第六章 きっとできるよ

第40話 こころの決意

――強さを知る、誰かのこころ――



 あのね。



 面白い人に会ったよ。


 その人はね、何でもストレートに言っちゃうの。


 興味があるんです。


 力になりたいんです。



 好きなんです。



 なんとかなんですってね。



 なんでもかんでも、素直に言えばいいってもんじゃないのにね。


 面白いね。それって、誰かに似てるよね。


 誰だろうね。


 たぶん、こう言われちゃうよね。



 昔の私をみているようだって。



 私もそう思ってしまう。


 あの時は、そう思われていたのかな。きっと面白いねって思われていたんだよね。


 でも、今は素直じゃないのかもしれない。


 なんかね、はぐらかすことしかできないの。分かってるんだけど、うまく出来ないのよ。


 それはきっと……。あれから、私も色々あったのよ。それこそ、

『可哀そうだね』とか、

『俺がなんとかしてあげる』とか、

『俺でよかったら相談にのるよ』とか、

 そんなのばっかりで。


 てゆうか、あなたに興味ないですから。そもそも誰かに自分の心を覗き込まれたくない。


 でも、全部を色眼鏡で眺めて、相手の本音を探るようにしていたら、どこか不安を覚えてしまった。



 自分の気持ちに自信が持てなくなってしまった。変に構えちゃって、オウム返ししかできなくなっちゃった。人との距離感が分からなくなったのかもしれない。



 自分でも良くないってことぐらい分かってるんだけどね。



 それに――私に興味持たれても楽しいことなんかないと思うし。楽しい経験も人より少ないと思うから、あんまり聞かないで欲しいのよ。生活だって余裕なかったしね。



 私の青春はね、全部コレなのよ。



 そんな時かな。その人がお店にきたのは。


 なんでもストレート。だから、こっちも笑うしかできないのよ。


 でも、思い切り感情をぶつけられるのって、なんかいいね。


 何でも一生懸命なその人を見てそう思ってしまった。


 一緒に取り組んだら、きっといいものが出来そうな気がする。まだ終わってないからね。どこかで心がもやもやしていたんだと思う。



 もう終わらせないとね。



 だからね、もう決めたの。



 誰のためでもない。それは、自分自身との約束。



 絶対に、やってやるって。



 そう、決めたの。



 だからお願い。



 これからも私を見守ってね。




 第六章「きっとできるよ」開始――




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