第8話 白澤鬼
■賊頭領視点
「どうだ?」
洞窟の入口で子分達が
「へえ……今のところ、姿は見えないですねえ」
「そうか……いいかお前等! 絶対に警戒を怠るんじゃねえぞ! なにせ相手は、あの“白澤
俺はそう言って
「で、ですが頭……こうなったら逃げ出したほうがよくねえですか? だって、相手はあの……「馬鹿野郎! 逃げるったってどこに逃げるんだよ!」」
臆病風に吹かれた子分がそんなことを言いやがったので、俺は大声でどやしつける。
「いいか! 聞いた話じゃ、“白澤
「「「「「…………………………」」」」」
俺の言葉に、子分達が全員
「大体、連中はたった三人で、俺達は百五十人もいるんだ! だったら俺達が負ける要素はねえ! 遠くから矢を射かけてやりゃ、さすがの“白澤
「で、ですよねえ」
それを聞いて安堵したのか、子分達は落ち着きを取り戻した。
全く……こいつ等ときたら、いつまでたっても成長しやがらねえ。やっぱり
だが、
あらかじめ“白澤
その時。
「っ! き、来ました! “白澤
物見が大声で叫ぶと、俺達に緊張が走る。
なにせこの国で一番の将軍が、こんな
だが。
「お前等! びびるんじゃねえっ! ここで“白澤
「仕官!」
「俺達が!」
俺の恩寵、【
そうだそうだ、もっと調子に乗れ! 調子に乗って、その勢いのままあの“白澤
さあて……んじゃ、この国であの華陽姫と一、二を争うっていう“白澤
俺は洞窟の入口から下を覗き込むと……っ!?
――ぎろり。
「っ!?」
岩山の
「は……はは……さすがは“白澤
冷や汗をかきつつも、俺は精一杯悪態を吐く。
子分達の手前、頭の俺が弱気でいるわけにはいかねえからな……。
「ようし!
俺の指示を受け、
そして。
「聞けい賊共! 里を脅かす貴様等を、この“董白蓮”が一人残らずこの
「「「「「っ!?」」」」」
“白澤
特に、後ろに控えている
「ええい! 所詮はあの女一人だけだ! 大量に矢を浴びせてやれっっっ!」
俺は声を張り上げてもう一度子分達を奮い立たせると、弩を持った子分達は矢をつがえて“白澤
すると。
「ふっ!」
“白澤
しかも迫りくる矢を、その方天画戟であっさりと全部打ち落としながら。
「ええい! 次! 次の矢だ!」
子分達の
「次! 早くしろ! 何をぐずぐずして……っ!?」
俺は再度矢を射かけるように指示を出そうとした、その時。
「「「「「うわあああああああああっっっ!?」」」」」
子分共の悲鳴が聞こえ、後ろを振り返ると……洞窟の奥が燃えているだとっっっ!?
「こんな真似した馬鹿は誰だっ! 早く火を消しやがれっ!」
「だ、駄目です! 油が
「何だって!?」
油だとお!? だ、だが、子分共がそんな真似をするはずがないし、仮にあの“白澤
「お、お頭! このままじゃ俺達、焼け死んじまうよおっ!」
「やかましい! 情けない声出すな! だったら……あの“白澤
そう指示を出すと、先頭にいる子分は持っている
“白澤
それに気づいた瞬間。
――ごろごろごろごろ……っ!
「っ!? この音は何だっ!? 一体どこから……………………はっ!?」
慌てて見上げると、この洞窟目がけて巨大な岩が転がってきてやがるだとおおおおおっっっ!?
「お、お前等、避け……っ!」
俺は叫びながら咄嗟に洞窟を飛び込むと、先頭にいた弩を持っていた子分、槍持ちの子分、炎から逃げようとしていた子分達が、俺の目の前で大岩によってぐしゃぐしゃに潰された。
「な、何なんだよこいつはあっ!? 一体何が何なんだよっっ!?」
恐怖のあまり、俺は大声でわめきたてるが、答えてくれる奴は誰もいない。
かろうじて生き残ってる子分も、結局は腰を抜かしてちびってやがる。
そして。
「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおっっっ!」
「「「「「っ!?」」」」」
大岩がふもとまで転げ落ちた後にやって来たのは、琥珀色の瞳を
その女鬼神は、方天画戟を縦横無尽に振り回しながら、俺の子分共を次々と細切れにしていくと、とうとうその刃が俺の目の前へと迫ってきた。
この時になって、俺はようやく気づく。
ああ……俺達は、この
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