第6話 Oath



一人で登った山は

既に日が落ちようとしていた

ひとつずつ赤く染まっていく山々を眺めながら

テントを張って明かりを灯す

ランタンだけを頼りに

街明かりの見えない崖に立つと

満天の星空だった

まるで手の届きそうな光をつかもうとする

無理をすれば崖から落ちてしまう

それでも精一杯に手を伸ばして


確かにつかんだように思う

しっかりと握りしめた手は拳のように硬かった

ゆっくりと胸に近づけて

更にゆっくりと手を開いてみる


光った

一瞬だが光った


どんなにかっこ悪い生き方でもいい

どうせ死んでしまえば全てが無くなるのなら

それでも生きてやろうと


誓いのように囁きながら

また夜空を見上げた

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