もう1度、恋をしたのは君のせい

北森青乃

第1話 さよなら

 



【おはよう、今日からお互い高校生だね。別々の高校で寂しいけど、休みの日には絶対デートしよう? 海さえ良ければ電話だって毎日……なんてね? それじゃあ今日も1日頑張ろっ!】


 スマホに表示された、彼女のメッセージ。

 新たな学校生活が始まる今日という日において、なんて心温まるメッセージなんだ。


 そう思うのが普通だと思う。


 けど……そのメッセージを見た俺の顔はどうだ? 

 ニヤけているか。照れているか。いや?


 俺の気持ちはどうだ?

 嬉しいか。妙に恥ずかしく感じてたりするか。いや?


 自分でも驚くくらいの無表情。

 自分でも驚くくらいの無感情。


 あぁ、いつからこんな風になってしまったんだろう。

 あぁ、どうしてこんな風になってしまったんだろう。



 あぁ、忘れるわけがない。忘れられるわけがない。



 そうだ、あの日が来なければ。

 あの日、素直に1人で帰っていれば。

 こんな事にはならなかったのかもしれない。


 でも、それでよかったのか? そう聞かれたら、ハイとは言えない。

 むしろ今の方が良かった。100人に聞いたら90人くらいはそうだって言うと思う。


 だからこそ、俺は昔の自分を捨てる。


 足が震え1歩も歩けず、ただただ逃げていた自分を捨てて……生まれ変わる。



 今日この日が、雨宮あまみやかいとしての第一歩なんだ。



 だから……



【ごめん、別れよう。それじゃ】




 さよなら



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