夏の章

拾陸

 小満の湿った空の下、今日も玉穂達は元気に学業と商いの両立をしている。

 営業終了後の厨房にて玉穂は甘味処・玉月の夏の新メニュー作りに取り組んでいた。

 先日のイケメン刑事さんのお姉さんとのデート(仮)ではショッピングに行ったり、食べなれないりょりを食べたりと慣れないことが多くあった。

 だが、その日は収穫を得られた日でもあった。

 それは、フレンチらしい鮮やかなゼリーのデザートだった。

 玉穂は西洋生まれのデザートであるゼリーを和風のデザートへ変化させられないかと試行錯誤をしていこうとする。


(あの時食べたのはレモンとか、桃を使っていた……。ここ数年は猛暑日が続いている。お客さん達も夏バテ傾向になりやすいからリフレッシュできるような風味と重たくない後味が良いな……)


 その他にも夏の新メニューとして海藻を原料としたデザート、海藻寒天を考えた。

 また、新メニューの他にも毎年提供している季節限定メニューとして、アイスクリームあんみつ、冷やし小倉白玉、かき氷を販売する。


[掲示板チラシ]

 数日後……。

 7月を目前に甘味処・玉月の前には玉穂手作りの看板が立てかけられた。


 予告!


 7月より

 夏メニューが始まります。


 是非、食べに来てください!

[以上]


 メッセージと共に以下には、毎晩考えた夏メニュー名をいくつか書いた。


「ねえ、玉穂。今日、玉月行っていい?」

 伊久実が授業休みに聞いてきた。

「ええ、もちろん」

 玉穂は心よく受け入れた。

「その代わりとして、うちの飯森食堂も来てよ!」

「条件付きだと思ったけど、良いわよ。夏メニュー楽しみにしているわね」

「あー! 私のお店も来てー!」

 同じ経営者(仮)小学生組から外れないようにしようとこむぎも自分のお店に来てもらうようにお願いをした。

「当然だよ、むぎ!」

 三人は日を分けて、各お店の夏メニューを試すことを約束した。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る