弐拾玖
秋の食材採取が終わり、玉穂は自分で撮った栗畑の栗を仙人から無料でもらっていいと言われ、大袋いっぱいの栗を貰っていった。また、サツマイモも貰い、餅などでも作って販売しようとする。
伊久実は山菜、松茸、筍など今回収穫した食材を満遍なく貰っていった。
こむぎは山菜、松茸、タケノコを貰った。
三人とも採取の以前からメニューのことは考えていた。ベタなメニューとなりそうだが、数に限りもあるのでうどん、そば、炊き込みご飯、羊羹など秋の基本的なメニューを販売する。
しかし、それぞれ一品は新作を販売したいと考えていた。
帰宅後、休場日だった甘味処・玉月の厨房で早速、栗、サツマイモの仕込みを行っていた。今回作るのは、栗饅頭、栗羊羹、栗アイス最中、栗あんみつ、サツマイモ餅など。
玉穂は平日の夜も惜しんで、仕込みと新メニュー開発に勤しんでいた。
販売当日。玉穂は伊久実と一緒にこむぎが店長(仮)を務めるむぎまめ麵生家を訪れた。
小麦色に輝く綺麗な店内は建てられて四半世紀近く経つ。
この店内の香りと空気を感じるのは久々だった。
「いらっしゃいませ~~、あ、玉ちゃん伊久実ちゃん」
ちょうど、ホールにいたこむぎは事前に用意していた席へ玉穂達を案内した。
「二人とも言っていた通り、数量限定の秋定食をご用意しますので、しばらくお待ちください」
「は~~い」
暫く待つ。「お待たせしました~~」
和式カートに乗せられてやってきたのは、三人で採取した秋の食材をふんだんに使った秋の定食だった。
山菜うどん、タケノコおにぎり、タケノコとサツマイモ、山菜の天ぷらなどが用意されている。
「いただきます」
玉穂は箸を持ち、鯖竹汁から手を付けた。続いて、うどん、山菜と口に入れた。
「う~~ん! おいしい~~!」
伊久実は美味しさを口に出すほど感激した。
「やっぱり、この時期の秋らしい食事って最高だよ!」
二人は大満足だった。
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