第264話 no art, no life

『美醜逆転の貴方にと言われてしまいましたね。少し複雑ですよ』


「ヒャッハー☆ ディストピアのとしてあんたの死体はオブジェにして飾ってやるよ』


 小濱宗治と対峙するネル・フィード。彼のダークソウルを魂から剥がすことができるのか?


 ピンクローザは二重人格ゆえにダークソウルが定着しきっておらず、ブラックホールでダークソウルを吸い取ることができた。


 でも、今回は違う。


 小濱宗治のダークソウルはギッチギチに魂にこびり付いているはず。それをピンクローザの時のように魂から浮かせることができるのか?


 ネル・フィードは戦闘態勢を取りながらも集中しきれずにいた。


「ヒャッハー☆ おいおい。僕を助けてくれるんだろう? それは僕をタコ殴りにしてぶっ殺すってことじゃないよなあ? 頼むぜ!」


『殺せるならどんなに楽か……』


 ネル・フィードは左手を右腕に添え、ダークマターを武器化する態勢に入った。


「『やれ打つな はえが手をる 足を擦る』今のあんたを見てるとさ。一茶の句が読みたくなるわけよ」


「いっさのく?」


「真っ黒なアンタは、さも蝿のようだって言ってんのさ。手をスリスリして命乞いのちごいされても助けたりはしないけどな」


「ピンクローザさんの時はゴキブリ。今回は蝿か、やれやれ」





「ヒャッハー☆ no art, no lifeノーアート・ノーライフッ!」





 ブウンッ!!


 小濱宗治の右手に、闇に包まれた竹刀が現れた。


「闇竹刀、鬼神黒雷きしんこくらいッ!!」


『それがあなたの能力ですか。にしても竹刀とは。もっと殺傷能力の高いものを具現化するのかと思いましたよ』


「馬鹿か。僕のこの鬼神黒雷は日本刀よりも殺傷力は上だ。ダークソウルを纏わせれば、ストローでもアンタを切り刻んで殺せる。見た目が好みの竹刀を選んだに過ぎない」


『そうですか。では私も!』


 ズオオオオオオンッ!!


 ネル・フィードの右手にもダークマターの剣が現れた。


「やる気満々じゃねぇの。来いよ! ヒャッハー☆」


『それでは遠慮なく』

(小濱宗治、とりあえずは意識を失ってもらうッ!)


 ズビッシュンッ!!


 ネル・フィードは小濱宗治に勢いよく斬りかかった!


 バキキキキィィイッ!!


 小濱宗治の闇竹刀とのつばり合いッ!!




 ギギギィィイッ! ギギッ!!




「あんたの力は相当なもんだ。だけどさ、言っとくぜ。剣は腕で振るもんじゃない。で振るんだぜッ!」


『なんだとッ!?』


「はあっ!!!!」



 パシュンッ!!



『うおっ!?』


 ネル・フィードの剣はいとも容易くいなされた。そして、体勢を崩されたと同時に小濱宗治の剣技が炸裂!


弓月ゆづき津藤つとう流……月の花ッ!!」




     ザンッ!!



『ぐわあああ─────ッ!!』


 ネル・フィードのダークマターの体が、いとも容易く切り裂かれた!

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