第159話 エリーの楽しみ
エリーの楽しみ
前回のイセエビ討伐の結果なんだけど、頑丈な殻に保護された海老味噌は黒焦げにはなって居らず、初めに開けた穴が、良い具合に圧力鍋の様に、内圧が上がりすぎて味噌をダメにするのを防ぐ役割に偶然なって、良い具合の火加減になってて大変美味しかった。
身の方も、刺身でも美味しかったし、ホイル焼きにしても美味しかった。
巨大なので海老のステーキなんて変わった食べ方も出来て大変有意義な宴会だったよ、あの日は。
ちなみにまだ身の肉はストレージに沢山入ってたりする。
今度寿司でも握って見ようかな。
で、最近は、並列存在を本格的に始動する事にした私は、1人は周囲の探索にクリムゾンスパイダーでお出かけするのに使用、もう一人は私と交代で研究とマリイのお世話である。
でな、折角出来た時間なので、途中だった研究から始める事にした私は、ついに、エーテル→魔素→マナ→エーテルの法則と言うか、相関関係を発見した。
思ったより単純だったよ。
基本的に大気中で観測できるのが魔素、これはエーテル元素が2個で1masと私が定義した魔素単位になる。
で、マナは、2mas、つまり魔素が二つくっついた状態、要するに4エーテル元素と言う訳だ。
マナの状態になると、私達の意思を反映して変化する為の準備が出来た状態、つまり魔法を行使する時は、最低の使用単位は2masとなる。
で、エーテルとして観測出来なかった理由としては、エーテル元素は物質の電子よりも小さな物質、幽子、光子と似通ったサイズの微粒子で、この状態で単体存在する事が難しい為に、他の物質の原子等に入り込んで隠れていたりするようだ。
それを、炭素や酸素、二酸化炭素等から、植物等が取り込む事で2元素が融合し、魔素となる。
それを人や動物が取り込む事で、更なる融合を果たし、マナとなる。
マナは我々の意思を乗せて、その起こす現象に比例した量を消費する事で様々な変化をし、炎や水を発生させるトンデモ性能を発揮し、バラバラに拡散し、エーテルとしてまた何処かの原子に忍び込んで隠れて居るのだ。
こんなに精巧な元素を生み出しておいて、それを利用する回路が存在しないだなんて、やっぱ歪んだ世界だったよな、最近は、私がこっそりと街の雑貨屋の本棚にこっそり忍ばせて置いたグリモワールで、徐々に魔法使いが生まれつつあるみたいだ。
置いた覚えの無い本が有るって店主が首傾げてる位の方がミステリアスで良いだろ?w
まぁ私の利益は微塵も無いけど気にしない。
最近私は、その内何処かに巨大な土地を手に入れて、魔法学園都市みたいなのが作れたりしたら楽しいかなとか思ってる。
講師はタイタンズ、もといジ・アースの面々と今庭で必死で鍛えている猫とうちの娘、マリイね、私は滅多に学園に顔出さない校長って事で好き勝手に放浪する。
うん、良いかも知れん。
こんな事を考えてしまうのも楽しみの一つになって居る。
まぁ、なによりもエーテルの研究がここまで確立出来たのは大きい、学問として十分に成立するレベルだ。
これに、精霊としてのナノマシンの存在を学問として取り入れれば、魔法を使える人使えない人の居る意味も成立させられるし、魔法が使えない人もスキルとしてマナを使って身体強化が出来る事を学問として確立させてあげれば魔法が使える使えないでの差別みたいな物も、無くは成らずとも軽減させる事も可能だろう。
ああ、研究って素晴らしい、時間を忘れて何時まででもやって居られる。
「オリジナル~、アンタそろそろ交代の時間よ~。」
「あ、もうそんな時間?じゃあ食事して交代だね、今行く~。」
自分同士でこんな風に会話して居ると言う謎な状況。
まぁ面白いから良いけどなw
今日のお昼は何かな~、自分で作ってるけど自分で作って無いと言う謎の状況にもちょっとワクワク。
並列存在の私が作ったご飯は、やはり美味しいし、敢えてリンクを切って置く事で何を作ったのかは知らない。
まぁでも、何が食べたいかなぁなんて思って居ると、流石は私の片割れなので大概思ってた物が出て来たりするんだけど、それはそれで、判ってんじゃ~ンとか楽しい気分である。
逆に並列の私の方も、私が作ったご飯を食べに来る際に私と同じ事考えてるみたいでそれもそれで楽しい。
リンク切ってるのに同じ事考えてるとか楽しいじゃん?
そこが分身と並列存在の違う所。
分身は、別個体として存在する私自身たり得ない、私自身でしか無いのだ。
並列は、例えば環境の違う所で生活して居ると、違う事考えて違う物食べたいと思って居たりする所が、分身とは違うのだ。
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今日は親子丼~。
鶏の奴じゃ無くて、鮭の奴だ。
良く、海鮮丼とかで食べる鮭の親子丼って言う奴は、鮭がキングサーモンかなんかで実はイクラと親子でも何でも無かったりするんだけど、この場合、鮭は近所の川に遡上して来た時鮭で、刺身では無くてしっかり塩焼きにした物、そこにその時鮭のイクラを生で、そして、掛けるのはお醤油では無くて、煮きり醤油をお出汁と敢えてみりん、お砂糖で味を調えたほんのり甘辛いたれ。
海鮮丼の親子では大葉が添えて有ることが多いけど、この場合は三つ葉がとても良く合う。
そして味噌汁は、シンプルに青菜の味噌汁。
私へのお供え物に混ざってた卯の花を、菜種油で炒めてお醤油を香り付け程度に掛けた物も一緒に。
こう言ったアレンジ料理も私の得意分野。
私一人でお昼食べる訳では無く、並列存在も一緒に食べる。
それはそれで奇妙な感覚で楽しい。
「頂きまーす。」
一人飯な筈なのに人と一緒にご飯食べてる感覚なんだ、1人で食べるより美味しいしね。
「ほらもう、又~、オリジナルはほっぺにご飯粒付けてもう~。」
ほっぺのご飯粒を取られた。
そんな中、マリイが泣き出したので、ご飯食べ終わった後からが並列の当番なのでご飯中はまだ私の当番。
マリイのお世話に行く、ご飯中であっても赤ちゃんなマリイにはお構いなし、おむつ交換だった。
私もそんなタイミングでも平気なんだよね、母になるってこう言う事なんだよ。
さっさとおむつ交換して、ベビーベッドに寝かし直したらおしゃぶりと赤ちゃん用の安全なおもちゃをマリイに渡す。
「良い子にしててね~、ママ達ご飯食べてるからね~。」
と言って、おでこにチューして戻る。
さ、ご飯の続き続き。
青菜の味噌汁も、大変美味。
青菜を味噌汁にする時は、お出汁の配合を少し変えると美味しさ倍増。
普段は昆布出汁とカツヲ出汁で作るお味噌汁に、煮干し出汁を少し加えてあげると、青菜から出るお出汁も相まってバランスが良くなるんだ。
秋から冬に向けて、青菜系のお野菜は霜が降りると凍ってしまうので凍らないように対抗して茎に沢山の糖分を溜め込む、ぐっと茎が太くなったのが当分の多い証拠。
こう言うのをお味噌汁にするのが最高に美味しいんだよね。
お正月とかにお雑煮に小松菜が入ってる家庭も少なく無いと思うけど、あの雑煮の菜っ葉美味しいでしょう?アレはそういう風に茎にしっかり糖分が入ってるから。
とても美味しいお昼ご飯を終えたら、並列にマリイを託して私は食器洗う所から初めて、お掃除とかはアイン、ツヴァイ、トライが交代で家事をこなしてくれるので、私はその後研究に没頭する時間。
実の所、私と並列のやって居る研究は全く別の事だったりする、自分の研究が完成したら並列に発表するし、並列が研究確立したら私に発表すると言う事をやって楽しんで居たりするのだ。
一人なのにこんなに楽しい事は無いよね?
ひとしきり研究に没頭して居ると、あっと言う間に晩御飯の支度をする時間になった。
さて、今日は何作ろうかな~、昼は親子丼だったからなァ・・・
決めた、今日は、当番のツヴァイがボートで釣りして釣って来た大ぶりの真アジ、30㎝もある立派なサイズだ。
あ、海にも陸上と同じことが言えるので行っておくと、普通の魚も居るんです、その魚が魔素を大量に取り込むと、例えば真アジが大量に魔素を取り込むと巨大化し、魔アジとなって40㎏位有る巨大なアジになる、これはこれで美味しいんだけど、今日はアジフライにする気なので普通の真アジを使う。
とは言っても、普通アジフライにするアジって、10~15㎝位の物だよね、これがね、30㎝サイズの真アジで揚げるアジフライは、身がフッカフカでふんわりして旨いのよ~。
ソースは私が独自で編み出したレシピの、色んな野菜やハーブを煮込んで煮込んで煮込み倒したトロトロの物を醗酵させたり、トウガラシや様々なスパイスを加えて更に煮たりして作った自家製で、酸味は抑えめにしたウスターです。
手始めにぜいごを丁寧に落としたアジを背開きにして開いて頭を落として内臓を取り除き、中骨を丁寧にはがすように包丁を入れたら、尾の部分で丁寧に切り落として、衣をつけ、揚げる。油の温度は160度、あんまり高い温度で揚げるとふんわりとしなくなってしまうので、これがベスト。
揚がる音が変化したらサッと油から上げてしまい、もう一度今度は180度で二度揚げ、衣の色が変わったらすぐに取り上げる。
余計な油を落として完成です。大きなアジなので、イッパイ食べる人でも2枚も有ったら十分。
何かねぇ、悠々自適にこうやって生活する事も楽しいんだ。
私の作る物を美味しそうに食べてくれる人が居るって良いね、自分自身の並列だけどなw
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