第14話 立花沙織視点。
私は今、ハンバーガ屋さんの店内の窓際でお昼ご飯を司と二人で食べている。
私たちから見える公園のベンチに橋野君と橋野君の元カノの宇座川さん座っている。
お店はお昼前と言うこともあり賑わっている。だけどお店の中で食べる人は少ない。ほとんどの人が公園で食べている。
公園で話をしている二人が凄く気になる。
なぜなら私は……。
「気になるの?」
隣の席にいる幼馴染の司が私に声をかける。
「うん……」
「沙織は真一の前ではもっと素直になればいいのに」
「無理だよ。だって……」
私を見て司はクスッと笑う。
「真一を好きすぎて緊張するって、僕を相手にしている時とは大違いだね」
「うるさいバカ」
はっきり言われるとムカつくよね。
「遅すぎる初恋はいろいろと
「うるさいうるさいうるさい」
司は私が橋野君を好きなことを知っている。初恋という事も。
私から教えたわけではなく、司に気持ちを見抜かれ、意地悪く聞かれて仕方なく白状した。
態度があまりにも違うからすぐ分かったと言われた。それは私も分かっている。
でも司以外の人は、私が橋野君を嫌っていると思っている。本人も私に嫌われていると思っているらしい。
嫌いじゃないと言いたい。だけど無理なの。そうなると好きってばれちゃう。今はまだ心の準備は出来ていないの!
司は私が橋野君を好きだと知って、私の恋を応援すると言ってくれた。予想外だった。
自分で言うのも変だけど司は私のことが好き。私に好きな人がいるなら疎遠になると思っていた。
司が私のことを好きって言ってくれるのは嬉しい。だけど恋愛対象として見れない。
生まれた時からそばにいる家族のような存在で大切な人。だから私は司にときめかない。
「まぁ、元カノの話って一つしかないよね」
「うん……」
司は宇座川さんが何者か知らなかった。
私に何者か知っているのか聞かれたので、橋野君の昔の恋人と教えた。
「心配しなくても大丈夫だよ。真一は絶対断るから」
「……どうして分かるの?」
「心の友だからだよ」
「意味分かんない」
「沙織には絶対分からないよ。鈍いからね」
「うざっ」
司が席を立つ。ハンバーガセットはまだ全部食べていないけど、どうしたのかな?
「トイレ?」
「違うよ。真一の分を注文してこようと思ってね。話が終わったら持って行こうと思ってね」
「優しいね」
「交換条件に二人の話の内容を聞くんだよ」
司、あなたって人は……ナイス! さすが私の幼馴染。天才。素敵っ。
席を離れた司がしばらくして戻ってきた。手にはハンバーガが入った袋。
「はい。これを真一に渡してね」
「わ、私が⁉︎ それは無理ですぅぅ」
司は笑いながら椅子に座った。
「沙織は可愛いなぁ」
「馬鹿にしてるよね、絶対」
「してないよ。よし、僕たち付き合おう」
「だからそれは無理だって」
「僕ね、沙織の恋を応援はするけど、僕自身の恋は諦めてないからね」
「可能性はゼロです」
司は私に微笑む。ホントにこの幼馴染は変わっている。
「まだまだ、二人の話は終わりそうにないね」
橋野君と宇座川さんは楽しそうにおしゃべりしてるように見える。
すごく羨ましい。私もあんな風に橋野君とおしゃべり出来るようになりたいな。
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