杪秋の夜に

中下

黒ずんだ紅葉

かつて鮮やかに栄華を誇り

ひらひらと身を儚げに散らした紅葉は

もう既に死んでいた

オレンジ色のお洋服で

可憐に舞ったバレリイナは

醜く老いた老婆として

地面に横たわっている

山に、街路樹に、庭に

老婆の死体が安置される

密やかに、しかし豊満だった胸の膨らみは

今や黒ずむ皺の一つと化し

ふくよかで真っ赤な唇は

水死体のように膨れ上がる

しかし、その高潔な魂は

かつてバレリイナだった魂は

可憐な乙女の魂は

巨大な親を守るために地下に眠る

例えその身が醜くなろうとも

生みの親を守るため

皺だらけの体で必死に抱きしめるのだ

傍から見れば気狂いだ

だが一度彼女の意志を知り

再び落ち葉を見た時に

貴方は魂の美しさを知るだろう

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