在宅生活

 心疾患による薬物治療、手術による治療後などに退院が決まったら、体力の低下や経過観察の必要にあわせ、環境調整などを行います。家事、外出、料理、対人交流、緊急時の連絡、体調管理等に対して、誰がどう実施するか、介護保険のサービスの調整や本人の体力、身体機能の評価をします。心理的サポートや、家事の練習をする場合もあります。(例︰30分ほどの調理練習で、血圧や心拍数の変動、倦怠感の有無など、過負荷にならずに実施できるかという評価、練習を行う。買い物の方法の確認において、移動や荷物運び、負担なく動作を実施することができるかという評価や同行者の確認を行う。)

 在宅酸素療法を実施する場合、動脈血液の検査や、六分間歩行テストをもとに必要な酸素の量を決めます。自宅で酸素を吸入するときは、空気中の酸素以外のガスを吸着して酸素濃度を高める酸素濃縮装置、もしくは液化酸素の設置型タンクもしくは親容器を使用します。

 在宅においても、再入院予防、身体機能低下予防のために、有酸素運動や下肢筋力練習、低負荷高頻度の継続的な運動が推奨されます。状態が安定していたら、屋外活動、趣味への支援、買い物へ行くことや庭の手入れ、旅行など、生活の質を高める活動を実施する目標を設定します。

 訪問看護、訪問リハビリ、心臓リハビリテーション外来への通院など、ご本人に合った方法により、運動療法、生活指導を継続していきます。運動療法、生活指導の際には、医師や看護師がフィジカルアセスメントを実施したり、バイタルの確認、必要に応じて安静度や運動負荷量の評価(医師が処方)を行います。

 自宅への訪問リハビリで、看護師や機能訓練指導員が、視診 (顔色、発赤、むくみ チアノーゼ)、触診(皮膚の温度、乾燥、震え)、打診(体をかるくたたき、体の内部の状態を確認する)、聴診(聴診器をあて、呼吸音や心音、お腹の蠕動運動など)を行うこともあります。その他、呼吸パターン、胸郭の形や動きなどの視診、触診もあります。

 在宅酸素療法の場合、活動範囲にあわせて必要な酸素量を評価します。屋外での活動量が多い方は、2リットルの酸素で動ける範囲は何mくらいなのかを評価することがあります。低酸素状態は自覚かないこともありますが、低酸素状態の継続により、肺血管が攣縮して肺高血圧症が悪化、肺性心になるリスクや、肺への血液循環が低下し、右心室への負担増加、右心室の筋肉が肥大する可能性があることを念頭に置きます。

 自宅や外来で受ける運動支援や生活指導では、動作負荷軽減(例、ベッドからの起き上がりの楽な方法の指導)や、転倒防止のための日常生活動作練習、環境調整もあります。入浴時の浴室、脱衣所の温度管理(血圧の変動を避けるため)やお湯の温度、湯船に浸かる時間の指導、手すりの設置などが考えられます。日常での歩行と休憩について、『○メートルの歩行で一度休憩、早歩きや坂道、階段は避ける』、『階段昇降時は、○段の昇りで○分立ち止まり休憩する』というような、指導や練習を行うこともあります。

 

 

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