診察室の掃除を終わらせて

相馬先生のコーヒーを事務所に煎れに行こうかと

考えていると「おはよう」と

相馬先生が出勤してきた





「相馬先生、おはようございます」





挨拶をしながら先生の手にある紙袋を見て

今日がホワイトデーなんだと思い出した






「お返し沢山ですね?

  誰からもらったとか全部覚えてるんですか?」





ソウマ「ちゃんとメモしてるんですよ?

  誰か一人にでも返し忘れたら大変ですからね?笑」


 



相馬先生の言葉に

この病院の噂好きな所を考えたら

確かに大変な事になりそうだなと思った…






ソウマ「枯れていた結愛君には関係のない日ですね」




「枯れてるって・・私たちの世代じゃ

  職場の人にチョコを渡すのは…」




ソウマ「・・・・時代遅れ??」




「・・・・皆んなあげないって…言ってました…」




ソウマ「・・・・・そう…なの?」






あのバレンタインの時期は

向こうに引っ越すつもりでいた時期だったから

向こうに住んでいる友人と何度か連絡をとったり

していてバレンタインの話題も上がっていた…




ソウマ「時代…遅れ…」




相馬先生は軽くジェネレーションショックを

受けたようで落ち込んでいる…





(・・・・三好先生も沢山もらったよね?)






ソウマ「・・・・三好先生も沢山もらってましたよ?

  あの時は結愛君と付き合ってなかったですし

  義理も本命もそれなに貰ったでしょう」





「・・・・・そう…ですよね…」





ソウマ「今は皆んな、君と付き合ってる事を

  知ってますから違うでしょうけど…」





「・・・・・・・・」





ソウマ「おや?枯れている結愛君がヤキモチですか?」





「・・・さっきの、時代遅れ…根に持ってますね?」





ソウマ「・・・さぁ?笑」






病院内で私と三好先生があの日をさかいに

付き合っている事はすっかり浸透していて

多少は…院内を歩けるようになった…




( 三好先生も…認めてるみたいだし… )




前みたいに胸が苦しくなるような

嫉妬心はないけれども…



三好先生が一人一人に手渡して返しているのを

想像したら…ちょっと…




(面白くない…)




ソウマ「さぁ!!お昼になったら

  枯れてない、時代遅れで、いじらしい彼女達に

   バレンタインのお返しを配らないと!笑」




「・・・・・・」




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る