第319話 師弟の絆

         師弟の絆

「弟子に此処まで頑張られたら、師匠としては何時までも遊んでる訳には行かないわね。」

 精霊達を集め、自らに融合させた。

「ちょっとだけお姉さんの本気見せちゃおっかな~♡」

 とか、軽ぅ~いノリ感を醸し出しつつ、全ての身体強化系を同時発動。

 んで、イオンクラフトで飛び上がった私は、重力を操ってたドラゴンに対して重力魔法で20倍の重力を浴びせてやる事にした。

「グラビティーバインド。」

 苦しそうに吠えながらも立って居られなくなったドラゴン、そして苦し紛れにブレスを撃ち出そうとした瞬間。

「スペルキャンセル。」

 魔法と同じであると既に分かっている以上、それは分解する事が出来る。

 ブレスが打ち消された事を悟ったドラゴンは、顔面蒼白だ。

「さて、ウロコが硬くて刃が通らない、魔法すら半減させてしまう、ウロコが厄介なのよね。

 ん~、じゃあ、ウロコを削ぎ落せばいいのかな?」

 ドラゴンは、若い個体でも人語を理解する事が出来る程に知能が高いと言われている。

 だから多分、未だ話す事までは出来ないと言うだけで、きっと私のこの独り言も理解して居るのだろう、小刻みに震え出した。

 両翼が揃ってさえ居れば、飛翔に使って居る反重力魔法陣が発動出来て私の重力魔法が半減され、脱出も出来るのだろうけど、さっき私が大斧でぶった切っちゃったからね、もうそれも出来ず、身動き一つ取れないドラちゃんは震えるばかり。

「んじゃぁ・・・こんな・・・感じ・・・か、な?っと。」

 ジャーン!削いだウロコが飛び散りにくい鱗取り、完成!

 私の前世の記憶にある最もウロコが飛び散らない物の形状の物の巨大な物を、ストレージに死蔵されて居る日緋色金で作り出した。

 んで、ドラゴンは逆鱗以外は向きが一緒の筈なので、尻尾から剥がして行けば全部削げる筈。

「んじゃ、とっとと料理開始! 先ずはウロコを丁寧にそぎ落としまーす!」

 ドラゴンはすっげーイヤそうに悲鳴のような鳴き声を上げる。

 ガリガリと音を立ててウロコを剥がされて行くドラゴンは、やはりウロコが剥がされるのも痛いようで、一々悲鳴のような声を上げている。

 え? 20倍重力が何故私に作用して居ないのかって?

 決まってるじゃ無いですか、術者私ですよ?

 私に作用しない様になんか幾らだって出来ますとも。

 今の私の状態は、20倍に対応できる程では無い程度だが、反重力魔法で体を軽くした上に、身体強化で筋力を20倍程度に増強してる感じ。

 巨大なウロコ取りでウロコ剥がす為にはこの位の筋力強化は必要です。

 ウロコ取る序でに邑雅は回収。イヤぁ、まさか邑雅を止めた上で抜けなくなる程に頑丈なウロコが有るとは思って無かったからね~。

 丸裸になったドラゴンちゃんの目の前に、例の巨大斧をチラつかせて、こんなセリフを言って見た。

「さぁ、自分の罪を数えなさい、どれだけの無益な殺生をしたか、その行いを後悔して、逝きなさい。」

 私が、ドラゴンの首に向けて斧を構えたその時、猛スピードで接近する、このドラゴンよりも圧倒的な存在、言うならばリバイアサンと同等位の強大な反応。

 私はとっさに、その相手に向けて、最も避ける事が不可能な魔法である、ホーリーレイを撃った。

 光の速さだから避ける事は無理だよね~。

 しかし、その魔法は、霧散した、直撃する寸前に。

 そこに居たのは、エンシェントフレイムドラゴン。

 炎龍の長く生きた個体だった。

『がははは!良いぞ、人間の娘よ!今の魔法は肝を冷やしたぞ!

 我が名はファフニール、お主の呼び出せしリバイアサンと同等の龍王が一体だ。』

「あら、何しにいらしたのですか?

 まさかとは思うけれど、好きにしろと言って置いて私に報復でもする気でしょうか?」

『いやいや、そのような事はせんよ、人の身で我らドラゴンを倒すと豪語したお主に一目会って見たいと思ってな。

 それに、勝手に暴走したこの小僧の罪は、こやつ自身で償わねば成らぬ。

 むしろお主が本当にこの小僧を倒せるのか、確認する為に来たのだ。

 どうやら、杞憂であったようで何より。

 さあ、我が見届けてやる、この小僧の首を刎ねるが良い。』

「あら、私の心配をしてくれたって訳?

 ありがとう~、 だけど私は、人間と言うか、ハイエルフに成っちゃったので、正確にはヒューマンでは無いので、そこんとこよろしくね~。」

『ほほぅ、そうであったか、只の人間がハイエルフへ昇華したと言うのか、それは初めて聞く進化だ。

 それならばこの強さも頷けるものであるな、良かろう、今後、我の名を呼べば、お主に力を貸すと約束しよう。』

 なんか知らんけど、私、ファフニール召喚が可能に成っちゃったみたいです、知らんけど・・・

『さぁ、とっととその小僧の首を刎ねよ。』

「良いんだけどね、その、さ、なんつうか、あんたがそこで見てるとむしろやり難いと言うか、ねぇ?」

『はっはっは、何だ、そんな事か、気にせんでも良い事を。

 ならば、我は帰るとしよう。

 ああ、そうそう、我らドラゴンの肉は美味いらしいぞ、我が食した事がある訳では無いので知らぬがな、その昔に食った事のある人族がそのように言って居った。

 では、何かあったら我を呼ぶのだぞ、面白そうな事に首を突っ込むのは我ら炎龍族の種族的な性格でな、ちゃんと呼ぶのだぞ~。

 ではサラバだ。』

 何だか呼んで欲しいと念を押されてしまった・・・

 暇なのか? 炎龍王ファフニールよ・・・

 さて、それじゃとっとととどめを刺しちゃうとしましょうかね。

 大斧で、炎龍の首を一刀両断にし、ストレージに仕舞った。

「師匠~!師匠!師匠!師匠~!!」

 眼に涙をいっぱい溜めたパメラが走って来る。

 その後ろから、タイカンとボクスが、尊敬のまなざしを浮かべてやはり私に向かって走って来る。」

 私は、パメラを抱きとめて、頭を撫でであげる。

「「師匠、凄かったっす!

 ドラゴンを圧倒するなんて、流石師匠!

 師匠こそ勇者です!」」

「止してよ、私は勇者じゃ無くて、大賢者らしいわよ?

 さぁ、パメラも、タイカンもボクスも、帰るわよ。」

「「「はい!師匠!」」」

「今晩のご飯はドラゴンのステーキよっ!

 美味しいらしいわよぉ~。」

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