悪さをしたい魔王ちゃんと悪さを阻止したい勇者ちゃん

夢日記ノベリスト

第1話 魔王ちゃん、悪さをしたい

 全盛期の頃は圧倒的力を持ち、世界を支配する1歩手前までいった魔王軍。だが、最後の最後で詰めが甘く勇者一行に盛り返されて大敗北を喫した。

 そこからは転がるように没落していき、魔王軍の領地は次々と奪われていった。今じゃ昔の凶悪な魔王軍は、すっかり見る影も無くなってしまった。

 魔王軍も今じゃ派手な暮らしからホームレス同然の暮らしへと落ちぶれた。今は空き家のボロ小屋をアジトとしている


「ワレが魔王軍の王である魔王ちゃん様だ!!!」

 彼女がこの作品の主人公の魔王ちゃんだ。昔強かった魔王軍の魔王ではないが、魔王ちゃんはその魔王の子孫にあたるのだ。


「ワレ、すごい! ワレ、カッコいい!」

 鏡に写った自分を見ながらニヤニヤしている魔王ちゃん。


ぐ~(お腹の鳴る音)

「あー、お腹空いたな…。でも魔王が真っ当に働いて良いことする訳にはいかないしな~。こんな時に部下が食事を持ってきて来れたらな~」


~妄想~


「部下よ! 腹が減ったからすぐに食事を持って来い!」

「かしこまりました!」

「部下よ! 喉が乾いたから美味しいジュースを用意せーい!」

「かしこまりました」


~妄想終了~


「そんな夢のような話があるわけないよな~」

 現実は残酷だ。かつての仲間はみんな現代社会を生きるのに精一杯で魔王軍から魔王ちゃんを除いては誰1人いなくなってしまったのだ

 みんな社会で働いて各々の生活を持っている。なので魔王軍のメンバーは現在、魔王ちゃんのみ!!!


~部下が抜けた時の回想~


「お願いだからワレを1人にしないでえええええええええぇぇぇぇぇぇ!!!!」

 魔王ちゃんは泣きついて仲間が出ていくのを阻止しようとしていた。


「こっちだって家族がいるんですよ! 少しはこっちの事情を考えてくださいよ!」


しょんぼり…

「あ、そうか…。それはそうだよな、うん」

 あまりに部下が正論を言うもんだから魔王ちゃんはおとなしくなってしまった。


「私はちゃんと働いて娘や妻を養ってやらないといけないんです!」

「そ、そうか… 。頑張れよ…」

 魔王ちゃんは何も言い返せなくなってしまった。


~回想終了~


「部下のバーカ!バーカ! 魔王軍はワレ1人で十分だもんね! それに群れるなんて雑魚のすることだし! 強者は常に1人だもんね! ギャハハハハ!」


シーン…


「さて飯でも探しに行くか…」

 静まり返った部屋で冷静になった魔王ちゃんは飯を探しに外へと出かけていった。


「飯はどこじゃ~飯はどこじゃ~」

 魔王ちゃんは公園の近くに来ていたのだった。すると公園で元気よく遊ぶ子どもたちがいたのだった。


「おーい! こっちにパスしろよ!」

「おう! いっくぜー!」

 子どもたちがボールを使って公園で遊んでいた


「お、子ども発見!良いこと思いついちゃったもんね!」

 魔王ちゃんは早速悪いことを思いついた。果たしてどのような悪さをして今日の食事をゲットするのだろうか?


~つづく~

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