宇宙戦争時代の科学者、異世界へ転生する【創世の大賢者】

赤い獅子舞のチャァ

オープニング

第1話 転生?転移?

           転生?転移?

「ここ・・・どこ?」

 思わず声に出して、違和感に気が付いた。

 私は男性型の全身義体を愛用して居たのだから、声は男性のそれのはずだったのだが、今の声は、義体を纏う以前の若かりし頃の私の声そのものであった、と言っても何百年も昔の声なのであまり正確に記憶している訳でも無いので、こんな感じだったかな、程度ではあるが。

「おい!あんた!大丈夫か!?」

 声のする方へ視線を向けると、何だか得体の知れない、小柄で緑色の肌の人型の化け物じみた生物に剣で対抗して居る若者・・・

 誰?

 ツーか此処ドコよ、マジで。

 何が何だかさっぱりだ、うん。

 辺りを良く見回すと、若者の仲間らしいローブのような物を着た美少女が私の横に立っている。

 妙にファンタジー感が漂ってるな、コスプレ?

「よかった、生きてますね。」

 どうやらあの化け物を剣の若者が倒したようだ。

「あんたたちは誰?ここはどこ?」

 と言うか、私自身も変な感覚だ、義体の能力である言語補正が発動して居るのは事実に思える、実際聞いた事も無い言語の筈なのだがしっかり補正されて理解出来てる、この体は義体とは到底思えないのに、何だか感覚は生体のそれなんだよ。

 と言うか私は一体どうなったのだろう、ただの夢にしてはヤケに現実感が強い。

「俺達はCランクの冒険者パーティー、タイタンズ、俺はリーダーで剣士のキース、よろしくな。」

「ちょっとキース、血が出てる!見せて、沁みるけどちょっとだから我慢しなさいよ。

 あ、私は回復役、薬師のクリスよ。」

 てっきり出立から魔導士って言うかと思っちゃった、私の思うほどファンタジーでも無いのかな?

「で、そっちに居る無口なのが、エルフでアーチャーの、ザイデリュース、少し長いから俺達は縮めてザインと呼んでる。」

 弓を持った耳の先が尖った超イケメンがペコっと首を縦に振るだけで挨拶をした。

 ってかエルフ?!居るの?エルフ??マジで?

「何か事情が有りそうだからあんまり余計な詮索はしないが、一人でこんな所で倒れてたから驚いたぞ、寝てたとか言わないでくれ、いくら命が有っても足りないぞ。」

「あ、いや、私が何でこんな所に居るのかも良く判らないんだが、ここはどこ?」

「どうした?記憶喪失ってやつか?」

「いや、私はさっきまで、私の研究室で”ゆぐどらしる”の量産にあたりコストダウンの研究をしていたはずなんだが・・・」

「ユグドラシルだって!?」

 私の返答に対して第一声を発したのは、無口の筈のザインと言う人物、エルフ?の人だった。

「なんでユグドラシルを知って居る!?

 あれはハイエルフ様が秘匿している世界を形成する伝説の神樹。」

「へ?いや、あの・・・」

「まさか、ハイエルフ様?」

 いやいや違うから!

「いや、そうでなくて、私の言う”ゆぐどらしる”と言うのは、木の細胞から培養した生体CPUをコアとした生体量子コンピューターとそれにインストールした疑似人格AIの事で。」

 三人とも、これには「???」と言った感じの顔をしている、理解できなかったようだ。

「と言うか、私にはそこの、ザイン君?だっけ? エルフって意味わかんないんですけど?

 おとぎ話の中にしか存在しない種族なんじゃ?」

「何を言ってるんだ、50年前に実際に存在が確認されてからこうして友好を築いて、ヒューマンとエルフは今や共闘体制が出来ているじゃないか。」

 意味がさっぱり解らん、マジでここ、どこ??

 もしかして、と一つだけ思い当たる節があった、でもそれは、2000年~2040年代前後にやたらと多かったアニメやラノベ、ゲーム等の古書や娯楽の空想の中でしか無かったのだけど、本当に異世界転生などと言うものが有るのだろうか、にわかには信じられなかった。

 そもそも私はそんな昔のアニメが乱立していた時代よりずっと科学が進んでいる3500年代の住人、私の居た世界以外に別の世界が有るだなんてそんなおとぎ話みたいな話が信じられる訳が無かった。

 ってか、この体も生身な気がするんだけど、何故か視界の隅には全身義体であれば誰しも視界に入っているコンディションや使用可能な機能一覧が表記されて居る、ナニコレ、どうなってんの??

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