第1話 大罪の魔導師

ここは王都周辺の森林地帯トスカンナ。そこで1人の少女が奮闘していた。


———森の中とある洞窟にて


「おいおい…このクソアマァ…随分とやってくれるじゃねぇの。仲間が3人伸びちまったじゃねぇか。テメェ何処の誰だ」


「はぁ……野蛮な盗賊如きに名乗るつもりはないんだけど…魔導師界では『魔力名フォルカスネーム』を名乗るのは礼儀でもあるしね。冒険者魔導の【星魄アストラル】のアリアだ。君たちをシメに来た」


「はん!ご丁寧にどうも、俺は『蜘蛛の巣盗賊団』の頭、【灰塵アシュレイ】のジオ——…」


「問答無用!『星散弾スターバレット』‼︎」


「ぐはぁ……お前……魔導師界の礼儀は…………がくっ」


少女は宣言どうり問答無用で自己紹介中に攻撃をぶち込んだ。一応名乗るのはちゃんとした礼儀でもあるのだが…。


礼儀知らずの (いや犯罪者相手に礼儀とか言ってはいられないのだが) 少女の名はアリア。辺境の村に魔力を持って生まれ、【星魄アストラル】の魔力名を冠された。そして17歳になった今、憧れていた冒険者魔導師になり、絶賛仕事中なのである。


「よしっ、今日の依頼も順調順調〜っと。もうすぐランク上がるんじゃないかな。いやまだ駆け出しの最低ランクなんだけどさ!」


アリアが冒険者魔導師になったのは1ヶ月前のことである。最低ランクなのは当たり前だ。もうランクが上がりそうなのだから結構成長は早い方である。


「さっさと森から出てギルドに戻るか〜森の出口は…『星のスターアイ』!……こっちか」


『星のスターアイ』。星の魔力が正しい道を示してくれるアリア独自の魔眼術である。


 ◯


アリアは30分くらい歩いて森の中央ぐらいに到着した。


「はぁ…はぁ………いやお前重いわ!何食ったらこんな太るんだよ……はぁ、ちょっと休憩してからにしますか…おっ?」


バサバサァという羽根の音とともにアリアの前に現れたのは、伝文書鳥メッセージバードだ。ルエズ大陸唯一の情報伝達手段である。


「手紙…なんかあったっけ?」


特に自分は悪さしてないぞと言う思いでアリアは手紙を開く。


「………」


「……ん?」


「…はぁ!?」


次の瞬間アリアは盗賊が起きるくらいの頓狂な声を上げた。


「冒険者魔導師廃止ぃぃぃ!?え?急すぎ意味わかんない!なに?第一王子直属部隊って!?命令でしか動けないやつ?クソじゃん!明日集合?絶っっ対にいかないかんね!」


散々な言いようである。が、アリアが起こるのは仕方がない。なぜならアリアが掲げている目標は「自由に世界の果てまで冒険し尽くすこと」である。なので自由を奪われることは最も嫌いなことなのである。


「お、おい礼儀知らずの嬢ちゃん…何がどうしたってんだ…」


先程の大声で盗賊が目を覚ましたようだ。


「もう知らん!お前も知らん!どっか行け!家帰れ!もうふて寝してやる!」


パタっとアリアは腹いせにそこら辺の木陰で寝出した。


「……マジでなんなんだ……………」


盗賊は何も分からずとにかく怖かったので (アリアの叫び声が) 特にアリアに手を出す素振りもなくとぼとぼと帰っていった。










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