第29話 部下、拗ねる
人質の幼馴染との協力で、部下からなんとか人質を殺してはいけないという言質を得たボス。
一方、2人の策略にはめられた部下は、かなり拗ねていた。
「どうせ私なんて、誰にも看取られないただの頭のおかしい女ですよ!」
部下はそう言いながら、つーんとした表情を浮かべる。
ボスは、またこれはリカバリーしてあげないとと決心し、部下の機嫌を直そうと試みる。
しかし、最初に声を上げたのは人質の幼馴染だった。
「部下ちゃんは、あっくんの事が好きなの?」
唐突な問いにも、部下はしっかりと答える。
「もちろん大好きですよ。早く2人きりになりたいですよ。あんたがさっさと死んでくれればよかったのに。」
部下は早口で捲し立てる。
おぉおぉwと言いながら人質の幼馴染はニヤニヤと笑う。
「でも、それなら安心していいよ。私、旦那いるし。」
えぇ!?驚く部下とボス。
そうだよー。何も不思議なことはないだろうと言ったように人質の幼馴染は言う。
ボスは少しだけ複雑な気持ちではあったが、素直におめでたいと思った。
部下にとって、これは吉報であった。
間髪入れずに人質の幼馴染は部下に話しかける。
「それにね、部下ちゃん。私の実家の引き出しには何があると思う?」
人質の幼馴染はワクワクがおさまらない顔で話す。
「それはねー。なんと、あっくんの昔の写真です!」
その言葉に、部下の顔が一瞬輝く。
人質の幼馴染は、その輝きを見逃さなかった。
どう?欲しい?ニコニコしながら部下に尋ねる人質の幼馴染。
部下は、奥歯を噛み締めながら、言葉を紡いだ。
「先程までのご無礼をお許しください。それは、欲しいです。」
部下が頭を下げる。
絶対あげるからね!そう言って部下の頭を撫でる人質の幼馴染。
「ところでお姉様。喉は渇いておりませんか?」
早急にお茶の用意をする部下に、爆笑しながら人質の幼馴染はカップを受け取った。
人質の幼馴染と部下の談笑が始まる。
昔のボスにまつわる懐かしい話を一通り聞いた後、部下と人質の幼馴染は物凄く仲良くなっていた。
これで幼馴染の命は確実に救われたな。
そう思った時、ドアからノックが聞こえた。
ボスが、そのドアを開けると急いで入ってきたのは、アイズと宇宙人であった。
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