第25話 女帝は諦めない

学生時代、ボスに異常なまでの好意を寄せるも、逃げられてしまった女帝。




時は現在に戻り、ボスと女帝の睨み合いの最中、アイズと宇宙人はアジトの探検を楽しんでいた。






「ここはいい場所だね。広々とした清潔感のある内装に、ドリンクバーみたいな機械もある。」




宇宙人は、休憩室の椅子に座り飲み物を飲んでいる。




「私の動力源は電気なので、コンセントがいっぱいあるのも助かります。」




アイズは笑顔を見せる。




「実はね、アイズ。私は電気を作り出すこともできるんだ。我々は、結構相性の良いコンビなのかもしれないね。」




宇宙人も笑いながら言う。


屋外での活動の際は、よろしくお願いしますね。とアイズは返す。




任せろと言わんばかりのウインクをする宇宙人。




休憩室で和やかな時間が過ぎていく一方、ボスの部屋では緊張と殺意が漂っていた。








「なぁ、本当に良いのか?君が首を縦に振らない限り、この組織の未来はないぞ?」




再び、女帝の刺し殺すような視線に晒されるボス。しかし、ボスはもう迷わなかった。




「申し訳ありません。私は貴方のものにはなれない。」




きっぱりと断るボス。


その様子を見て溜息をついた後、不敵に笑う女帝。




「ふふふ....。そうか、そうか。学生時代に孤独だった君が、今や仲間に恵まれて。」




私も嬉しくないわけじゃないんだよ?女帝はそう言うと、ボスの肩から手を離す。




「なぁに、さっきまでのあれはほんの冗談さ。もちろん君には私の組織に来て欲しいが、ここまで断られちゃしょうがない。」




ボスは驚いた。


これは既読無視の仕返しだよ。といたずらっぽく笑う女帝。




「まぁでも、今度一緒にご飯連れて行くって約束もしてくれたしね。あと、そうだスマホを貸しなさい。」




ここまで来ると、安心感で全てがどうでも良くなったボス。即座に自身のスマホを女帝に渡す。




これでよし。と様々な設定を変更した女帝がボスにスマホを返す。




「まぁ今回は私がここで帰ってあげるけど、君は必ず私の物にするから。近いうちにまた会いましょう。」




それじゃ、と言ってボスにキスをする女帝。


突然の行為に驚く部下とボス。




女帝はそのまま、さっと踵を返し、アジトから去っていった。




ボスは茫然自失になっていた。しかし、次の瞬間には嫉妬にさらされる事になる。




「上書きしますからね。」




目の笑っていない笑顔で、部下はボスに話しかける。




ボスは好きにしてくれ、と言わんばかりにソファに寝転がった。








アイズと宇宙人が一通りの探検を終え、ボスの部屋に戻ってくると、そこには疲れ切って寝息を立てているボスと部下の姿があった。




アイズと宇宙人は、お互い顔を見合って、そっとボスと部下に毛布をかけると、ボスの部屋から退散した。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る