第8話 金木犀
黄色い金平糖が落ちている。さっき金木犀からこぼれたのだ。銀木犀の下には白い金平糖。踏まないように見ていると、蟻が金平糖を運んでゆく。悲しみを拾うように、丁寧に。私も運んでもらえたらよかった。薄暗い部屋に丁寧に並べられ、冬の間じっくりと溶かされる。このおやつは、蟻に長く楽しまれる。
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