温泉街の悲劇
22話 温泉街、箱元市
11月末、彼らは少し遠くの温泉街へ来ていた。
「ヤッホ〜!着いた〜!!」
黒いリムジン、美帆の父が出してくれたという。
「うっへ〜、リムジンに乗ったのも初めてやし、みんなだけで遊びに行くのも初めてや」
「そうね...」
雫はなお元気がない。まあ、美帆に対してとても不安なんだろう。一方、一心は...
「いいとこだな」
めっちゃ、乗り気な服装。アロハシャツって、ここはハワイちゃうぞ!あと、11月ぞ!
そんな楽しげな一泊二日の温泉街巡りが始まったのであった。しかし、泊まる多度にて、悲劇が訪れる。この季節には珍しい大雨が降ったのだ。気温も下がりつつ、ある中でこんな異常気象は見たことがない。夜に露天風呂に行くつもりだったが、あえなく中止...
「ごめんね、天気予報見てなくて...」
「別にいいよ、美帆...」
「せやで、そもそも今日の夜は快晴の予報やったから...いきなり降らしてきた神様が悪い」
そんな大雨の中、旅館の部屋でゆっくり遊んでいた。UNOなり、トランプなりと...
◾️
彼らの泊まる旅館が見える場所で、赤眼の男が傘をさして立っていた。
「いいぞ、お前がターゲットを殺せば、あのBLACKよりも強いと証明され、暗殺界のトップに君臨する。期待してるで、大雨のRAIN?」
「仰せのままに...」
傘もささず、その旅館を見続ける女がそこにはいた...
◾️
場所は変わって、東京の某高層ビルの最上階。
「君が、殿下正信か?」
赤い影の男が問う。
「ああ、そうだが?」
「お前を殺しにきた」
「それだけか?」
「なんだ?」
「そろそろ、殿下という名を捨てねばならなくてな。殺してくれるなら、尚更良い。さあ、殺したまえ!」
「...お前だけじゃない。もう一つの人格も壊してやる!アルバート15世ッ!!」
赤い影は彼の喉元へ斬りかかる。しかし、二人の男がそれを止める。
「ありがとよ、キース...ケビン...」
「「仰せのままに」」
すぐに赤い影は離れた。
「なるほど、わかったよ...君は生きていたんだね?」
闇夜に包まれる高層ビル、その最上階にて影は赤く靡いていた...
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