孤独
藤原氏のように栄華を誇った紅葉は死に
孤独な細い木だけが残った
冬が来る
満月を謳歌した紅葉よ
地に落ちて眺める新月の夜に何を思う
冬の早い夕暮れは
紅葉を焼き尽くすように
あるいは自分が紅葉に取って代わらんとばかりに
地上にその姿を見せる
冬が来る
樹液を求め集る虫は消え
桜を見に集まる人間は消え
紅葉も消え
あるのは車の排気ガス
水を吸い上げ上へと向かう
ああ、寒い寒い
お天道様を、一目見たい
ああ、お天道様
その残酷なまでに強い光を
どうかどうか、私に浴びせてください
ああ、やっと会えました
私、あなたが来るまでの間、子供たちに暖められて過ごしていたのです
寂しいと、ずっと思っていました
え、もう行ってしまうのですか
そうして、夜が訪れた
冬の木にとって、これほど孤独な季節は無かろう
ああ、孤独孤独!
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