第21話 王女達がやってきた
エイデル様に渡したレポートのまとめは、エイデル様だけでなく他のクラス、上級生にも高評価をいただけた。わざわざ私のクラスまで来て御礼をいわれる。照れる。嬉しい。
シャーリスやローラにも褒められて、嬉しかった。交流会の研究発表は2日をかけて行われる。そして翌日、サマーパーティーだ。
パーティー内で交流会の優秀な研究チームや優秀な研究の褒賞がある。簡素なパーティーと言われていたが、夏用のパーティードレス着用。立食形式で楽団まで用意される。初めてのことばかりで心は踊る。ダンスとかするのかしら、相手をしてくれる方はいるかな。クラスの中も外も浮き足立っている。
「私達3人婚約者がいないからエスコートどうするか決めましたか?」
とローラがいい
「学院内なので1人で入場してもいいですしね、従兄弟が学院にいるので頼んでもいいかと母様に言われています」
シャーリスも答える。
「私は兄様がいますので、お願いしようかと」
たぶんこれは決定だと思う。
「何色のドレスになさいますか?」
「形式はゆるいので、薄いオレンジ色の銀糸の刺繍を施したドレスを予定してます」
私達も話している内容があちこちで聞こえる。デビュタント前なので多くの令息令嬢はパーティーというきちんとしたものは初めてで、これも夜会やパーティーを想定した授業の一貫である。華やかな話にワクワクする。
「シャルは?」
「春に比べて私、背が伸びたでしょう。最近新しく仕上げているの。淡い黄色からグラデーションに濃くなるオフショルダーのドレス、新しいドレスだから楽しみだわ。ローラは?」
と聞くと
「私はピンクのウエストはリボンで絞り全体的にフワリとしたドレスよ。叔母様の誕生を祝う会で着たドレスだけど皆様に褒めて貰ったので、可愛いわよ」
もう自分で可愛いって言っているところも可愛い。
私はこの3か月でずいぶん身長が伸びた。ノーラ姉様と同じくらいにはなったと思う。ウォーキングのおかげだと思っているのだが、中肉中背だった身体がすらっとしているのです。ノーラ姉様のような胸はない。尻も絶壁。私の肉たちは身長へと変化した。遅めの成長期を迎えたみたいだ。次は胸にボリュームをつけたい。くびれは出来たが、今は棒人間だ。
楽しい雰囲気の学院は、どこでも浮かれていて笑顔が多く、笑い声は絶えない。パーティーっていいね。
立食も気になるので兄様にどんなものが出るかも前情報として入手。友達2人は食い意地はないだろうが一応報告した。笑って聞いていたので良しとする。一番の楽しみはスタンレー領のフルーツタルト。豊富なフルーツに甘酸っぱさがたまらない逸品らしく、レオノーラ姉様の一押し。これを食べなきゃサマーパーティーではないらしい。もちろんこの逸品は3人で絶対に食べようと約束した。
風が強く、黒っぽい雲が気になった放課後、楽しい雰囲気の中水をさすようにある一団が学院内を見学していた。4人の騎士に囲まれた華やかなドレスを纏った令嬢と侍女。その横に第二王子と側近。廊下の幅を存分に使って学院見学をしているので、一団が廊下を抜けるまで帰る事は出来ない。
帰るために廊下に出ていた生徒達を令嬢達は歓迎だと思っているようで、微笑んで手を軽く振っている。
お二人の豪華な衣装を見れば隣国の王女達だとわかるが、なんとなく嫌な感じがする笑顔に、去年のサマーパーティーを重ねてしまう。
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