揺れる心の物語。

うつりと

天野絢斗

人が、人として歩む道は、凍てつく孤独な闇に包まれている。

人が、人としての在り方を学ぶことは、悔いと痛みに満ちている。

そして人が育つとき、自身の無知無学さと、未熟さに触れることは避けられない。

隠したいほどに、恥の多いもの。


でも、それらの経験が在る理由(わけ)を知り、影多く未熟なその胸に悲しみなどの痛みが刻まれた意味を知ったとき、初めて人は闇と影の価値を知り、次に光や輝きの尊さを知る。


苦しみや痛み、悲しみは錬磨であり、喜びのためにあるもの。

自らの変化を促して進歩させ、より頭(こうべ)を垂れさせるためにある。

そして、その先にある洗練という境地に至るためにあるものだと。


幸せは不幸の中にあり、希望は絶望の底にある。

過去の中に ″いま″ があり、未来は ″いま″ の中にある。

優しさは弱さの中にあり、成長は恐怖と後退の中にある。

真の強さは涙の中にあり、賢さは恥の中にある。

誇りや覚悟は惨めさの中にあり、勇気は敗北の中にある。


そして生きるとは、死の中にあるもの。


すべての人が生きているのでなく、生かされている。


今日の命に感謝を忘れず、人の温かさに触れ、食すること、学ぶこと、平凡な日々の喜びを知り得たうえで、 ″いま″ の見方を変えて見渡せば、人生は楽しく幸せな世界に満ちている。


すべての人の人生は、終わらない旅であり、成長は終わりを知らない階段である。

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