駆けろっ! 戦国っアイドルッ!!
くろねこ教授
第1話 俺はアイドルが好きだ!
諸君、俺はアイドルが好きだ!
俺はアイドルが好きだ。
俺はアイドルが大好きだ。
二人組のアイドルが好きだ。
五人組のアイドルが好きだ。
グラビアアイドルが好きだ。
バラエティーアイドルが好きだ。
地下アイドルが好きだ。
48人組のアイドルが好きだ。
温泉アイドルが好きだ。
ダンスユニットアイドルが好きだ。
メタルアイドルが好きだ。
パンクアイドルが好きだ。
テレビで、インターネットで。
地下室で、ライブ会場で。
CD屋の店先で、駅前の広場で。
遊園地の中で、喫茶店の粗末な壇上で。
砂浜で、デパートの屋上で。
武道館で、学校の文化祭で。
この地上で行われるありとあらゆるアイドル活動が大好きだ。
マイクを持った司会者がその名前を叫び少女達が揃って舞台へ走ってくる姿が好きだ。
前列にいる男どもが色とりどりのライトを振りながら掛け声をかける時など心がおどる。
水着を着たグラドルがマンガ雑誌の表紙を飾るのが好きだ。
時に連載しているマンガのキャラクターの扮装をしていた時など胸に興奮が沸き上がる。
色彩を揃えた服装で列を為し少女達の足がスカートを跳ね上げるのが好きだ。
新入りの娘が周囲と少しだけタイミングを外してパニックになる姿など感動すら覚える。
年齢を重ねた美女が遂にグループを卒業の言葉を涙ながらに語る姿などはもうたまらない。
泣き叫ぶファンたちに最後まで元気に行くよと涙を拭いて少し掠れた声を上げながら躍り出す姿など最高だ。
まだTV慣れしていない少女達が何かコメントを言おうとしているのにスパンとTV画面が切り替えられ愚にもつかないお天気情報が流れ出した時にはTVを破壊しようとすら思う。
事務所に見捨てられたアイドルが好きだ。
必死に公園でパフォーマンスしてるのに誰にも見向きされず人々が通り過ぎていく様はとてもとても悲しいものだ。
後から出て来たアイドルに出番を奪われるのが好きだ。
毎週流していたネットラジオすら公開されなくなりHPの活動情報すら更新されなくなるのは胸が痛む。
諸君、私はアイドルを天国の様なアイドルを望んでいる。
諸君、私と同じ虚像の少女に命を懸けた諸君。
君達は一体何を望んでいる?
更なるアイドルを望むか?
情け容赦なく我らの心と財布を奪うアイドルを望むか?
容姿端麗にして才色兼備歌もダンスも出来なおかつアートの才能が有りトークまで出来るアイドルを望むのか。
「アイドル! アイドル! アイドル!」
よろしい。
ならば。
アイドルだ。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「あの、大原会長。
これって何なんですか?」
「ああっ!
……いやこれはだな。
新入部員に挨拶として読むつもりだった原稿だな」
「挨拶としては長過ぎでしょ。
誰でも引きますよ、コレ」
「いや、つまりその元ネタが有って……
俺の中で再ブームが来ていてだな」
「そのマンガはあたしも知ってます」
「……そうか……」
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