玖
山の近くにある神社で行われた花見祭りが終わる。
甘味処・玉月の店長(仮)・白月玉穂。飯森食堂の看板娘・飯森伊久実。むぎまめ麺生家の店長(仮)・麦荳 こむぎ。
三人は日暮れに片付けを始めていた。日が落ちた。辺りは出店舗で客達が宴会後の会場で打ち上げをしていた。
各店舗の代表達は自分たちの看板メニューや定番メニュー。また、残り物で作った打ち上げ用まかないまで登場した。
「玉~、何食べる?」
伊久実が玉穂に問いかける。
「色々あって、目移りしちゃうよ~~!!」
玉穂はありとあらゆるジャンルを超えた食材たちに興奮していた。
そして三人揃って、バイキング形式に並べられた食べ物達を吟味する。
「とりあえず、お腹空いたから焼きそばとたこ焼きとお好み焼き食べようかな」
こむぎがとりあえず食べるものをボソっと言った。
「流石わ、むぎ……。小柄なのに大食いなのはズルい……」
伊久実はこむぎの体質を以前から羨ましがっていた。
「羨ましいよね~~食べても出てっちゃうっていうから……」
玉穂も沢山食べられるこむぎに憧れを持っている。
「みんなもよく食べないと夜にお腹が空いて寝られなくなっちゃうよ」
こむぎは他に大皿を三枚使いながら、炒飯、餃子、レバニラ炒め、麻婆豆腐などこむぎの食欲によって選ばれた料理達をこむぎの席に置かれた。
参加者一同は一通り、食べ物を持って席に着いた。
角にいたお祭りの実行委員会会長がビール片手に立った。
「え~~、皆さま。今年もこの稲荷餅地区のお花見にご協力いただきましてありがとうございましたーー」
「また、校長先生の校長講話が始まったね」
伊久実は玉穂とこむぎだけに聞こえる声で言った。
「伊久実ちゃん、シー! だよ」
こむぎが珍しく伊久実に注意をした。
「でも、確かに長いよね」
玉穂は伊久実に同調した。
「――では、みなさん。飲み物を用意ください」
参加者は片手に大人はビールや焼酎、子供はコーラやオレンジジュースなどを持った。
「では、かんぱーい!」
「かんぱーい!」
一斉に参加者は飲み物や料理を平らげた。
「そういえばさ、あのイケメンの刑事さんから玉穂にお姉さんとデートしてくれって私を通して言われたんだけど、どうする?」
伊久実は突如、意外な人物から人生で初めてのデートのお誘いが来た。
それは、玉穂に新たなものを与えられたものだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます