第124話 航空隊開隊
航空隊開隊
ポルコに対Gスーツを作ってやった私は、もう一度それを着て乗って見ろと促した。
ポルコはブラックアウトで気を失ったことが悔しかったらしく、リベンジに燃えていたようで、二つ返事で承諾をしたのだった。
「少し下半身はきついかも知れないが、お前がさっき起こした症状はブラックアウトと言って、強い重力作用によって血液が下半身に集中してしまい脳への供給が不足する為に起こるもので、決して恥ずかしいような事ではない、誰しもが起こしうる症状だ、あまり気にしない事だ。
つまり下半身への血流を抑える為のスーツがこの対Gスーツと言う事になる。
こいつを着てどこまで耐えられるかやって見たまえ、旋回しながらフルスロットル加速で3.5まで生身で耐えた君の練度ならば、5.5の最高速迄全開で上げても耐えうると思う、むしろ生身であそこ迄耐えた事は誇るべきだ。」
「そうなのか?
じゃあ、こいつを着てもう一度、今度は本当に耐えきって見せよう。」
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そして、彼は本当に耐えきった、フルスロットル加速のままで、M5.5の最高速度まで。
帰って来た彼を褒め称えると、彼の部下達も何時の間にか港へ集合しており、機体から降りた彼を称賛した。
「さて、これで君がこの機体に乗る適任と言う事は認識出来たと思うのだが、たった一機では心許ないだろう?
部下達も飛行機乗りに育てて見る気は無いか?」
「俺が隊長か、そうだな、前世では次期隊長としての辞令を貰った直後、強襲に会った際に味方機を逃がすのに殿を買って出た俺は、空戦特化型の機体に囲まれ追い詰められて撃墜されたんだ、その提案、俺としてはやってみたいと思う。」
「なんだか面白い事になって居ますね、ポルコ殿、是非にこの航空機とか言う乗り物の部隊を作って貰えんかね?」
突然私の背後からこんな提案がされた。
「貴方がこの街の代官様かな?
初めまして、錬金術師のエリーと言います、この魔道具は凄まじい攻撃力を持つ武器です。
決して他国を侵略する為に使わない事を私に誓って頂きたいのですが。」
「そんな事で良いならばいくらでも誓いましょう、領主本人にもお願いしておきます。」
「本当に?」
「勿論。」
怪しいんだよな、この代官、他国は攻めないかも知れないけど、仮想敵とかなんとか言って、演習と称してこの街の領主を殺害して自分がとか考えてる気もするんだよな。
だがまぁ、今は問題無いだろう、ポルコがそれを許さないだろうしね。
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第一騎士大隊を集合させた。
「これより、全員の適性を診させて貰う事にした。
少なくとも俺が意識を失った速度まで、対Gスーツを着た状態で耐えられる者以外は乗せる気はない。」
そう言い放ったポルコは、AIフルオートに設定したシーグリフォンに一人づつ乗せ、気を失わないで耐えた者だけを残す方法を取る気の様だ。
そして、第一騎士大隊からは4名が選出された。
その他の者は、第二騎士隊大隊へと再編される事になる。
第一騎士大隊は、第一航空大隊へと様変わりするのだった。
「そうだ、エリー殿。」
「ん?どうした?」
「俺の機体なんだが・・・」
「ん?」
「いや、君らの乗って来たあの乗り物のように、赤い色にしては貰えないだろうか?」
「どうして急に? しかも赤なんて、空に飛んでいたらバレバレな色だぞ?」
「元々俺の好きな色が赤なのもある、旭日旗のあの赤が俺は好きだった。
それに、あの乗り物を見ていたら俺もあんな色の飛行機が欲しいと思ってしまったんだ。」
「成程、私も赤は好きだ。」
「塗装しても良いのか?」
「塗装しなくても大丈夫だ。」
「どう言う事だ?」
「操作権限が君に移って居るからな、君自身が、このコマンドを言うと良い。
SGF-01、セルフバリアーコーティングカラー、スカーレット。
だ。」
「え、もう一度・・・」
「SGF-01、セルフバリアーコーティングカラー、スカーレット
だ。」
「っと・・・?S、G、F?-ゼロ、ワン?せるふ、ばり?ん??」
「セルフバリアーコーティングカラー。」
「SGF-ぜろわん・・・せるふ、コーティングカラー、すか・・・すか?」
「はぁ、スカーレット。
もっかい初めからな。」
-----20分後-----
「ああ、何とか覚えたぞ、SGF-01、セルフバリアーコーティングカラー、スカーレット。」
『いぇす、ますたー』
この機体には、実は攻撃を防ぐ為の電磁バリアーコートが初めからされている。
それは、テイクオフを終え、フロートを収納すると同時に展開される。
「何も変わらない様だが・・・」
「乗って飛び上がると判るんだ、これでこの機体は、飛び上がると赤いバリアーを機体に沿って展開する。
デルタ翼に4枚のカナード翼が特徴のこの機体は、赤いバリアーを展開するととても美しいと私は思う。
「それにしても、この世界に転生したにもかかわらず、良く飛ぶ事を諦めなかったね、ポルコさん。」
「ああ、まぁな、俺ってばこんな容姿だろ?
飛ばない豚は「言わせねぇよっ!? むしろそれ言っちゃダメぇっ!」」
「禁句なのか?ジンクスのようなもんか、なら言わない事にしよう、だが、これで奴と戦えるぞ。」
なんか、最後の最後にすっごくダメなフラグが立った気がするんですけど?
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