21話 日常
「おっはー!」
「おはよっス!」
「おはよう...」
「...」
いつもと変わらぬ朝の風景。彼らはいつも誰よりも早く、教室に入る。雫、美帆、春、一心の順だった。
美帆は最近元気がない雫を励まそうといつもよりテンアゲ、バイブス、ブンスカブーンッ!で彼女と接している。
春は...
いつも通りだな。
超能力を失った?使えなくなった?雫。いついかなるときに備える。しかし、超能力で、2秒先の未来や人の心を読めずには、備えることもできない。
ただ学力面では特に心配はない。ちゃんとそこは自分の元々の力だけで乗り越えてきたから。超能力でズルは使っていない。
一心はというもの、いろんな気持ちが錯綜していた。急に連絡が途絶えた英樹さん、美帆に対する胸の高まり、雫への心配、赤いフード男の言っていたこと、春の行動...
一心は気持ちの整理を落ち着かせられなかった。
「よし、決めた!」
楽しそうな顔をする美帆。
「今度の土日、どこかへ行くよ!」
「どこか...いいね!」
「雫も、一心君も、最近顔が悪い!だから、楽しもう!」
美帆の粋な計らい。このことが吉と出るか、凶と出るかわからない。けど、きっといつもの、前の二人になってくれるはず。
美帆は行き先を決めた。
少し遠くの温泉街。温泉に入って、リラックスしてもらう算段のようだ。
だが、まさかその地で、あんなことが起きるなんて...
■
血まみれになった漆山英樹。少し息がある。
「生きてるぞ...ハアハア...お前らがこの世界を...創り上げてきたって...早く、BLACKに伝えねば...」
必死の思いで、彼は体を引きずる。育成者専用ネットの通るスポットへ行き、一心に伝えなくては。
だか、赤眼の男が立ち塞がる。
「英樹さん、アンタのこと、尊敬してたのに、なんで組織を裏切るんだ?」
「...お前...騙されんぞ、組織に...」
「...ごめん、上からの命を承ったんだ。アンタを殺せってな...」
「そうか...最後にBLACKに伝えてくれないか」
「ああ...」
涙を流す赤眼。
「ありがとうって」
バキューッン!!
本日未明、漆山英樹...殉職。
「...伝えねえよ。アンタはこの組織の特異点。アンタに知らせねえことなんて、山ほどなんだわ。さて、殿下財閥の御令嬢とアンタの養子...そして、娘を殺させてもらうよ」
赤眼は悪い笑い声をした。鳴り響く、声。
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