第11話 ダーツ

絶対に自分から手を出さないと決めたボスであったが、その行き場のない性欲にもんもんとし続けるのであった。




何かないかと部屋を見回してみると、ボスはダーツを発見した。




即座に行動を開始するボス。まずは、部下に声をかけた。




「ダーツでもしませんか?」




息も絶え絶えの誘いに、部下は笑顔で快く了承した。




その了承をもらった瞬間、ボスはダーツボードを叩き割る。


一瞬、静寂が訪れる。




部下は、即座にこの状況の意味を理解した。


ボスは的になろうとしている。




「いけない、いけない。ダーツボードを壊してしまいました。代わりに私が的になりましょう。」




ボスは宣言した。


部下は少し考えて、言葉を発した。




「それでは、上裸になってください。なんなら、下も脱いじゃっていいですよ。」




またまた、と言いながら、背に腹は変えられないかと上半身裸になるボス。




そのままダーツごっこがスタートした。




はっきり言ってボスは背水の陣であった。


既に限界を超えている性欲。




これを部下にダーツで刺される事で、快楽と痛みによって軽減させようというのだ。




素早く、正確にダーツを投げていく部下。


ひとまずの休憩を得たと、安心するボス。




異変はしばらくの後に訪れた。


10本ほどダーツが投げられた時だった。




ボスは気がつく。全く自身の性欲が収まっていない。




おかしい。明らかに何かが変だ。ボスは焦り出す。部下の方を見ても特に変わった様子はない。




俺の計画は完璧だったはずだ。ボスは考える。


しかし、なぜ性欲が収まっていないのかは全く見当がつかない。




部下はそんなボスをくまなく観察し、ふぅと一息ついた。




「ボス、後ろ向いてください。」




部下はリクエストをした。若干の違和感を感じながらも、ボスは後ろを向く。




どうして部下は後ろを向かせた?そして、この違和感は何だ?必死で考えるボス。




自分の体、刺されている場所を見る。


瞬間、ボスは気付いてしまった。しかし、もう遅い。




部下はボスの背中側に、ダーツを刺していく。


ダラダラと汗をかくボス。




ボスがたどり着いた1つの答え。


それはツボであった。




僅かな狂いもなく、部下は古今東西の性欲を増強するツボを押している。




それに気付いてしまった今、さらに性欲が増強している気がする。




ボスは、敗北を受け入れた。


部下が全てのダーツを投げ終わった後、ゆっくりとボスは自身に刺さるダーツの矢を抜いていく。




全ての矢を抜き終わった後、ボスは部下の方によろよろと歩き、そのまま倒れ込む。




倒れ込んだボスを抱き止める部下。


ボスは部下の耳元で囁いた。




「XXXX。」




ボスは部下の本当の名前を呼んだ。


ひゃい、と思わず噛みながら返事をしてしまう部下。




「XXXX。俺を抱いてくれませんか。」




部下はこくりとうなずく。


部下はボスの体をソファに降ろす。




ここまで無防備なボスに部下は、我慢することが出来なかった。




ボスを押さえつけ、馬乗りになる。








ここで、監視カメラが動く。


博士はこの時を待っていたと言わんばかりにそばにあるボタンを押す。




すると、監視カメラのレンズが一眼レフのように伸びだした。




2人の空間に突撃する監視カメラ。


しかし、2人はあまりにも夢中で全く気付いていない。




その行為は一晩中、360度に渡って続き、その日は全員一睡も出来なかった。

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