第211話 素材の買取価格

        素材の買取価格

「さて、取り合えず、擦り合わせは済んだと言う事で、俺達がここ数日で遭遇し、倒して来た魔物の討伐証明部位の提出と、討伐報酬の生産、それと素材の買取をお願いしたいのだが。」

「ああ、そうでした。

 では、裏の解体蔵迄行きましょう、此方へ。」

 支部長自らが案内してくれた、と言うか、今気絶して居ない職員は他に居ないから仕方ないんだろうけどな。

「ではここに出して頂けると宜しいかと。」

「じゃあ、出すぞ。」

 グレートジャイアントボアが4体、オーガコマンダーが6体、オーガが50体、ジャイアントディア―が8体、オークジェネラルが5体、オークが40体、ゴブリンキングが1体、ゴブリンナイトが2体、ゴブリンレッドハットが20体、ホブゴブリンが30体、ゴブリンが実に120体、更にミノタウロスが6体、鵺が13体。

 そして、エリーが倒した分の鵺が5体・・・

「・・・・・・こ、こんなにか。」

「実はまだあるけどね?」

 突然割って入って見た。

「ご一緒に清算で宜しいですか?」

「そ、だから割って入ったのよ?」

「では、お出しください。」

 私が出したのは、旅路の所々で遭遇して居た、ダーククルセイダーウルフが24体、悪鬼が10体、デモンスライムが18体、ナーガが7体、ジャイアントタイガースパイダーが11体だ。

 ちなみにデモンスライムに関しては、魔法で凍らせて砕いてコアだけを提出している。

 この中でも最も討伐が難しい魔物だ。

 そりゃそうだろうな、魔法使える奴殆ど居ねぇ訳だし。

 魔法が使えるだけでむっちゃ簡単に倒せるんだ、これが。

「・・・あの、この核は一体?」

「これはデモンスライムのコアよ。」

「あれ、倒せるんですか?」

「倒しちゃダメだった?」

「イヤそうではなく、どうやって倒したのです?」

「凍らせて砕いてコア取り出しただけだけど?」

「凍らせる!?」

「何かオカシイ事言ったかしら?」

「あれ、どうやったら凍りますか?」

「当然魔法よね。」

「・・・魔法・・・ですか・・・」

「見たい? ほら。」

 掌の上に、氷の塊を作る。

「・・・・・・・・」

 開いた口が塞がらない様だ。

「もしもーし、大丈夫~?」

「はっ!? 私は夢を見たのか?」

「現実だよ。」

「すみません、魔法ってどうやったら使えるのでしょう?」

「ん?普通にイメージするだけよ?私は。」

 その様子を苦笑いしながら見ていたカイエンが割って入って来た。

「エリー、流石に可愛そうになって来た、その辺にしてやれ。」

「えぇ~、これから楽しくなるとこだったのに~?」

「楽しむな。」

「ちぇ~。」

「すまんな、支部長、こう言う人を食った所がある子なんだ。」

「仕方ネェな、これあげるわ。」

「これは?」

「これは、上から、風と雷、火と炎、水と氷、土と大地、木と森、それに光、闇、そして無属性、全ての属性の魔導書よ。

 これを探索者達に読ませて見なさい、自分の持ってる属性以外は読めないし、読めたら使える人も出て来るわよ。」

「こんな物があるのですか?」

「うん、私が作ったんだけどね?」

「・・・・・・・???????」

「ねぇカイエン、今、揶揄って無いわよ?私。

 反応同じくね??」

「まぁ、そうなるか・・・」

「エリーちゃんのやる事は誰もが初めは自分の常識の遥か斜め上だから理解するのに時間が掛かるのよぉ~。」

 マカンヌ、それ何気にフォローになってる様でなってねぇから。

 しばし沈黙が続き、5分後にようやく支部長殿は正気を取り戻した。

「それでは買取の計算を始めたいと思います、が、やっと職員達が目を覚ました所の様なので、少しお時間を下さい。」

「判った、その間に食事でもしているとしよう。」

「お、良いね、それなら私の腕によりを掛けて作ってストレージに作り置きしてる唐揚げなんかどう?」

「おお、空揚げ、俺賛成。」

 キースがすぐに反応した。

「ところで唐揚げの材料は何?」

 クリスが聞いて来たので、正直に答えてやった。

「トリコだけど?」

「それって、あの巨大人食い鳥の事?」

「まぁ、平たく言えばそうだね。」

「美味しいの?」

「むっちゃうめぇよ?」

「私も食べたいです~。」

 満面の笑顔でカレイラが答える。

「支部長さん、組合の食堂借りるねー。」

 一番大きいテーブルを全員で囲み、そこに大量の唐揚げと、唐揚げの味変用の調味料を所狭しと並べ、各自一人に一つづつサラダボウルを配置。

「ご飯欲しい人は言ってね、たくさん焚いてあるから。」

「流石エリー、美味そうだな、これ。」

「当然です、不味いとか言う奴はしたがどうかしちゃってるのだよ?

 んじゃ、頂きましょ。」

 頂きますの声が完全に全員分ハモリ、直後、戦争のような勢いで唐揚げが消費されて行く。

 周囲で見ていた探索者達も、美味そうと集まって来て居るが、やらねぇぞ?

 流石にこの人数と言う事もあって、あっと言う間に唐揚げが終了。

 仕方ねぇから、ジャイアントボアの肉の唐揚げと言う少し変わり種の唐揚げを出して見たが、これが又好評。

 スゲェ勢いで皆の胃袋へと消えていく。

 作り甲斐のある食いっぷりでちょっと嬉しいよね、こう言うのって。

 食べ終わって、デザートの抹茶アイスを皆で頂いて居る所に、計算が上がったと連絡が来る。

「お待たせしましたまず、此方が討伐依頼の報酬額です。全て合わせて、此方になります。」

 ドガッと言う大きな音と共に、カウンターの上に置かれたのは千両箱・・・

 その千両箱の上に更に40枚程の小判が乗っている。

「全て合わせまして、1047両となります。」

 おいおい、マジか。

「そしてこちらが、全ての買取価格になります。」

 台車に乗せた千両箱が10・・・

 おいおい、後ろからもう一台台車出て来たぞ??

 結局、買取価格がとんでもない事に成って居て、2万と530両・・・

「エリーには世話になってるからな、一万両はお前の取り分にしてくれ。」

 カイエン、何ゆっちゃってんのよ、ムッチャクチャやんか。

 結局、強引に1万両を押し付けられた私だった。

 まぁ良いんだけどな?

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