辺境最前線の防衛戦術 ~王命により過酷な辺境の地に左遷された幼馴染の女将軍を助けるため、補佐官の俺は恩寵【模擬戦】で最悪の盤面を覆す!~
サンボン
第1話 最強の女将軍としがない補佐官
「全員! 構え!」
王直属親衛隊である “
「突けえええええ!」
「「「「「せいッッッ!」」」」」
“銀鳳騎”の兵士達は、一糸乱れぬ動きで前へ槍を突き出した。
おそらく、高い所から
さて……そんな訓練に没頭している中、補佐官の俺は将軍に声をかけないといけない。
さすがに、陛下からの伝令が来たというのに、ないがしろにできないのだが……いかんせん、集中している将軍に声をかけると、こちらに雷が飛んでくるのだ……。
「“
伝令に来た
とはいえ、それができるのであれば苦労はしないのだけどなあ……。
なにせ、
「子孝殿……!」
「わ、分かりましたから、そのような泣きそうな顔をしないでくださいよ……」
さすがにいたたまれなくなり、今も訓練を続けている将軍の下へ、歩を進める。
うう……できれば勘弁願いたいのだが……。
俺はおそるおそる近付き、将軍の持つ獲物、
「将軍……将軍……」
「次! 払えええええ!」
「「「「「応!」」」」」
駄目だ……俺の声が届いていない。まあ、視界にすら入っていないのだけど……。
もちろん、全力で振るう将軍の方天画戟も俺の鼻先をかすめた程度で届いては……いや、届いたのか?
……と、とにかく、仕方ないので覚悟を決めるか。
「将軍! 董将軍!」
俺はさらに一歩近づき、大声でその名を叫ぶと。
「何だ! 我々は訓練中なのだぞ!」
やっぱり……将軍は眉根を寄せ、かなりご機嫌斜めだ……。
だが、そのような顔をされたとしても、将軍のその美しさは変わらない。
異民族である母君の血を引く将軍の長い髪は白銀に輝き、
もちろん、目鼻立ちもくっきりしており、肌は陽に当たっているにもかかわらず、その白磁のような白さを失わない。
なのに、いざ戦となれば常人離れした
何より……将軍には
将軍の体術全てを強化するばかりか、その手に持つ武器で一撃を放てば、たとえどんなもの……鋼鉄でできた重厚な盾であろうとも貫通せしめる、この大陸全土において将軍だけが持ちうる、唯一無二の恩寵。
おかげでこちらとしては、将軍の背中について行くのに必死なんだけど……。
いやはや、凄すぎる
「子孝! だから何だと聞いているだろう!」
おっと、ついつい
「あ、ああいえすいません……そ、それで……陛下から伝令でして……『すぐに登庁するように』とのことです」
「むう……今度は何だというのだ……」
俺の言葉を聞き、将軍はその細い眉をますます吊り上げた。
まあ……将軍は陛下と犬猿の仲だからなあ……。
「皆の者、我は少し離れるが、訓練を続けるように!」
兵士達に将軍はそう伝えると。
「子孝! “
「は、はいい……」
あー……やはり、お供をさせられるか。
漢升殿も供をされるのだから、できれば俺は勘弁願いたいんだけどなあ……。
「子孝! 何をぐずぐずしている!」
「……お嬢……いや、将軍のご命令でござる。諦めなされ」
「……………………………」
漢升殿に軽く肩を叩かれると、俺はうなだれながら後に続いた。
なお、この漢升殿は将軍のご実家……董家の先々代から仕える
そして……俺達“銀鳳騎”の
一応、こんな市井上がりの俺に対しても礼をもって接してくれるのだが、どこか俺をからかう節があるのが玉に
といっても、漢升殿がからかう相手は、
で、俺達三人は王府(政庁)へとやって来ると。
「董将軍、ごきげんよう」
陛下の一人娘である、“
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます