第243話 尾張名古屋は味噌で食う

      尾張名古屋は味噌で食う

 -MkⅣ-

 私は今、MkⅢに倣って、自作した三輪バイクで浜松を離れて西へと旅をしている。

 ん、だけどね・・・こんな川幅の広い川が流れて居るとは・・・orz

 これじゃあ渡れないわよ、素直にクリムゾンスパイダーのロストナンバーズ造っときゃ良かったわ。

 くっそう、今から錬成するとしたら・・・って忘れてた、ストレージに一機入ってんじゃん!

 こいつこいつ、スカーレットグリフォン。

 面倒だから始めからこれで移動してりゃ良かったのよ、したら地形も対して気にしないで済むじゃん。

 無理にMkⅢの真似しようとか思ったのがいけなかったのよ、全く、やぁね~。

 ・・・

 っと言う訳であっさりとやって来ました、ここは三河湾って奴かな?

 ウナギの養殖がとっても盛んと聞いたんだけど、何処でもそれらしい筏とかねぇな。

 もしかして、未だウナギの養殖技術がねぇとか言ってる?

 何故か鰻にばっかり携わってる気がするけど、この際鰻の養殖方法を伝授して行こうじゃ無いの。

 とは言っても、単純に伝えるだけで広まったりはしないだろうから、実践してやる必要が有ると思う。

 なので劣化方向を指定した並列を作り出すと言う方法が良いかも知れない。

 劣化方向は、種族。

 ヒューマンとして並列存在を作り出す、代わりに知識を完璧にコピーした、能力に特化した並列を作り出してこの付近に根付かせる。

 ヒューマンの並列存在を作ると言う事は当然ながら短命。

 世界の食料自給率が8割未満になって居た時代に、何とかして食べ物を供給しようと生み出された最先端技術の養殖技術をいきなり再現しようと言う過激なやらかしをするのだから、やらかし過ぎないように期間を短めにする為の措置だ。

 そして、何処かしら劣化してしまう並列存在を初めから劣化させて作り出す事で他が劣化するのを抑える為の措置でもあるけどね。

 元々劣化がある私、MkⅣの並列だから私以上には成らないけどさ。

 そんな並列をちゃんと技術をこの地に残すんだと言う目的を持って生み出して、おいて行く。

 年齢を15歳にして作り出されたその並列存在は、手始めに探索者組合と商人組合に登録した。

 そして探索者としてどんどんその知名度を上げて行く事だろう。

 ある程度認知度が上がって来たら目当ての養殖を提案して湾内に生簀筏の設置を許可して貰えるようになるだろう、頑張れ~。(丸投げ)

 さてと、これで今回私は鰻に携わらなくて良いぞっと。

 って事で、此処から更に渥美半島の方へ行ってみる。この辺ってさぁ、キャベツ大量に作ってる筈なんだ。

 食材集めも旅の目的だからさぁ・・・・って!

 キャベツ何処も作ってねぇしっ!

 もしかしてまだキャベツが外から持ち込まれて居ないって事なのね?orz

 ち、しゃぁねぇな、グッチベルクで手に入れといたキャベツのタネ撒いて作らせたろ。

 この辺りの一番大きい家に行けばそこは多分この辺りの地主さんだろう、付近の農家さんの長みたいなのに、キャベツを食べさせて、タネをあげたら何とかしてくれる。

「ごめんくださ~い!」

「どちらさんですか?」

 こう返されたら行くか?

「新たな農産物の普及の為に訪れた、ハイエルフのエリーと申します。 お入りください。 ありがとう!」

 吉本新喜劇でお馴染みの桑原和男さんの持ちネタだ。

 2023年8月10日、神戸市内の病院にて老衰の為にご逝去されました。

 享年87歳、まさに最後、動けなくなる直前まで舞台に立たれて居ました。

 素晴らしいお笑い芸人であり、後輩芸人達にとってもお父さん的な存在だったようです。

 ご冥福をお祈りするとともに、この場でネタにする事をお許しくださいませ。ペコリ(o_ _)o))

 和子婆さんの一連のネタ群はお約束でありつつ常に笑える大変すばらしいネタであったと思います。

「いた、勝手にズカズカ入って来られても困るんですが。」

「ああ、これはすみません、ちょっとこの肥沃な土地でこんな野菜を育てて見ないかと思いまして、持参しました。」

 キャベツを一個持って手渡した。

「ほう、これはどの様な?」

「これはキャベツと言う菜っ葉なんです。

 こんな風に丸く撒いて行くので霜が降りるとギュッと詰まって美味しくなります。

 生でも美味しいですが、焼いたり煮たりしても美味しい野菜なのでぜひ、この渥美の特産品にして頂けないかと。」

「この一つは頂いても宜しいですか?

 食べて見ない事には。」

「ええ、どうぞ、その為にお渡ししましたので。」

「ちなみにこの野菜の害虫等は?」

「チョウチョですね、特にモンシロチョウが。」

「成程、では木酢で予防してそれでも付く場合手摘みで行けそうですな。」

 そう言いつつ一枚剥がした物をそのまま口に放り込んだかと思うと、数回咀嚼し、頷きながらいけると呟いた。

「もう何個か頂けませんか?いくつか試して見たい食べ方が有るので。」

「あ、ハイハイ、どうぞ?」

 と、ストレージから4つ程大玉の物を取り出して手渡す。

 少し驚いたようだけど、初めにハイエルフと伝えていたせいか、そんなもんなのかもしれないと納得した様だった。

 タネを手渡して、いくつかすり合わせをして、感謝されつつタネの代金と言って20枚もの小判を手渡された。

 こんなに要らんと言ったのだけど、これからこのキャベツのお陰でこの村は繫栄できるのだから受け取って欲しいとごり押しをされて有り難く頂く事にした。

 この近所で孤児を預かって育てている人は居ないかと聞くと、まさにこの地主さんがやって居た、寄付しようと思ったけどこれは受け取って貰えそうに無いね・・・

 仕方無い、他所で寄付しよう。

 渥美半島から三河に戻った私はそのまま西へと走ると、岡崎へ入る。

 ここは、味噌の老舗が有る、筈。

 暫く走って居ると、見つけた。

 ここにある味噌蔵は、八丁味噌の蔵だ。

 早速突撃。

 大樽で一樽譲ってもらい、大満足でさらに西へ。

 だんだん名古屋のお城が見えてくる。

 熱田神宮付近へとついに辿り着いた。

 名古屋である。

 熱田神宮の周辺で食事が出来る所を探して見ると、直ぐにきし麺屋さん。

 その隣に、味噌煮込みうどんのお店。

 この頃は未だ、一品づつで売ってたみたいだね、きし麺屋と味噌煮込みうどん屋が仲悪そう。

 この際だからさっき手に入れた八丁味噌に、一煮立ちさせてアルコール分飛ばした味醂を混ぜて、幾つかの調味料で味を調えた味噌ソースを使った味噌カツでも作って売って見ようかと思い、屋台を出して見る。

 すると、とんかつもまだ珍しかった事も手伝って、味噌カツが飛ぶように売れてしまって、きし麺屋と味噌煮込みうどん屋のどちらからも睨まれてしまったので、レシピを教えてやる代わりに仲良くするようにと提案をした所、このお二人で一つの定食屋を立ち上げてこの三品をメインにやって見るなんて話に発展した。

 うんうん、仲良くしてくれれば新しいメニューなんかも出来るでしょうよ。

 樽で仕入れた八丁味噌を見せたら、それっぽっちでは少ないんじゃ無いかと言われた、そんなに味噌食うの?この辺の人って・・・

 尾張名古屋は、何でも味噌で食うらしい・・・

 熱田神宮にお参りして今日はもう帰ろう、明日また、転移でこっち散策しに来ようかなっと。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る