第143話 海龍の正体2
海龍の正体2
思わぬ収穫に新鮮なお魚を堪能出来た私は満足してゆっくりお風呂に使って居ると、何故か又も警報が鳴りだした。
大急ぎで上がった私はブリッジへ向かいながら、ファムの報告を電脳で受けた。
大型の海洋魔獣が迫って来ると言うのだ。
まさかこっちが本命の海龍?
やっべぇな~・・・油断してたわ。
多分逃げ出した連中が呼んで来たっつーか連れて来たんだろうな。
かなりの速度で迫って来るそれを、魚雷で牽制して見るが、当然のように当たらなかった、誘導魚雷なのにあっさりと躱してしまった。
ハープーンの方が良いかも知れないと思って撃って見たが、それすら躱して見せた。
ヤベェ、流石にヤベェ。
いくらカーマインファンレイが全長1,000m超えてたって、相手が精々全長20m弱だからっつったって、あんな高速魚雷もビックリな速度でそれだけの巨体が突っ込んで来るのだから体当たりされたらひとたまりも無いだろう。
思わず、飛び出してきたザインにシヴァを召喚させて氷の壁を作った。
少しでも衝撃を避けたかったので、そうせざるを得なかった。
その上、バリアーも最大出力で展開。
すると、その大型の魔獣は、意外な行動を取った。何と氷の壁の上に乗り上げて吠えたのだった。
海龍?・・・じゃねぇな。
むしろ、海獣、超巨大なセイウチだった。
こいつかぁ~、船沈めて回ってた奴って。
これじゃ沈むわな~。
それにしてもとんでもない速度で泳ぎやがるな、こいつ。
海中に逃げられる前に決着付けないとダメだな、これは。
海に逃げられては敵わないならば、逃げられなくするしか無いか。
良い塩梅にシヴァはまだ出て居るので、ホワイトアウトを広範囲に展開させて周囲を凍らせ、大掛かりな人工流氷、もとい精霊工流氷を構築する。
さぁ、ここからが勝負だ。
吠えるセイウチ、私はと言うと、こっそり自分用に一機造って収納してあった強化装甲を出し、搭乗。
ローラーダッシュで一気に距離を詰める・・・予定だった。
格納庫からジャンプで飛び出した私の視界に入ったのは、カイエン、マカンヌ、カレイラと、キース達タイタンズの面々。
巨大流氷と言うバトルフィールドを作り出した時点で、待ち構えて居て飛び出したらしい。
何やってんのアイツら、こんな巨大な魔獣に対して何が出来る積りなんだ?
と、思ったのだけど・・・
カイエンが最前列でセイウチの攻撃を凌ぎ、キースとカレイラ、マカンヌがその隙に周囲に展開して波状攻撃、それにセイウチが気を取られている隙に何時の間にか距離を詰めたクリスがご自慢の馬鹿力でセイウチの鼻っ面に一発きっつい蹴りを入れた。
そんな合間を縫うように、トリーシアを召喚して居たザインは、蔦を気付かれないように伸ばして行き、セイウチの拘束に成功してしまった。
咄嗟に私は強化装甲を降りて収納、詠唱を始めようとしたその時、全員の目が私に向いている事に気が付く。
ああ、そうか、こいつらはもう、私の仲間なのだ、いや寧ろ、私はこいつ等と仲間になって居たんだな。
「風よ答えよ、我が名はエリー、我が名の下に置いて、我に仇成す者へその怒りの刃を刻み込め。
いでよ風の刃、サークルエアブレード!」
この魔法は、対象の周囲にリング状の風の刃を作り出し、その輪を狭める事で首を刈る、私のオリジナルの魔法だ。
まぁしいて言うならば私がやって居ると言うよりナノマシンがやってるのだが。
でもこの魔法って、避けられちゃうからザインに拘束されてて丁度良かったんだよ。
考えて置いたのは良いけど使いどころ無いんじゃ無いかと思ってたんだけどこんな所で他のもっと使えそうな魔法より先に使いどころが来るなんて思っても無かったね。
折角オットーさんと言う風使いが生まれた所なので、お手本を見せてやる積りで使った魔法だったのさっ。
一気に縮まる風のリングが、セイウチの首を刎ね、決着がついた。
「スゲー魔法だったな、エリー!」
褒めても何も出ねぇぞ、キース。
「流石師匠、とんでもない威力の魔法だったね、一撃で首刎ねちゃうなんてやるぅ!」
師匠じゃねーっつーの、クリス。
「流石、ハイエルフ様、尊い・・・」
ああ、はいはい・・・
「エリーさんはやっぱエリーさんですよね~。」
カレイラ、どう言う意味よ!
「エリーちゃんさっすがぁ~。」
アンタのコメントが一番シンプルで良いと思える日が来るとはね、マカンヌ・・・
「見事な魔法だった、流石エリーだ。」
まぁ、こんなもんよ。
「皆の連携があってこそだよ、この魔法は身動きが取れなくなった相手にじゃ無いと効果が無いからねぇ~。
しかしいつの間にそんな連携取れるようになってる訳?皆。」
「いや、電脳が繋がってるからやり易かったような気がするぜ?」
そうなの??
ザインは?
あの子電脳ねぇよ?
カレイラだって、最低限魔法剣発現出来る魔法回路とその回路使いこなせる程度に簡易の電脳入ってるだけだよ?
こっそりだけどな。
ん~、まぁいっか、本人たちがそう思ってるならそれで。
そそくさとセイウチを回収して、ストレージで、毛皮、肉、骨、牙、血に分けた。
美味しいって聞くんだよね、海獣って・・・
ちなみにセイウチ君は、ジャイアント・シー・サーベルタイガーと言うなんか舌噛みそうな名前だった。
それにしてもシーサーペントと間違えそうな巨漢ってすげぇな・・・
海ってこんなでけぇの多いのかね?
・・・・ん? まてまて、なんかおかしく無いか?
オーブ何やってんの?
あの子の部屋に行ったら、炬燵出して丸くなってやんの、シヴァ召喚した時点でこうなってたみたいね・・・何処が進化してるのやら。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます